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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第二十四話 真面目に補習をやるか監視します

「えーと、もうすぐ期末試験になります。ですので、皆さん、今からしっかり勉強しておくように」

 朝のホームルームになり、担任のすみれが連絡事項を告げた後、黒板を叩いて、語気を強くしてそう宣告する。

 拓雄のクラスは特進コースなので、定期テストで赤点を取ってしまうと、下のクラスに落とされる可能性もあり、余計に緊張感を持っていたのであった。

「んじゃ、早速、授業始めます。教科書、八十九ページを……」

 一時間目の授業が担当の数学だったので、始業のチャイムと同時に、すみれは早速、教科書を開いて授業を開始する。

 拓雄の苦手科目だったので、とにかく赤点だけは取るまいと必死になって彼も授業を受けていったのであった。


「拓雄くーーん。ちょっと来なさい」

「あ、はい」

 授業が終わった後、拓雄がすみれに呼ばれて、教壇に向かうと、

「あんた、この前の小テストでもひどい点数取ってたわよね。そんなんじゃ、今度の期末試験も心配よ」

「すみません……」

 と、いつもの小言が始まってしまい、拓雄もシュンとした顔をして俯く。

 頑張ってはいるつもりだが、どうしても結果が出ず、拓雄も苦心していたのだが、すみれも溜息を付いて、

「仕方ないわ。ちょっと放課後、職員室に来なさい」

「はい」

 次の授業は体育なので、あまりここで長話もしてはまずいと判断したすみれが、放課後、職員室に来るように命じ、そこでじっくり話し合いをする事にする。

 拓雄もまた補習でもやらされるのかと、溜息を付きながら、体育着に着替え始め、グランドへと向かったのであった。


「来たわね。ふふ、拓雄―、あんた先生の補習授業受けたいんでしょう? 正直に言いなさい」

「い、いえ……そんな事は……」

 放課後、すみれに言われて職員室に向かうと、すみれが拓雄に向かってそう言い、拓雄も目を泳がせて答える。

「ま、そう言う訳だから、来なさい。あんたも、赤点取りたくないんでしょう? 先生だって下のクラスに落とされたら、困るし、直々にすみれ先生が密着指導したげるわ」

「う……はい……」

 と言われて、断る事も出来ず、頷くしかなかった拓雄。

 正直、補習はあまりしたくなかったが、下のクラスに落ちるのも嫌なので、拒否する事も出来ず、すみれと一緒に職員室を出ると、

「すみれ先生―……」

「あら、真中先生。何ですか?」

 エプロンを着た彩子が、すみれを恨めしそうに見つめながら、声をかける。

「いけませんよー、生徒に補習なんて強要しちゃ」

「いや、この子、数学の成績良くないの知ってるでしょう。そんな恨めしそうに見ないでくださいよ」

「実際に赤点を取ってる訳でもないのに補習を無理強いするのどうなんですか?」

「取らない様に補習させるんですけど。真中先生も、成績悪いと、特進から下のクラスに落とされるの知ってるでしょう」

「ふん。本当ですか? なら、すみれ先生がまじめに補習するか、私がしっかり監視しますから」

「ええ? いやいや、おかしいですって、今の。てか、真中先生、今日、美術部、見なくて良いんですか?」

「今日は自主活動です。部員がコンクールに出す絵を出展する為の絵を各自描くだけなんて、たまに様子を見に行けばオッケーですから」

 と、無茶苦茶な理屈を言って、すみれの補習に強引に付いていく彩子。

 この前、拓雄の補習を邪魔された事を根に持っており、その仕返しとばかりに、すみれの個人授業に割って入っていったのであった。


「はあ……まさか、本当に付いて来るとは……真中先生が居ても、正直、何も出来る事ないんですけどお」

本当に彩子も一緒に付いて来てしまい、拓雄の後ろに座って、ジーっと溜息を付いているすみれを彩子が睨みつける。

「つーんだ。嫌なら、真面目に補習してください。私の目が黒い内は、彼に手出しさせませんから」

「既に手を出す気満々の不良教師が何を言ってるのやら……んじゃ、始めるわよ。今日のおさらいからね」

 本当なら追い出したかったが、ここで彩子と口論するのも時間の無駄だと思い、粛々と補習を開始する。

 彩子も数学は得意ではなかったが、自分もこんな事を習ったなと思い出しながら、すみれの講義を聞いていき、次第にうとうとし始めていった。


「という解になる訳。わかった?」

「はい」

「本当かしらね。んじゃ、確認テストやるから、ちょっと解いてみて」

 と言って、すみれが用意した小テストの答案を配り、拓雄も解き始める。

 そして、後ろの席で居眠りしていた彩子の方に向かい、

「こら、居眠りするな」

「ふわっ! す、すみませんっ! って、寝てたんですか、私!」

うとうとしていた彩子の頭をテキストで軽くたたいて起こすと、彩子も慌てて目を覚ます。

「教師が居眠りしてどうするんですか、全く」

「うう……迂闊でした。すみれ先生、まさか私が寝ている間、変な事してませんよね?」

「んーー、変な事って?」

「変なことは変な事です。男子生徒と女性教師が、二人きりになったら、やる事は一つじゃないですか」

「官能小説の読みすぎですよ、それ」

 と、呆れた顔をしていたすみれが、彩子の隣に座って一息付くが、実際、彩子がいなければ、色々と彼にしようか考えていたので、少し

「拓雄君、真面目にやってますねー」

「そうね。普段、ボーっとしてる感じはあるけど」

 一生懸命、すみれの用意した小テストを解いている拓雄を見て、二人ともうっとりとした顔をする。

 二人の会話がややうるさかったが、拓雄も自分を心配しての事だろうと好意に捉え、その期待に応えようと頑張っていたのであった。

「くす、頑張って、拓雄君」

 そんな彼を穏やかな眼差しで眺めながら、小声でエールを送る彩子。

 彼女の声が聞こえたのか、拓雄もドキっと胸を高鳴らせながら、


「出来ました」

「どれ……」

それから間もなくして解き終わった拓雄が答案を提出し、すみれが手早く採点する。

「うん、まあまあね。じゃあ、今日は終わりにするわ」

「あら、もう終わりですか? ずいぶんと真面目にやったんですね」

「そりゃあ、彩子先生と違って真面目ですし。てか、良いんですか、美術部の方は?」

「自主活動ですし、部長に任せてますから。ああ、拓雄君、お疲れ様。今度、先生がご褒美あげるわ。何が良い?」

「え、えっと……」

 何故か、担当外の彩子が拓雄の頭をなでながらそう迫り、彼も困惑した表情を浮かべる。


「良いわ。今度の期末テストで、そうね……八十点以上取ったら、先生もご褒美をあげてやるわ」

「え?」

「ふふん、まあサービスって事で。その代わり、八十点未満だとお仕置きよ。ご褒美とお仕置きの内容は終わってからのお楽しみって事で」

 と悪戯っぽい笑みを浮かべて、すみれがそう宣告し、彩子も頬を膨らませて、

「えこひいきです、そんなの」

「そうかしら。ま、頑張りなさいー。どっちを取ってもあんたに損はないと思うけどね」

 と言ったすみれの言葉に拓雄も首を傾げる。

 八十点以上というのはハードルが高かったが、どちらの結果でも、すみれに扱き使われそうなのは目に見えており、拓雄にとってはあまり、モチベーションの上がらない提案なのであった。


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