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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第五十一話 彩子先生とのデートはとても危なっかしい

「あ、拓雄くーん。こっち、こっち」

 土曜日になり、今度は彩子とのデートの番になった拓雄が待ち合わせ場所である、公園に向かうと、車に乗っていた彩子が運転席から手を振って、拓雄を招き寄せる。

「えへへ、よく来てくれたね。先生、嬉しいわあ。さっ、後ろに乗って」

「あ、はい」

 拓雄を満面の笑みで出迎えた彩子は、彼を後部座席に座らせ、車を発進させる。

 本当は助手席に乗せたかったが、前の席に座らせて、一緒に車に乗ってデートしている所を見られたら、まずいので、窓にシャドウをかけてある後部座席に拓雄を座らせざるを得なかったのであった。


「ふふ、これから美術館に行こうと思ってるけど、拓雄君は他に行きたい所、ある?」

「えっと、特には……」

「んもう、遠慮なく言って良いのよ。先生、拓雄君と一緒なら、何処へでも付いていくから。近くの公園や空き地でも、公衆トイレだって嬉しいんだから」

「は、はあ……」

 よくわからない例えを出されて、拓雄も苦笑いしながら、頷く。

 彩子は三人の中でも特に、拓雄に対する好意を露にしており、彼も何故、彩子がそこまで自分の事をと首を傾げるばかりであったが、そんな幼い教え子を穏やかに微笑み、

「くす、それ位、拓雄とのデートは嬉しいのよ。教師と生徒の立場だから、あまり堂々と二人で出歩け無いのは残念だけど、どうしてもって言うなら、毎週でも……」

 と運転しながら、禁断の愛に溺れている自分に酔いしれていた彩子はすっかり舞い上がってしまい、拓雄もそんな彩子を見て、やや引いてしまう。

 好意を正面からぶつけてくれるのは嬉しかったが、それが重すぎて、受け止められる物ではなかった。


「あ、この絵、知ってる? この前、美術の授業で教えたと思うけど、イタリアのルネサンス時代を代表する画家でね……」

 二人で美術館に到着し、美術教師らしく、展示されている絵画の解説を行う彩子。

 とても、楽しそうに絵を見て解説しているのを見て、そんな姿も彼女らしいと感心しながらも、それ以上に、彩子が必要以上に拓雄に密着し、彼の手をぎゅっと握っているのが気になって、彩子の話も耳が入らなかった。

「ん……た、拓雄君……もしかして、つまらなかった?」

「えっ!? そ、そんな事は……」

「もし、つまらないなら、遠慮なく言って。君が楽しくないと、先生も全然楽しくないから……あ、やっぱり出る?」

「つまらなくないです。でも、先生と手を繋ぐのが、その……」

慌てて、拓雄がそう言い訳すると、彩子も彼と繋いでる手を見て、顔が赤くなる。

「くす、ごめんね。でも、やっぱり一緒に手を繋いでいたいから……大丈夫よ、ちゃんと周りは確認しているから」

「はあ……」

 そうは言うが、学園の生徒は千人以上いるので、いつ何処で、自分たちの知らないウチの学園の生徒や教職員がいないか、拓雄の方がハラハラしていた。

「じゃあ、今度はあっちの彫刻、見に行こうか」

「はい」

 拓雄の懸念をよそに、むしろ彩子はぎゅっと手を強く握り、今度は彫刻像のコーナーへと向かう。

 美術館なので、ゆったりした雰囲気の中、二人で楽しみ、彩子の芸術に対する造詣の深さに、彼女は心から美術が好きなんだと思い知ったのであった。


「へへ、お昼はお弁当作ってきたの。ここで食べようか」

 美術館を後にし、近くの公園の広場に行き、ベンチに座って、彩子が作ってきたお弁当でお昼を摂る事にする。

 弁当箱を開けると、彼女らしいカラフルなお弁当で、ミニハンバーグ、サラダ、トマト、フライドポテトに、卵焼きと様々なおかずがキレイに詰め込まれており、相当時間をかけて作ってきたのが、拓雄でも一目見て、分かるほどの気合の入れようであった。

「はい、どうぞ。いっぱい食べてね」

「いただきます……」

 彩子が差し出した弁当のおかずを口にし、彩子もドキドキしながら、その様子を眺める。

「どうかな?」

「美味しいです」

「良かったあ! あ、おにぎりとお茶もあるから、どんどん食べてね」

「は、はい」

 本当に美味しかったので、素直にそう言うと、彩子も持って来たお茶やおにぎりを差し出して、拓雄も言われるがままに、食べて行く。

 過剰とも言えるもてなしに、拓雄も戸惑いつつも、悪い気はせず、彩子とのランチタイムは穏やかに過ぎて行ったのであった。


「ん……ごちそうさまでした。美味しかったです」

「本当? そう言ってくれたのなら、作った甲斐があったわ」

 お弁当を食べ終わり、拓雄がお茶を飲み干した後、彩子に弁当箱を返すと、彼女もベンチの隣に座っていた彼に密着して、また手を繋ぎ始める。

 すっかり彼女気分でいた彩子であったが、拓雄はまだそんな気分にはなれず、積極的に自分にアプローチを仕掛けてくる彼女の事がどうしても気になり、

「あの、先生」

「何?」

「その……どうして、僕と……」

「拓雄君と……何?」

「い、いえ……僕と一緒で楽しいですか?」

 何故、僕の事がそんなに好きなのかと聞こうとしたが、流石に恥ずかしくなってしまい、そう聞くと、彩子はクスっと笑って、

「楽しいに決まっているじゃない。拓雄くん、とっても可愛くて良い子だし、居るだけでも嬉しいわ」

そうハッキリ答えてくれたが、まだ彼は納得しきれなかった。

 だが、これ以上聞き出そうにも恥ずかしくて、聞けずにおり、そのまま彩子と手を繋ぎながら、穏やかに晴れた日曜日を過ごしていった。


「はい、ソフトクリーム」

「ありがとうございます……」

 その後、近くの売店でソフトクリームを彩子が買ってきたので一緒に車の中で食べる。

 彩子が一口、ソフトクリームを舐めた後、隣に座っていた拓雄に差し出し、

「拓雄君、食べて、食べて」

「え……? は、はい……」

 彼女の食べかけのソフトクリームを言われるがまま、口にする。

 間接キスになるが、既に慣れていた為、拓雄もさほど躊躇いもなく食べてしまい、彩子はそれが嬉しかったのか、

「きゃー、ありがとう、拓雄君♪ もう先生、大好きよ。ちゅっ♡」

 とはしゃぎながら、彼の頬にキスをする。

 彩子の唇が頬に触れた瞬間、恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまい、俯きながら、ソフトクリームを食べていた彼に、

「ねえ、拓雄君。すみれ先生とユリアちゃんとはもうエッチしちゃった?」

「んぐっ! し、してません!」

「そう。二人ともしなかったって言っていたけど、拓雄君が言うなら、本当なのね。じゃあ、先生としてみる?」

「え、ちょっと……ん、んんっ!」 

「ちゅっ、んん! ちゅっ、ん……」

 そう甘い声で囁くと、彩子は不意に唇を重ね、彼女と何度目かのキスをする。

「ん、んん……はあっ! ねえ、拓雄君……先生、君の彼女よね?」

「そ、それは……」

「先生を彼女にするの嫌? それとも、すみれ先生やユリアちゃんの方が好き?」

「う……」

 口を離した後、彼の手を握って、自身の胸に手を押し付けながら、潤んだ瞳でそう迫る彩子。

 何度も聞かれていたが、拓雄は即答出来ずに、顔を逸らしていた。

「拓雄君のそんな困っている顔も可愛くて、先生大好きよ。でも、いい加減、ハッキリさせて欲しいなあ……ユリアちゃんもすみれ先生も綺麗だし、いつ取られるか不安なの。だから、先生を彼女だと言ってくれない?」

と迫るが、拓雄はまだ答えられなかった。

 ユリアやすみれの事が気になってるのは事実であり、拓雄も気持ちが定まらずに困っていたからであった。

「先生、君がハッキリしない限り、貴方の彼女として接するから覚えておいてね。今はまだ高校一年だから、自重してあげるけどお……それもいつまで持つかわからないわ。くす、来年には拓雄君の赤ちゃん産んじゃうかも」 

「そ、それは……」

 拓雄に寄り添いながら、教師とは思えない事を宣告する彩子。

 彼女の言葉が冗談ではない事は彼も理解しており、拓雄も青ざめた気分のまま、彩子に体を密着され、何度もキスされて、マーキングされてしまったのであった。


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