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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第三十八話 先生達はみんな僕の彼女です

「いやー、映画面白かったわねえ」

「そうですね。俳優の演技、イマイチでしたけど」

「細かい所まで見てるんですね。さすが、ユリア先生」

「うううーーー……」

 四人で映画を観終わり、映画館を出ると、相変わらず彩子はうなだれながら、すみれとユリアの二人を睨みつける。

「まだ怒ってるんですか、真中先生?」

「この怨みはらさでおくべきか~~……」

「ははは、まあ良いじゃない。下手したら、真中先生だってクビになっていたかもしれないんだし。お昼ごはん、奢るから、機嫌直してよ」

「いつもそうやって脅しますね。絶対、拓雄君と二人きりになってやりますから、見ててください」

「事実なんですから、仕方ないです。お昼何処で食べます? 拓雄君が一緒だと、あまり人目に付く場所では食べられないですけど」

「あ、それじゃあ僕は一人で……」

「駄目。あなたを一人にしては、とても危ないわ」

 三人に気を遣い、拓雄はもうこの辺で帰ろうとしたが、ユリアが引き止める。

 彼を帰らせる気は毛頭なく、ユリアもすみれも今日も一日、拓雄と過ごす気でいたのであった。


「へえ、個室つきのお店かあ。悪くないわね」

「そうですね。私、天丼とそばのセットにするわ」

 四人は個室つきの和食のレストランへと行き、そこでお昼を摂る事にし、拓雄も緊張した面持ちで海鮮丼を注文する。

「あ、あの、彩子先生?」

「なーに?」

「その、あまり密着されるとちょっと……」

「くす、良いじゃない。先生、拓雄君ともっとお近づきになりたいし」

 と、拓雄の隣に座っていた彩子が不必要な位、体を密着させて、腕まで絡ませていく。

 デートを二度も邪魔された腹いせに、拓雄と密着して、カップルである事を二人に見せつけている様だが、そんな彩子の様子を見て、すみれも苦笑しながら、

「真中先生も可愛いわねえ」

「それはどうも。だったら、邪魔しないで頂けますか? 私、拓雄君の彼女になりますから」

「ちょっ、ハッキリ言わないでくださいって。誰が聞いてるかわかりゃしないんですから」

 個室とは言え、壁が薄い為、大きな声を出せば隣の座敷にまで話し声が聞こえてしまうので、すみれも冷や冷やしながら、周囲を見渡すが、むしろ彩子はバレても構わないとすら思っており、

「はあ……これは重症ですね」

「そうね。カウンセリングが必要だわ。お昼を食べたら、ユリア先生の家に集合ね。緊急の会議を開くわ」

「賛成―」

「ちょっと、勝手に決めないでください! 私、拓雄君と二人きりになりたいんですからあ!」

 二人が勝手に話を進めてしまい、彩子も怒りながらも、

 しかし、拓雄も彩子との二人きりのデートは、気乗りしなかったので、むしろちょうど良いと思い、自宅のすぐ近くにあるユリアの家なら何かあった時も安心だと思ったからであった。


「んーー、やっぱりユリア先生の家は落ち着くわね」

「そうかしら。さ、入って」

 結局、昼食を食べた後、四人でユリアの家に行き、ユリアに案内されて部屋に入る。

 彩子は終始、ムスっとした表情をしており、拓雄の腕に密着しながら、そのまま彼と腕を組んで、勝手に座る。

「んで、いつまで拓雄の彼女面してる気ですか、彩子先生―?」

「そうですよ。少しは立場を弁えて下さい」

「弁えてますよ。だから、外に居る間は我慢したじゃないですか。拓雄君、君は先生の彼氏だよね?」

「えっ!? そ、それは……」

 いきなり、ストレートに彩子に聞かれてしまい、拓雄も動揺するが、彩子は更にぎゅっと腕を強く抱いて、

「そうだよね!?」

「ち……違います!」

 と、珍しく語気を荒げて迫った彩子に対し、拓雄も勇気を振り絞って、首を横に振る。

「おお、拓雄にしてはハッキリ言ったじゃない。褒めてあげるわ」

「ですね。これで、二人の関係はハッキリしたわ。彩子先生、彼はあなたに迷惑がっているわ。これ以上、拓雄君に密着するのは止めておいたほうが良いわよ」

「うう、まさかハッキリ否定されるとは……ねえ、先生と付き合うの嫌?」

「い、嫌ではないですけど、その……」

 正直、拓雄も彩子の事は嫌いではないし、付き合える物なら付き合ってしまっても良いとすら思っているが、やはり彼女が教師である事が引っかかっていた。

 もし自分と付き合っている事がバレたら、彩子は即解雇。しかし彼女はもう彼に何度もキスをしたりしてるので、既に教師としての一線は踏み越えており、彩子は今更、クビなど恐れてはいなかった。

「やっぱり、ユリアちゃんとすみれ先生も気になるの?」

「う……」

 潤んだ瞳で、彩子がそう聞くと、拓雄も向かい側に座っている、ユリアとすみれに視線を送る。

 正直、彩子と同じくらい、二人の事も気になっており、それも返事を躊躇させる一因となっていたのだ。

「へえ、私の事も気になるんだ。ま、そうよねー。へへ、なら付き合ってみる?」

「ハッキリ言い過ぎです。冗談でも、問題になりますよ」

「半分は冗談だけど、半分は本気。ほら、どうなのー? いっそ、先生達の前でハッキリさせなさい」

「うう……」

 いくらなんでも、三人が見ている前で、選ぶ事など出来る筈はなく、拓雄も泣きそうな顔をして俯く。

 だが、彩子はそんな彼を見ても、一向に引こうとはせず、

「拓雄君、私が教師だから付き合えないの? なら、教師辞めたら付き合ってくれる?」

「そ、そんなの嫌です」

 彩子が教師を辞める事など、望んでもいなかったので、冗談でも言ってほしくなかったが、彩子は本気であり、

「先生、拓雄くんが卒業するまで待てないし、待つつもりはないよ。今すぐでも付き合いたいな。何かあれば責任は全部私が取るから、お願い」

 と、真剣なまなざしで、彩子が迫るが、そんな重すぎる愛は拓雄にはむしろ逆効果であり、受け止めきれるものではなかった。


「もうこの話は終わりにしましょう。拓雄君に無理に返事をさせるのは酷だわ」

「そうですよ。完全に引かれてるじゃないですか」

「むうう……」

 見兼ねたユリアとすみれが、割って入り、彩子も拓雄の顔色をみて、渋々腕を離す。

 ホッと一息付いた拓雄であったが、

「でも、気持ちをハッキリさせない、拓雄君も悪いわね。彩子先生をキープしようとするのは感心しないわ」

「き、キープなんて別に」

「そうじゃない。返事を保留し続けて、真中先生を引き止めているんでしょう。あんたも計算高いわね」

 そうユリアとすみれに指摘され、拓雄も言い返せずに、黙り込む。

 本当なら自分がハッキリと断らないといけないのであったが、どうしても彩子の事も気になってしまい断りきれずにいたのも事実であった。


「三人とも僕の女にしたいです」

「は?」

「そう思ってるんでしょう?」

「お、思ってませんよ!」

 不意にユリアがそう言うと、拓雄も顔を真っ赤にして否定するが、

「きゃーー、男らしいじゃない、拓雄。良いわ。なら、いっそこのカメラの前で宣言してもらおうかしら。先生たち、みんな僕の女でーす♪って」

「え、ええ?」

 すみれがスマホのカメラを取り出して、彼の隣に座り腕を絡ませる。

 そして、ユリアも拓雄の後ろに座って彼に抱きつきながら、

「言いなさい。今日はそれで帰してあげるわ。態度をハッキリさせないあなたも悪いのよ」

「むうう。出来れば彩子先生は僕の女ですって言ってほしいんですけど,今日はそれで我慢するから」

「そ、そんなー……」

 そう言いながら、すみれがスマホを自撮り棒で固定し、四人の前にレンズを向ける。


「先生たち、みんな僕の……彼女です……」

 と、すみれのカメラの前で涙ながらに言い、

「きゃーー、見た見た? 凄いじゃない。美人教師を三人も侍らせちゃうなんて」

 大はしゃぎしながら、すみれも撮影した動画を再生し、三人前で見せ付ける。

「あーーん、拓雄君、本当に言うなんて大胆だわ。ふふ、でもそういう所も好きよ。これから宜しくね」

「くす、大人しい顔をしてやるわね。あ、言っておくけど、この動画、流出したら、あんたも停学じゃ済まないと思うから宜しく♪」

「そんなあ……」

 言わないと帰れないと思ったので、つい言ってしまったが、弱みを握られてしまった拓雄は益々、彼女らに逆らえなくなってしまい、卒業まで無事に過ごせるか不安が増す一方であった。


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