プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
見渡す限りの青。
日の光を反射して輝く様は、とても美しい。
「とんだ大海原だな。」
ここは森林地帯のど真ん中である。
こんな所に海は無い。大きな湖というわけでもない。
そもそもこれは水ではない。
「殺っちまった方が早くね?」
隣で同じ光景を見ている女が、面倒臭そうに物騒な事を言い出す。
その発言に呼応するかの如く、一面の青がゆらめく。
気持ちは分かるがそれはダメだ。余計面倒な事になる。
どうしたものか…解決策が全く思い浮かばない。
それらは大量のスライムであった。数は見当もつかない。
襲いかかってくるでもなく、こちらの様子をうかがうようにおとなしくしている。
このまま死ぬまでじっとしていてくれれば、ちょっとした観光地にでもなりそうなんだがな。
「ただのスライムなら、サクッと討伐して終わりなんですがね。」
困り果てた様子の、いかにも冒険者といった出で立ちの男。
彼は元来この世界の住人ではない。異世界転生者というやつだ。
数年前に転生して冒険者となり、悠々自適の異世界生活を満喫している。
先週受けた未踏査地区の調査依頼でこの地に踏み入り、この異常事態に遭遇した。
そして自分達だけでは解決できないと判断し、こちらに救援を要請してきたのだ。
「これを知っているのは、この世界ではお前らだけか?」
この世界の住人に知られるのはまずい、パニックになる。
「隔離するために何人かの転生者仲間に手伝ってもらってますが、それ以外の者には知られていない筈です。未踏査地区ですからね。ですが、この隔壁もそう長くもちません。」
隔壁内に、この世界の住人はいない。
強力な隔壁なのだろう。人間はおろか、モンスターすらその存在に気付く事無く避けてしまう。
だが強力な分、維持が大変なのだ。転生者の彼らでも数日が限界だろう。
それまでに、どうにかしなくてはならない。
この、海の如き転生者どもを。