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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第二十七話 夏休み中も先生とは離れられない

「あ……ユリア先生」

「…………」

 花火大会の翌日、家を出ると、ユリアとまた会い、ジーーっとユリアが拓雄を見つめる。

「おはようございます」

「おはよう。昨夜はありがとう。花火、綺麗だったわ。よくあんな場所、知ってたわね」

「小学生の頃、たまたま見つけたんです」

「そう」

 と、淡々としながらも、何処か嬉しそうにユリアも頷き、そんな彼女を見て、拓雄も胸が高鳴る。

 何故、ユリアは自分と手を繋いだのか。まさか、自分の事を……と、淡い期待を抱いていたが、ユリアの様な大人の美人が、自分の事を好きになる筈はないと言い聞かせ、学校へと向かっていったのであった。


「ねえ、拓雄君」

「何ですか?」

「来月、ちゃんと予定空けておいてね」

「あ……は、はい」

 昨日、彩子にも言われたが、ユリアにも同じ様に釘を刺されてしまい、拓雄も肯く。

 だが、女性教師達のプライベートの旅行に、自分が同行しても良いのかとも思っていたが、女性三人に男一人だけと言うのは、想像しただけで居辛い雰囲気であり、拓雄もあまり気乗りはしなかった。

「親御さんには勉強合宿だとでも伝えておけば良いわ。実際、冬休みにあるんだし、夏休みに急遽、行う事になっても不思議はない。すみれ先生が口裏合わせておくと言ってるから、心配なし」

「本当に行っても良いんですか?」

「私は乗り気じゃないけど、すみれ先生と彩子先生がどうしてもって言うから、しょうがないわね。でも、この事、他の生徒や先生には言っちゃ駄目よ。問題になると思うから」

「はあ……」

 女性教師が休日に生徒をプライベートの旅行に男子生徒を同行させるのは、問題になるというのは拓雄も理解していたので、当然、誰にもいえなかったが、何日か家を空ける以上、親には理由を説明しないといけないので、困っていたが、勉強合宿という理由で通るか不安であり、まだ暗い気分になっていた。


「このグラフの関数、yの数値は……」

 夏期講習、二日目、数学担当のすみれがいつもと同じ様に軽快な口調で、授業を進めていき、一番前の席の拓雄もじっと彼女の授業に聞き入る。

 何故、すみれは自分を旅行に同行させたのかと、ぼんやり考えていたが、

「んじゃ、拓雄くーん。この問題解いてみて」

「あ……はい……」

 ボーっとしていた拓雄を見逃さず、すみれがすかさず、拓雄を指名し、黒板の前に出て、問題を解くよう命じる。

 あまり聞いてなかったので、よく理解する事が出来ず、案の定、間違えてしまい、すみれも溜息をついて、

「はあ。今、説明したでしょう? ここは……」

 そう間違えた所を解説し、拓雄もバツの悪そうな顔をして、すみれの顔を見る。

 やはり数学は苦手なので、どうしても他の科目よりも、理解が難しく、苦戦していたのであった。


「やっと、終わりか……」

「拓雄、ちょっと」

 今日の講習が終わり、廊下を歩いていると、すみれに声をかけられる。

「ふふん、今日は随分とボケっと私の授業を聞いていたじゃない。暑いからって、だらけているんじゃないわよ」

「す、すみません」

「謝って済む問題じゃないわ。ちょっと来なさい」

 と言って、すみれに付いて来いと言われ、拓雄も頭を抱えながら、彼女に付いて行く。


「今日は拓雄の居残り補習を行いまーす♪」

 と、空き教室に連れて行かれると、すみれが機嫌よさそうにそう宣言し、何故かユリアもこの場に来ていた。

「あんた、夏休みだからってだらけてるんじゃないわよ。特進クラスに所属してるんだから、頑張らなきゃ駄目なの。わかってる?」

「はい……」

 そんな事を言われても、講習中に少しボーっとしていた位で、そこまで言われないといけないのかと思ったが、

「今日は英語の小テストの結果も良くなかったわ。駄目ね、そんな事じゃ。昨夜、何時に寝たの?」

「ちょっと遅くなって……花火大会見に行っていたので……」

 そう言い訳するが、ユリアも昨夜を思い出したのか、少し頬を赤らめ、

「夏休みだからって浮かれないように」

「んーー? 何か、今の間、気になるわね? 何かあったの?」

「別に。花火大会なら私も見に行ったわ。そこで拓雄君を見た気がしただけ」

「ふーーん。一緒に行ったんでしょう?」

「そうだとしても、すみれ先生に関係ないわね。彩子先生が聞いたら怒りそうだけど。今、美術部の合宿でしたっけ?」

 と、図星を突かれたが、ユリアも開き直って言い訳し、すみれも今ので大体の事情を察する。

「良いわねー、ウチの学校一番の美人さんと、花火大会なんて。他の男子や、男の教員が聞いたら、どれだけ羨む事やら。ま、良いわ。はい、これ」

「何ですか、これ?」

 ユリアに嫌味を言った後、すみれが旅行のガイドブックを彼に差し出し、

「今度の旅行で行く場所。海がよく見えて綺麗なのよー。しかも、泊まりはユリア先生の実家の別荘を貸し切り♪ 凄いでしょう」

「ユリア先生の別荘にですか?」

「そうよ。親にちょっと無理を言って、使わせてもらう事になったわ。だから、宿泊の費用は必要ないわよ」

「はあ……」

 別荘まで持っているなんて、凄いなと感心していたが、ユリアはそれがどうしたと言わんばかりに、そっぽを向いていた。

「んじゃ、そう言う事だから、宜しくね」

「わかりました……」

 本当に行く事になるのかと思っていた拓雄であったが、

「先生、剣道部の合宿っていつでしたっけ?」

「ウチの合宿は来月ね。ちょうど旅行の二日前に帰ってくるの」

「忙しくないですか、それ?」

「良いのよ。楽しければ。へへ、先生達が可愛がってあげるから、楽しみになさい」

「んぎゅっ!」

 と、拓雄を抱きしめて、自身の胸の谷間に顔を埋める。 

すみれの豊満な胸に顔を圧迫され、拓雄も息苦しくなっていたが、そんな様子を見て、ユリアもムっとし、

「駄目ですよ、すみれ先生。男子生徒を抱くなんて」

「一緒に花火大会にデートに行ってた先生に言われたくなーい。そうだ。今度、土曜日の午後、空けておきなさい。彩子先生帰ってくるから、そこでユリア先生の家で今度の旅行のオリテンテーション行うわよー」

「は、はい」

 そう言って、彼の顔を胸に更に押し付けながら、すみれが指示し、拓雄も頷く。

 結局、夏休みに入ってもいつもと変わらず、三人に絡まれる毎日が続き、それがずっと続く事になるのであった。

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