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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第八十三話 先生たちのアプローチはしつこい

「はーい、今日から三学期よ。冬休みはみんな楽しく過ごせたかしら?」

 冬休みも終わり、三学期の始業式の日となり、すみれがいつものようなハキハキした口調で、ホームルームを行う。

 既に式は終わり、後は連絡事項を告げて、今日は終了となるのだが、やはり今日から本格的に授業が再開されるとあって、拓雄も少し気が重くはなっていた。


「ま、みんなは冬期講習やら勉強合宿で学校に行っていたし、部活の子もいたわけだけど、とにかく気を引き締めて頑張りなさい。受験まであと二年なんだから、特進の子たちは特に今から意識しておくように。んじゃ、今日の連絡事項は終わり」

 と、簡潔に連絡を告げた後、すみれはホームルームを終わらせ、教室を後にする。

 これから部活がある者もいるが、拓雄は今日は予定もないので、帰り支度を進め、教室を出て行った。


「拓雄くーん、こんにちは」

「あ、彩子先生。こんにちは」

 廊下を歩いていると、彩子がエプロンを付けた姿で声をかけてきた。

「ふふ、今日はこれから部活の顔合わせがあるの。拓雄君も良かったら、来る?」

「あの、僕は美術じゃないので……」

「やーん、別に良いのよ、遠慮しないで。拓雄君だったら、即入部許可するから」

「え、えっと……急に言われてもちょっと」

 また部活に勧誘されそうだったので、拓雄も困ってしまい、目を泳がせて、どうにかこの場から逃れる口実を考える。


 拓雄じゃなくても、入部を希望する生徒がいるなら、拒否するのは問題なのだが、彩子はそんなことなどお構いなしに、拓雄を何とか部に引きこもうとしていたのであった。

「くす、じゃあ今夜また連絡するから。じゃねー」

 と、耳元で囁いた後、彩子は拓雄の元を去り、拓雄も一先ず安堵する。

 あまり、ここで長話をしていると、彩子も拓雄に迷惑がかかると思い、空気を読んだ形だが、新学期が始まっても相変わらずの彩子を見て、拓雄も少し気が重くなっていた。


「はあ……帰ろうっと」

 拓雄は肩を落としながら、家路に着く。

 今日は特に予定もなかったので、久しぶりにゆっくりしたいと思い、帰ることにしたのであった。


「あ、ユリア先生……」

「…………こんにちは。今、帰り?」

「は、はい」

 一階に降りると、ユリアがスーツを着た姿で、窓を眺めていたので、拓雄も軽く挨拶する。

「そう。気を付けて帰りなさい」

「はい。さようなら」

 と、淡々とした口調でユリアと挨拶を交わし、拓雄も彼女に視線を送りながら、そそくさと彼女の元を去ろうとする。


 しかし、ユリアの事が気になったのか、

「あの、先生」

「何?」

「え、えっと……今日はこれからその……」

「今日は生徒会の集まりがあるの。それが何か?」

「いえっ! 何でもないです!」

 訝し気な目で睨まれながら、そう告げられ、拓雄も一礼して、改めてこの場から去る。

 彼女は教師なので、生徒が帰った後も仕事があるのは当たり前なのだが、そんな当たり前の事をわかりながらも、どうしてこんな事を聞いてしまったのかと、拓雄も少し恥ずかしくなってしまった。


「ん? はい」

『拓雄くーん、こんばんわ。元気している?』

「あ、彩子先生。こんばんわ」

 夜中になり、部屋でテレビを見ていると、彼女が学校で言った通り、拓雄に電話がかかってきた。

『うんうん、元気よ。拓雄君の事が気になっちゃって。えへへ、今日から新学期だけど、拓雄君どうだった?』

「まあ、何とか」

 と、しばらく彩子と他愛もない話を続けていく。

 しかし、わざわざ電話をしてきたのだから、何かあるのではないかと警戒していており、いつ電話を切ろうか拓雄も悩みながら、彼女と会話していた。


「あの、もう遅いので……」

『あ、待ってよ、拓雄君。ねえ、先生と付き合わない?』

「い、いきなり何を……」

『いきなりじゃないでしょ。もう何度も言ってるんだけど、まだ返事出来ないの?』

「うう……ちょっと、今は無理です……」

 彩子に迫られ、半泣きになりながら、拓雄はそう絞り出すのがやっとであった。


『あーん、先生、これだけあなたの事を想っているのに、まだ届かないのね。しかたないわ。先生とセックスしたくなったら、いつでも言ってね。授業中でも構わないから。じゃねー』

 と、一方的に告げて彩子がようやく電話を切り、拓雄も安堵の息を漏らす。

 いくらなんでも授業中にこんな事を言えるはずはないのだが、彩子の口調からどうも本気のようだったので、拓雄も怖くなり、溜息を付きながら、ベッドに仰向けになっていった。


「あ、また電話だ……はい」

『はーい、拓雄。元気してる?』

「す、すみれ先生……どうしたんですか?」

『何よ、用がなきゃ電話しちゃいけないっての? つれないわねえ』

 今度はすみれから電話がかかってきたので、拓雄も少しうんざりした顔をし、電話に出るが、すみれは彼の気を知ってか知らずか、いつもと同じ口調で話を進めていく。


『ねえ、明日の昼休み、暇?』

「はい? 別に何も予定はないですけど……」

『なら、先生と一緒にお昼食べない? ああ、正確には例の二人も一緒になると思うけど』

「は、はあ……良いですけど」

 何のことかと思ったら、お昼ご飯の誘いだったので、拓雄も特に考えもせずに返事をする。

 しかし、これで話が終わる訳ではなく、すみれは続けて、

『ねえ、先生と付き合いなさいよ』

「え? 付き合うって……」

『ああ? 恋人、彼氏になれって言ってるのよ。今更だけど、さっさと返事なさい』

「うう……ちょっと、それは……」

 彩子に続いて、すみれにまで交際を当然のごとく迫られ、拓雄も困った顔をして、首を横に振る。


 だが、すみれは有無を言わさないとばかりに、

『あのねー、いい加減、態度をハッキリさせなさいよ。先生と一夜限りの関係でも良いから、とっととセックスしたいですって言いなさいって』

「い、言えませんよ、そんな事……」

 よくこんな事をハッキリと口に出来るなと、拓雄も感心してしまったが、すみれは緩める事はなく、

『ま、いずれあんたは私の物になるけどねー。卒業までには有無を言わさず、大人な関係になってデキ婚してやるから覚悟なさい。あと二年よ、二年。拓雄がそうやって逃げ続けて独り身を謳歌出来るのはね。じゃあねー』

「うう……」


そう一方的に告げた後、すみれはようやく電話を切り、拓雄もさらにうなだれてしまう。

いくら断ったり、返事を保留したりしても、彩子とすみれはしつこいくらい食い下がってくるので、拓雄も頭を悩ますばかりであり、彼女らとの関係をどうすれば良いのか悩みが深まるばかりであった。

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