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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第八十七話 先生たちとの約束を守らなかった代償は……

「はーい、拓雄。おっはよー」

「お、おはようございます」

 翌朝、拓雄が教室に向かう途中、すみれに挨拶をされ、満面の笑みで声をかけた彼女に恐る恐る挨拶をする。

「ふふ、顔色悪いわよ。どうしたの?」

「いえ、その……」

「あ、後でちょっと職員室に来なさい。この前の課題、出し忘れているのあったわよー」

「え? あ、はい……」

 すみれが拓雄にそう告げると、そそくさと職員室へと向かう。

 課題のことなど建前で、昨日の事で何か言われるのが目に見えていたので、拓雄も溜息を付きながら、教室へと入っていった。


「あの、先生」

「ん? ああ、来たのね。はい、これ」

「?」

 休み時間になり、すみれの言うとおりに職員室へ向かうと、すみれに一枚のプリントを手渡される。

「あんた小テストの結果悪かったでしょ。模試も近いんだし、しっかり頑張りなさい」

「は、はい」

 見てみると、普通の数学のプリントだったので、本当に課題を渡されただけなのかと拍子抜けしてしまったが、ふと裏面を見てみると、


『放課後、美術準備室。絶対忘れんな』

「…………」

(や、やっぱり昨日の事、怒ってるのかな……)

 書きなぐったような文字で書かれていたので、すみれも明らかに怒っており、恐れおののきながら、拓雄は教室へと戻る。

 一応、メールで断りは入れておいたが、それでも先生たちの約束を破ってしまったのは確かなので、授業が終わるまで、


 放課後――

「失礼します……」

「やーん、拓雄君。よかったあ。先生、会いたかったのよ」

「うわっ!」

 拓雄が美術準備室に入るや、いきなり彩子が拓雄に抱き付き、拓雄も驚いて転倒しそうになる。

「彩子先生、ここは学校ですよ」

「ふん、誰も見てないんですから良いんです」

「私ら見てるんだけど。それより、拓雄ー、昨日はよくも先生たちとの勉強会サボってくれたじゃない。ああ、随分不良になっちゃったわね。先生、悲しいわ」

「あの、妹が勉強見て欲しいって言われて、断れなくて……」

 すみれが嫌味をたっぷり込めた口調で、拓雄が昨日、勉強会をサボった事を責め立てると、拓雄も慌てて言い訳をする。


「ああ、妹さんいたんだっけ。それなら、仕方ないわね」

「まあ、妹さんの勉強を見てくれるなんて、拓雄君、偉いわ。今度、先生の勉強も見て欲しいわ。ね、いいでしょう?」

「べ、勉強って、何を?」

「んもう、大人の勉強よ。先生もまだわからない事ばかりだし、きっと拓雄君の方が詳しいわ。ね、先生に教えてくれるー?」

 彩子は彼の胸を指でなぞりながら、撫でるような声でそうおねだりするが、拓雄は涙目になりながら、準備室の黒板の近くで座っていたユリアに助けを求める。


「拓雄君、あんまり先生を頼らないでくれるかしら? 別に私、彩子先生やすみれ先生と何をしようが、今更なんとも思わないし」

「ふーん、本当は妬いてるくせに。こんなことしても、黙ってられる? ちゅっ♡」

「――っ!」

 すみれが彼の右腕に絡みつくと、不意に頬にキスをする。

 しかし、ユリアは全く動じることもなく、いつもと変わらぬ涼しい顔をしながら、

「そんなの何度も見せられてますし。拓雄君だって、嫌がってますし」

「ふーん、じゃあセックスしてるところでも見せつけてやれば、動じるかしら?」

「あん、何なら先生たちと秘密の補習授業しちゃう? いいわよ、模試の勉強なんか放っておいてえ」

「だ、駄目ですよ……」

 クールな態度を見せて、一向に表情を崩すことのないユリアを挑発するように、彩子とすみれが執拗に拓雄のしがみついて誘惑していく。


 しかし、ユリアは英字の文庫本をめくりながら、ヤキモチを焼く様子もなく、

「妹さんの勉強を見ていたのであれば、仕方ないわ。先生たちも週末は、ずっとあなたを引っ張りまわしていて、自分の時間もなかったものね。拓雄も嫌なら、無理せず言いなさい。本当は生徒とデートなんてしたら、懲戒解雇ものなんだから」

「い、嫌なんて事は……」

「そういう曖昧な態度が、二人を増長させているの。いい? 拓雄君も少しは自分の時間を優先させた方が良いわ。模試も近いんだし、ただでさえ君は特進クラスの生徒なんだから、遊び惚けては駄目」

「は、はい」

 ユリアが真っすぐな目で、そう告げると、拓雄もちょっと感激した気分になり、返事をする。


 思えば、このところ、三人の誰かと週末は一緒に付き合わされ、自分一人で考える時間もまるでなかったことに気付いた。

 元々、インドア派で、あまり外で遊び回るタイプではなかった拓雄だが、もうちょっと自分の時間を大切にした方が良いのかとユリアに言われて、やっと気づき始めたのであった。

「やーん、先生は毎週でも一緒にいたいわ。駄目?」

「だ、駄目じゃないですけど……」

「あーあ、ユリア先生も拓雄に真面目な事を吹き込まないでくださいよ。そんな事をしたら、拓雄とやる機会が減っちゃうじゃない」

「先生たちも、少しは教師の自覚を持ってください。教え子とデートなんて、不良も良い所よ」

「はいはい、気を付けますよ。自分だって人の事言えないくせに」

「そうよ。ユリアちゃんだって、拓雄君とセックスしてるんじゃないの?」

「してません。する訳ないです。したら、二人にも言ってやりますから」

 あまりにもくだらない挑発を続ける二人に対し、ユリアも投げやりな口調でそう言い放つが、ユリアに言われた事は、拓雄も胸に響き、これから自分の時間をもう少し大事にした方が良いと思い始めた。


「ヒュー、情熱的じゃない。ま、その前に担任の巨乳美人教師様と付き合う事になるけどねえ。そうだ、今度の模試で、偏差値六十以上取ってみなさい。取れなきゃ、罰ゲームとして先生とセックスよ。取れたら、ご褒美に三人とデートね」

「え、そんなの……」

「ああ? 文句あるの? 六十未満なら、問答無用でやってもらうわよ」

「あー、私も。ね、先生ともしよう。一人も二人も同じでしょう? 何なら、今すぐにでも」

 すみれがとんでもない事を拓雄に告げると、拓雄も想定もしなかった事に動揺して、困り果てる。


「何? 偏差値六十以上取らないと、いい大学にはいけないわよー。てか、それを目標にして勉強しろってホームルームで言ってるじゃない。無理とは言わせないわよ」

「うう……は、はい……」

 確かに特進コースの生徒の目標として、模試で偏差値六十以上というのは掲げられていたので、それを取ることは拓雄にとっても大切な目標ではあるが、もう模試まで何日もないのに、それを取るのは大変だと思い、途方に暮れていた。


「じゃあ、頑張ってねえ。童貞卒業したいなら、勉強サボっても良いわよ」

「べ、勉強頑張って欲しいけど、先生としたくなったら、いつでも言ってね」

「は、はい」

「ふふ。頑張りなさい」

「「ちゅっ♡」」

 と、すみれと彩子が同時に拓雄の頬にキスをし、ようやく拓雄が解放される。

 二人の柔らかい唇の感触を頬に感じながら、拓雄は憂鬱な気分のまま家路に着いたのであった。

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