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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第六十四話 早くもすみれ先生との関係に暗雲が

「ヤッホー、拓雄」

「っ! お、おはようございます……」

 翌朝、拓雄が廊下を歩いて教室に向かう途中、すみれが満面の笑みで挨拶をして来たので、拓雄も恐る恐る挨拶を返す。

「おはよう、拓雄君」

「おはようございます」

 すみれと一緒にいたユリアも拓雄に朝の挨拶をする。

「ねえ、昨日は付き合ってくれてありがとう」

「えっ!? は、はい……」

「昨日?」

「うん。拓雄とデートしたの」

「す、すみれ先生っ!」

 あっさりとユリアにバラしてしまったすみれに驚いて、狼狽する拓雄であったが、すみれは平然とした顔をし、

「大丈夫よ、周りに誰もいないし。別に二人で出かけるのは初めてじゃないじゃない」

「そうね。何で、私の目の前で、そんな事を言ったのかは気になりますけど」

「そんなに気になるー? くす、まあ良いわ。早く教室に行きなさい。これから、職員会議あるし、先生たちはこれで。教室でねー」

 普段の様子と少し違うことを即座に察したユリアは、訝しげな目で、すみれを睨みながら、一緒に職員室に行き、その様子を見て、拓雄もバレてるんじゃないかとハラハラしていた。

 が、自分には黙っていることしか出来ず、このままバレずに済む事を祈りながら、教室へ行ったのであった。


「はーい、拓雄君。今日は来てくれてありがとうー」

 放課後になり、拓雄が彩子に美術室に呼ばれて、また補習をさせられ、彼女に言われた通り、スケッチブックを開いてデッサンを開始する。

「ねえ、拓雄君。昨日、すみれ先生とデートしたんだって?」

「っ! は、はい……」

「ふーーん、いつのまに。ね、今度は私とデートしない?」

「え?」

「良いじゃない。すみれ先生と出来て、私と出来ないなんて、ないわよねえ? 早速、今度の日曜日に、ねえ……」

「う……」

 彩子が身を乗り出して、拓雄に抱きつきながら、甘えるような声でデートに誘う。

 今日の補習は、それが目的でもあったのだが、もう一つ、確かめたいことがあったからだ。

「ほら、早く。それとも、何か用事でもあるの?」

「その……まだ、予定がよくわからないので」

 と、即答できなかった拓雄は止むを得ず、引き伸ばしの回答をしてはぐらかすが、いつもであれば、オドオドしながらも、すぐにオッケーをする彼にしては、おかしいとすぐに察した。

「ふーーん……わからないねえ……じゃあ、出来る限り、早く返事をちょうだい。先生、楽しみにしてるからね。ちゅっ♡」

「っ!」

 訝しげな目をしながらも、ひとまず彩子も引き下がり、拓雄の頬にキスをして、形だけの補習を済ませて言ったのであった。


 そして、その夜――

『はーい。あら、拓雄、どうしたの、電話なんか珍しい』

「あ、あの……」

 家に帰った後、すみれに電話をし、夕方に彩子にデートに誘われたことを話す。

『ふーーん、真中先生にデートに誘われたねえ……んで、断ったの?』

「いえ、どうしたら良いのかと思って……」

『どうも何も断るのが当然でしょうが。あんた、私の彼氏でしょう』

「う……そ、そうですよね……」

 一応、すみれに伺いを立てて、オッケーしてくれたら、彩子の誘いを受けようかと思ったが、すみれに当然のごとくそう言われ、拓雄も力なく頷く。

 強引にとは言え、すみれとの交際を了承してしまった以上、迂闊に他の女子と仲良くは出来ないと思い、彩子に誘われた際も困っていたが、彩子がここで引き下がるとは思えず、

『ぷっ、そう言いたい所だけど、良いわよ、行っても。一応、私らが付き合ってることはあの二人にも内緒なんだし、出来る限り、いつも通り、振舞わないと怪しまれるもんねえ。ま、あんまりやり過ぎないように健全なデートをしなさい」

「はい……あの、やり過ぎってのは具体的には……」

『セックスに決まってるじゃない。まさか、やる気じゃなかったでしょうね』

「ぶっ! し、しませんよ!」

 ストレートにそう言ってきたすみれの言葉を聞いて、思わず吹き出してしまい、電話越しに苦笑いしてしまう。

 だが、オッケーしてくれた以上、彩子の誘いを断る理由はないと思い、

「あの、本当に良いんですね?」

『しつこいわねえ。本当は嫌に決まってるけど、私たちの関係バレたら、面倒なことになるから、仕方なくよ。てか、真中先生とのデートも私とユリア先生以外の人に知られないようにね』

「はい」

 教師らしい口調で、拓雄に釘を刺した後、二人が電話を切り、拓雄もホっと安堵の息を漏らす。

 すみれの了承を得たとは言え、罪悪感は払拭しきれず、このまま彩子とデートしても良いのかと、思いながら、時間が過ぎていった。


「ふふん、ねえ、今度の日曜はどこ行こうか?」

 数日後、昼休みに美術準備室に呼び出された拓雄は、彩子に腕を組まれて、密着されながら、次のデートのプランを考えていく。

「ちょっと、彩子先生、ベタベタしすぎ」

「良いじゃない、別に。ねえ、何処が良い? 拓雄君が好きな場所、どこでも連れて行くわよ」

「ふーーん、じゃあ、ラブホにでも行ったら?」

「ちょっと、すみれ先生! デリカシーのないこと言わないでください」

 あまりにもあかさらまに拓雄に密着している彩子に呆れたような口調で、すみれがそう言ってやると、彩子も声を荒げる。


「ぶうう……あんまり、教え子にベタベタするのも、どうかと思いますけど」

「すみれ先生がそれ言います? 散々、拓雄君にセクハラしている癖に」

「ふふ、そりゃあ、私も拓雄の彼女候補だし、変な虫が付くのはあまり良い気分はしないわよ」

「へえ、すみれ先生もそういう事、気にするんですか。今まで、私が拓雄君に何をしても文句言わなかったのに」

「ちょっと本気になってるのよ。悪い?」

 彩子が、更に拓雄の腕に密着して、そう言うと、すみれも出来る限り、平静さを装って、答える。

 だが、いつもの光景とは言え、やはり彼氏が他の女とくっついているのはあまり良い気分はせず、内心嫉妬を抑え切れなくなっていったすみれであった。

「悪いですよ。ねえ、拓雄君? ちゅっ♡」

「――!」

 と言うと、彩子は見せつけるように、教え子の拓雄と唇を軽く重ねてキスをする。

 彼女の唇が重なった瞬間、驚いて目を見開く拓雄であったが、そんな彼に追い打ちをかけるように彩子は抱きつき、

「ん、ちゅっ、んん……ねえ、拓雄君……好きよ。先生と付き合ってえ」

「う……それはちょっと……」

「くす、まだ返事引き伸ばす気? でも良いわ。今度のデートで必ずうんと言わせるから。週明けには二人に私達が付き合ったって報告するから、よろしくね」

「へ、へえ。やってみなさいよ」

 彩子の大胆な宣言にすみれも顔を引きつらせながらそう返事する。

 拓雄は彩子の発言を聞いて更に頭を悩まし、逃げ出したい気持ちでいっぱいになっていた。

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