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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第四十一話 文化祭でも先生に付き纏われる

 文化祭当日になり、拓雄はクラスの友人達と校内で出展されている店を回っていたが、その友人たちが店番の時間になり、一人で美術部に足を運ぶ途中、

「まあ、拓雄君! もしかして、一人?」

「あ……彩子先生……」

 美術室の近くで、彩子とバッタリ会い、彼女が嬉しそうに拓雄に駆け寄ってきた。

「もしかして、美術部を見にきてくれたの?」

「はい」

「嬉しいなあ。あ、ほら入って、入って」

 彩子に手を引かれて、拓雄が美術室へと案内される。

 美術部に来てくれた事が何より嬉しく、彩子も浮かれた顔をして、彼を案内していった。


「ほら、この絵なんかよく描けているでしょう。美術部の部長さんが描いた絵なんだけどね」

 彩子が展示されている絵画を一つ一つ、丁寧に拓雄に解説していく。

 今日は文化祭初日で、一般公開はされておらず、校内限定だった為、美術室の中には彩子と拓雄以外には受付の美術部員以外、見学客もいなかった。

「ねえ、これからどうするの?」

「うーん、クラス展示の方をちょっと手伝うかもしれないです」

「そう。じゃあ、先生とちょっと付き合ってくれない?」

「え……あ、はい……」

『付き合う』と言うフレーズにドキっとしてしまった拓雄が、彩子に言われて、美術室を一緒に出る。

 そして、人気の無い階段の前まで行くと、

「ねえ、先生と一緒に回ろうよー」

「う……あの、流石にちょっと……」

「むうう……ちょっとって、そんなに先生と二人になるの嫌なの?」

 拓雄にいきなり抱きついて、子供が親におねだりするような甘い口調で、彩子がまた文化祭を一緒に回ろうと誘っていく。

 今は人が居ないとは居え、いつ誰か来るかわからない様な状況で、彩子に抱き付かれて、拓雄も冷や冷やしていたが、彩子は構わず、彼を壁に押し付けて、体を密着させていき、

「ね、良いでしょう? それが嫌なら、後夜祭、先生と二人きりになって欲しいなあ。すみれ先生やユリアちゃんと一緒も悪くないけど、やっぱり拓雄君と二人きりじゃないと嫌だあ」

 教師とは思えない事を、まだ高校一年の男子生徒に対して迫っていき、拓雄も彩子の甘い香水を感じて、更に胸が高鳴る。

 一度は断った筈だが、校内であるにも関わらず、彩子は大胆すぎる行為に、拓雄も困惑してしまい、助けを求めるように、涙目になっていたが、

「ねえー、駄目―?」

「うう……ちょっ、ちょっと考えさせてください」

「あ、もうっ……」

 堪らず、拓雄も彩子を突き飛ばして、この場から逃れる。

 あんな場面を見られたら、彩子だけじゃなく、拓雄もとても学校には居られなくなるので、もう逃げる以外は考えられなかった。


「きゃあっ!」

「あっ! す、すみません……あ……」

「いたた……こら、廊下は走らない! あれ、拓雄じゃない」

 階段を降りてすぐ、渡り廊下にさしかかった所で、拓雄はすみれとぶつかってしまう。

「すみれ先生……」

「もう、何やってるのよ。廊下を走ったら危ないでしょう」

「拓雄くーん。もう、逃げるなんて酷いわよ」

「あら、真中先生。ふーーん……」

 彩子がすぐに駆けつけたのを見て、すみれも大よその事情を察する。

「んもう、折角、誘ったのにい……」

「そう。ちょっと来なさい、二人とも。事情を聞いておきたいから」

「は、はい……」

 すみれが拓雄の手を引いて、生徒指導室へと彩子と共に向かう。

 折角、彩子から逃げられると思ったのに、今度はすみれの指導を受ける事になってしまい、拓雄も泣きそうになっていた。


「ふふ、真中先生と何をしていたのかしら、拓雄―?」

 生徒指導室に行くと、すみれは彼の隣に座って体を密着させ、腕を首に回して耳元で甘い声で尋問する。

「文化祭、一緒に回ろうって誘ったんです。それなのに、逃げちゃってえ」

「あら、いけないわね、それは。断るならしっかり断らないと」

「うう……すみません」

「ふん。発情した女性教師に迫られてるからって好い気にならないでよ。んーー、ちゅっ、ちゅっ」

「――っ!」

 すみれが彼の耳たぶにキスをし、拓雄もぎゅっと眼を瞑る。

 もはや教師とは思えないセクハラ行為であったが、二人とも既に一線は越えているので、遠慮などする気はなかった。

「ねえ、一緒に行こうよ。嫌なら、後夜祭だけでも良いわ」

「そうね。ついでに私とユリア先生も一緒に」

「二人きりが良いんです!」

「そんなの私だって。ほら、さっさと返事なさい。しないと、私ら妊娠しちゃうかもよ」

「に、妊娠って……」

 意味がよくわからなかったが、すみれは本気でそう迫り、彼の股間を手で擦っていく。

 もうキスもしているのだから、それ以上しても構わないと、二人とも思っており、すみれも彩子も昂ぶった気分になって抑えきれずにいたのであった。

「ほら、どうなの?」

「わ、わかりました」

「ふん。それで良いのよ。んじゃ、後夜祭になったら、体育館裏に集合ね」

「あーーん、二人きりが良かったのに。でも、良いわ」

 結局、拓雄も折れて、三人で後夜祭を過ごすことを同意し、やっと二人から解放される。

 三人で文化祭を回る事自体は、そこまで嫌でもなかったが、こんな脅される形で、三人と一緒に過ごさねばならなくなった事に拓雄も憂鬱な気分になっていた。


 翌日――

「どこに行こうかな……」

 文化祭二日目――一般公開の日になり、多くの見学客で校内が賑わっている中、拓雄は各クラスの出し物を見て回る。

「あ、もしかして、黒田君?」

「え……」

 渡り廊下を歩いている所で、不意に背後から声をかけられたので、後ろを振り向くと、

「久しぶりー。へへ、元気してた?」

「あ……猪原先生」

 以前、教育実習に来た猪原麻美が拓雄に声をかけ、嬉しそうに彼に近づいていく。

「今日、文化祭だって言うんで来たんだあ。黒田君のクラスって何をしているの?」

「僕のクラスは焼きそばの屋台を……」

「そうだったんだ。ふふ、ねえ、良かったら一緒に回らない?」

「えっ? えっと……」

 いきなり麻美に誘われたので、困っていたが、拓雄も彼女に手を握られ、

「駄目?」

「は、はい」

「じゃあ、行こうか」

 思わず頷いてしまい、拓雄も麻美と一緒に文化祭を回っていく。


「美術部かあ。ちょっと入っていこうか」

 まずは美術室に麻美は拓雄と共に入り、展示品を見て回る事にする。

 彩子と会わなければいいなと思っていたが、その期待は即座に裏切られた。

「ええ、そうなの」

「ふーん……この絵なんか……あ」

「あっ!?」

 麻美と一緒に美術室へ向かうと、ちょうどユリアと彩子が室内で話しているところと、出くわしてしまい、麻美と拓雄が一緒に居る所を見て、彩子は表情を強張らせる。

「あ、ユリア先生」

「猪原先生でしたっけ? 教育実習に来た」

「はいっ! お久しぶりです。えっと、真中先生でしたよね?」

「ふふ、遊びに来てくれて、嬉しいわ」

 しばらくぶりにユリアと対面した麻実は嬉しそうに彼女に近づき、握手する。

 憧れていたユリアと会えて麻美も嬉しそうにしていたが、彩子は愛想笑いをしながらも、二人を睨みつけており、拓雄も気が気でない気分になっていた。


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