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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第八十五話 サウナでの二人きりのデートも束の間

「はあ、はあ……んっ、あんっ! そろそろ、熱くなってきたわねえ」

「はい……」

 彩子と個室サウナに一緒に入って、十分以上経過し、拓雄もかなり辛くなってしまい、そろそろ出ようかと思った思っていたが、彩子にがっしりと手を握られて出るに出れなかった。


「あの、先生。そろそろ……」

「んー? もうちょっと頑張れない?」

「先生は大丈夫なんですか?」

「まあ、辛いけど、拓雄君と二人きりだから、平気よお」

「出ないと危ないと思います。無理しない方が良いですよ」

 と、顔を紅潮させて、呂律が定まらない口調でそう言った彩子であったが、誰の目にも彩子も限界に達しており、拓雄も早く出ようと促す。


 しかし、彩子はわざと拓雄に寄りかかって体を密着させ、

「せっかく、密室で二人きりなんだし、もっと楽しい事しようよー」

「だ、駄目ですよ……」

「んもう、何が駄目なのかしら? ほら、触ってもいいから」

「う……」

 彼の手を掴んで自身の胸に押し付けていき、露骨に拓雄を誘惑してくる彩子であったが、密室とはいえサウナでそんな事が出来るはずもなく、拓雄も彼女のアプローチに耐えるしかなかった。


「も、もうこれ以上、耐えられないので出ましょう」

「耐える必要なんかないー。ほら、本能のままに先生を襲って」

「そういう事じゃないです……もう、のぼせちゃうんで、出ましょう」

「あーん、まだ一緒に居たいのにー」

 これ以上は本当にのぼせて気を失ってしまいそうだったので、拓雄も流石に我慢の限界に達してしまい、彩子を強引に振り切ってサウナから飛び出す。

 あわよくばと思っていた、彩子であったが、個室とはいえサウナの中でそんな行為を行うのは難しく、仕方なく彼女も拓雄の後を追って外に出たのであった。


「はあ……熱かった……」

 サウナから出た拓雄は扇風機に当たりながら、冷えたスポーツドリンクを飲み干して、体をクールダウンさせていく。

 危うくのぼせてしまう所であったが、拓雄も彩子があそこまで粘るとは思わず、よく高温のサウナの中であそこまで居られると感心していた。


「拓雄君、ここに居たんだ」

「先生……はい……ちょっとのぼせちゃって」

「そう。ごめんね、先生もちょっと長居しすぎちゃったかも。だから、これ飲んで」

「ありがとうございます」

 休憩室で扇風機に当たりながらぐったししていた拓雄は着替え終わった彩子に炭酸飲料を渡され、それを一気に飲む。

 かなり汗を掻いてしまったため、水分を多めに取ってもまだ足りず、危うくのぼせて熱中症になりかけてしまう所であった。


「先生、サウナ好きなんですか?」

「まあ、よく来るわよ。やっぱり、汗を掻くと体がスッキリするしね」

 冷えた麦茶を飲みながら、彩子もマッサージチェアにもたれかかり、火照った体を冷やしてリラックスする。

 今日のサウナは拓雄も一緒だったため、彩子にとっても満足度の高い物ではあったが、もう少し二人の関係に進展が欲しかった。


「これから、何処か行きたい所ある?」

「特には……」

「遠慮しなくてもいいのよ。ホテルでも私の家でも好きな所を選びなさい」

「そ、それは……」

 着替えて、健康ランドから出て車に乗り込んだ所で、彩子がそんな事を言ってくるが、当然拓雄は首を横に振って拒否をする。

 二人きりになった以上は、そういった誘いが来ることはもはや拓雄も覚悟はしていたが、だからと言って、彼女の誘いに乗る気にはとてもなれなかったのだ。


「じゃあ、先生の部屋に……」

「はーい、彩子先生ー♪」

「いいっ? すみれ先生っ!」

 車を発進しようとした所で、目の前にいきなりすみれが飛び出し、思わず急ブレーキをかける。

「ちょっと、危ないじゃないですか!」

「ごめんなさーい。偶然、見かけちゃったので、つい♪ 真中先生、またウチの拓雄と不純異性交遊ですか? 本当、懲りないですねえ」

「あなたの拓雄君じゃないでしょ!」

「はは、私、この子の担任だから、別に間違ってないし。あれ、ユリア先生、何処に……」

 ユリアも一緒に着ていたのだが、何処にも姿が見えなかったので、すみれが彼女の姿を探すと、


「ここよ」

「へ? うわっ!」

 拓雄が居る後部座席の隣にいつの間にか、ユリアが座っており、平然とした顔をして彼の隣に座っていた。

「ちょっと、ユリア先生、いつの間に!?」

「ドアが開いていたから入ったんですよ。文句あります?」

「あるわよ! 勝手に人の車に入らないでください! てか、二人は何で来たんですか?」

「バスで来ました。駅から送迎バス出てるんですよ、ここ」

「知ってますけど、だったら、バスで帰ってください!」

「まあまあ。良いじゃない。折角の縁だしさあ。ほら、拓雄ー。先生たちと一緒でも良いわよね?」

「えっと……」

 問答無用といわんばかりに、すみれも彩子の車に乗り込んで、一緒に行動を共にしようとする。


 しかし、彩子は邪魔された事に立腹してしまい、頬を膨らませながら、

「一緒でも構いませんけど、お昼奢ってもらいますからね。拓雄君と私の分も」

「あら、そんなんで良いんだ。じゃあ、遠慮なく一緒させてもらうおうかしら。いいわよね、ユリア先生」

「まあ、邪魔してしまったので。お詫びも兼ねてそのくらいは」

「キイイイ……遠慮しなさいよ、少しは……」

 二人が遠慮などするはずはなかったが、彩子も無理に彼女たちを追い出すすべもなく、歯ぎしりをしながら、車を発進させる。

 どうせなら、高いレストランにでも行こうとしたが、それでも彩子の気が収まらず、どうにか、拓雄と仲の良い所を見せつけて、悔しがらせようと考えていた。


「邪魔されて悔しいのはわかりますけど、私達が一緒なのは幸運だったと思ってください。さっき、中に倉田先生いましたよ」

「え? そうだったの?」

「そうよー。奥さんと一緒だったけど、二人の事、見られていたんじゃない? あーあ、教師が教え子とサウナなんて絶対問題になっちゃうわよ」

「く……平気ですよ、たまたま一緒だったって言いますし」

「そうですね。私達三人と一緒にサウナに行ったら、たまたま拓雄君と会っちゃったって弁明しておきましょうね」

 三人の同僚の教師が、中に居たことに彩子は全く気が付かなかったが、もし見られていたら、自分だけじゃなく拓雄にも迷惑が掛かってしまうので、彼女も少しだけ焦る。


 だが、利用できるものは利用させてもらおうと、彩子は三人と一緒にいたということにしておき、どうにかこの後、二人きりになる機会をうかがっていた。

「ねえ、拓雄。今度は先生とサウナに行かない―? 真中先生と一緒に行ったなら、担任の私とも行けるわよねー?」

「え? いいですけど……」

「きゃー、いいって。もちろん、二人きりよ。忘れないでね」

「ぜってー、邪魔してやるから、覚悟してなさい。ユリア先生も、私らに気を利かせてくださいよ」

「そんな義理はないですし」

「むうう……同僚としての義理ですよ!」


 拓雄に密着して座りながら、彩子の言葉も淡々と受け流すユリアであったが、結局三人と一緒になってしまい、拓雄も少し苦笑しながら、ユリアを見つめる。

「ちょっと、手を握らないでください」

「たまたま触れただけ」

「うそっ! がっちり握ってるじゃないですか!」

「はいはい、前を見て運転してねー。事故ったら洒落にならないですよ。ほら、そこの店に入りましょう。私らが好きなの奢りますから、真中先生も機嫌直してください」

「餌付けされるほど、単純じゃないです」

 何て騒ぎながら、近くの飲食店に入り、四人で昼食を摂る。

 

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