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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第八十六話 先生たちの誘いを断ることに?

「うーん、お腹いっぱいになったわねー」

「ううう……」

 昼食を食べ終わった後、四人がレストランを出て駐車場に戻るが、彩子は相変わらず恨めしそうな目ですみれとユリアを睨んでいたが、二人は全く気にすることもなく、車に乗り込み、

「まだ怒ってるの? お詫びにジュース奢ってあげたじゃない」

「ジュースくらいで、機嫌を良くするほど安くないんですけど」

「はいはい。じゃあ、何処に行く? ホテルにでも行っちゃう?」

「ホテルに行くときは二人きりの時だけです!」

「二人きりでも、教え子を入れちゃ駄目ですよ」

「今更、そんな事に気にする関係でもないですし! ああ、ごめんね、拓雄君、騒がしくて。何処か行きたい所ある?」

「え、えっと……」

 三人が車の中で言い合いしていた所で、後部座席に座っていた拓雄は彩子に話を振られるが、それを見て、すみれが彼の隣に座って、体を密着させて、


「ねえ、そんな事より、先生とどっかいかない? 午前中は真中先生に付き合ったんだから、午後は私に付き合いなさいよ」

「いきなり横槍入れてきて、よくそんな話出来ますね! 拓雄君はこれから、私とデートするんです!」

「ふーん。いつまで、そんな事言えるかしら。あん、食べかす付いてるわよ、ダーリン♡ちゅっ♡」

「キイイイっ!」

 運転席にいる彩子に見せつけるように、すみれが拓雄の腕を組んで、彼の頬にキスをし、彩子のストレスが更に溜まっていく。


 そんな二人の様子を見て、助手席に座っていたユリアは溜息を付きながら、

「二人ともうるさいわよ。日曜とは言え、生徒の前なんだから、あんまり出過ぎた真似はしない」

「はいはい。真面目ですねー、ユリアセンセは。自分だって気になって付いてきてるくせに」

 思いっきりユリアに嫌味を言いながら、すみれは拓雄から離れるが、もうこんな三人のやり取りも日常になってしまったので、拓雄も慣れてしまっていた。


「それで、何処に行くの?」

「思ったんですけど、もう帰りましょう。来週は拓雄君、模試があるでしょ」

「は、はい……」

 ユリアに思いもかけない事を言われたが、明日は模試があるのを思い出し、拓雄も勉強してなかったのを思い出した。

「へえ、真面目すぎ。拓雄と模試の勉強したいから、今日は家に帰って、個人授業しましょうって事かしら?」

「彼が望むなら、構いませんよ。教師だし、勉強を教えるのが一番の仕事ですから」

「へえ、ご立派ねえ。その模試、美術の科目あります?」

「ある訳ないでしょ。英数国の三科目よ。あら、数学もあるから、ついでに先生が個人授業しても良いわよ。真中先生はもう帰って良いですから」

「帰りませんから。勉強になろうがどうしようが、今日は拓雄君と最後までいてやりますからね」

 意固地になっていた彩子がそう言いながら、ハンドルを握って、車を走らせる。


 だが、早めに家に帰れると言うのであれば、拓雄はむしろ安堵すらしており、気を遣ってくれたユリアに感謝すらしていた。

「まだ帰りたくないの?」

「え? い、いえ……そういう訳じゃ……」

「あーん、先生ともっと一緒に居たくないのー? 大丈夫よ、模試の勉強したいなら、先生も付き合うから。ね?」

「真中先生、英語や国語、数学を教えられるんですかあ?」

「へ、平気よ。一応、美大出てるんだし、学力試験とかもあったんですからね」

「へえ、初耳。美大の入試ってどんなのか、全然想像つかないのよねえ」

「ふん、馬鹿にしないでください」

 すみれも素直にそう言っていただけなのか、何だか馬鹿にされた気分になった彩子は頬を膨らませながら、車を走らせていく。


 しかし、行く宛もないので、彩子も困ってしまい、何処に行こうか悩んでいると、

「よし、ユリアちゃんの家に行きましょう」

「私の? 良いけど、何もないわよ」

「拓雄君の家のすぐ近くってだけで、羨ましいですから」

「良いけど、拓雄君が何て言うかしら?」

「僕も別に構わないです……模試の勉強もしたいですし」

「模試……そんなに大切かしら? まだ、一年なのに」

「この子、特進クラスに在籍しているから、一年から勝負なんです。美術教師でもその位は理解してください」

「あーあ、わかりました。学業優先ですよね、学生なら」

 投げやりな態度で、結局、彩子もユリアのアパートへと車を走らせていくことにする。

 とにもかくにも、家に早く帰れそうだったので、拓雄もホッとし、


「おじゃましまーす。きゃー、相変わらず、整理整頓されているわね、ユリア先生の部屋。感心感心♪」

 ユリアのアパートの着くと、すみれもユリアより早く彼女の居間に入り、ベッドの上に座る

 まるで自分の部屋のように、くつろいでいたすみれを見ても、ユリアは特に気にする様子もなく、

「どうする? 勉強したいなら、家から勉強道具を取りに行きなさい」

「え? あ、はい……そうですね」

 試験勉強をしようにも、勉強の道具を持ってきてない事に気が付いた拓雄は、一旦、自宅に戻って、筆記用具や教材を取りに行くことにする。

 先生たちに勉強を教えてもらうのであれば、まずは勉強の道具もないのは話にならないので、拓雄も向かいにある自宅に戻っていった。


「えっと、英語の参考書と……」

「お兄ちゃん」

「え? な、なに?」

 自宅に戻り、英語と数学の参考書を選んでいた最中、拓雄の妹が部屋に入ってきて、

「ちょっと勉強教えて」

「え? ど、どうしたの? 珍しいじゃない」

「わからない事多いから。駄目?」

「えっと……」

(どうしよう……)

 これから、ユリアの部屋にすぐに戻ろうとしていたのだが、思いもかけず妹から勉強を教えてくれと言われてしまい、拓雄もどうしようか悩む。

 というより、妹が自分に勉強を教えてくれと頼むのは、かなり珍しい事であったので、拓雄も驚いてしまい、動揺していたが、妹は兄を真っすぐ見ながら、

「早く来て」

「わ、わかったから……えっと、ちょっと待って。トイレに行ってくるから」

 妹が自身の袖を引っ張って、部屋に連れて行こうとしたので、やむなく応じることにし、その前にユリアたちに断りの連絡を入れる事にする。


「うう……先生たち、怒るだろうなあ……」

 そう思いながら、スマホで三人のラインにメッセージを送ろうとしたが、どうしても躊躇してしまう。

 彼女たちの誘いを断ることは、めったになかったので、怒られるのではないかと心配したが、妹の勉強を見るのを

『すみません、急用が出来ていけなくなりました。ごめんなさい』

 と、取り敢えず彩子のラインにメッセージを送信し、トイレから出る。

 その後、返事を見ないまま、妹の部屋に向かい、彼女の勉強を見る事になったのであった。

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