表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/42

(招かざる客)


「カラン〜カラン〜」

ただいまー帰ったよ!


(アヤが学校から帰って来るとヨーコとユウが何やら立ち話をしていた)


「お母さん 、この話はもう……」


(ユウはうつ向きながら二階の部屋に戻った)


「アヤ、お前にも言っとかなきゃいけないんだが、今日は時間が無い。

今晩、お客が来るから、ちゃんと おもてなし するんだよ」


(ヨーコはそう言って、地下室に降りて行った)


何? 何 今日何かあるの?


(アヤは、お婆ちゃんに聞いた)


「ヨーコに、余計な事は言うなと言われて居るんだが、今日は悲しい一日に成る事は間違い無いだろう…… アヤ、店の扉に休業の札を掛けときな」


(そう言って。お婆ちゃんは客人ので有ろう料理の仕込みを始めた。アヤは店の扉に札を掛けに外に出ると、ユウのお客でいつもオムライスを注文するお客さんが「ああ……そうなんだ……」と、言って、肩を落として帰って行った)


まだ十五時、こんなに早くから並んで居るんだ! なんか可哀想……


(アヤが呟く)


(日が落ち始め街が薄暗く成った頃、西の空から漆黒の重たそうな雲が近づ、き大粒の雨を落とし始めた)


お婆ちゃん何か雲行きが怪しい。


(アヤがそう言うと、お婆ちゃんが言った)


「演出だよ演出、あいつらたいして力が無いからハッタリかけて来るんだよ!前回はヨーコに殺されかけてるからね」


(夕方に成り、雷が成り始めた。地下室から黒いレースの喪服の様な衣装に着替えたヨーコが戻って来た。魔女の正装だ)


「アヤの服も用意して有るから着替えておいで」


と言って、お母さんは大ジョッキに生ビールを注ぎ出した。お婆ちゃんは仕込みを終え、お姉ちゃんを連れて二階の部屋に行った。私も部屋に行くとベッドの上に服が有り、着替えて、部屋を出ると、


「ユウ支度は出来たかい?そろそろ行くよ」


と廊下でお婆ちゃんがお姉ちゃんに声を掛けていた。

私と、お婆ちゃんがレストランに降りると、

少し遅れて、お姉ちゃんが降りて来た。

綺麗に化粧した、お姉ちゃんは白銀に輝く衣装を纏って居た。


「おお 素敵だよユウ!こっちにおいで」


お母さんは?今にもこぼれ落ちそうな大粒の涙を溜めながら お姉ちゃんを隣の席に座らせた。


「懐かしい服だ、サイズはピッタリだろ、私も昔は痩せて居たからね。綺麗だよユウ。

でも忌々しい服だ……」


(ヨーコはそう言って、ユウを見つめた)


「ガラガラガラ……ドドーン!!! 」


(地響きがする程の大きな雷が落ちたのは、二十一時に成る頃、雨は上がり大きな満月が現れた)


「そろそろだね」


お母さんが、そう言うと。


「カラン〜カラン〜」


店の扉が開いた。


(黒くぼやけた男達が10人程入って来て、

扉の両サイドにうつ向き加減で立つ。後ろから黒ずくめの男が二人入って来た)


「久しぶりだなヨーコ、今日は宜しく頼むぞ」


(年配で大きな体格で、立派な髭を蓄えた男が言った)


「何だいデモンド、今回は大人数だね!コウモリの《影》なんか連れて来て。まあ、お客さんだから丁寧に、もてなすけど酔っぱらったら(ルール)なんか忘れちまうかもね! 」


(コウモリの影とは満月の光で現れる幻影で彼らの盾と成る物。熟練したコウモリならば光の有る場所なら、どこでも影を出現させる事が出来る)


「アスタロス! どっちが産まれてもユウの事、見放すんじゃ無いよ!《アンソニア》に面目が立たない」


(デモンドは年配の男の名で《魔界の王》。

アスタロスは若い男の名で、王の側近だ)


「アヤ! お客さん達に席に着いて貰って、最高のワインを持ってきな! 」


(アヤが男達にワインを注ぎ宴が始まった。影達は、ただ席に着いて居るだけで酒や料理には手を出さなかった。アヤが料理を奨めるも首を横に振り、少し寂しそうな感じがした)


「前菜の深層海の魚貝のテリーヌです」


(お婆ちゃんが料理を差し出す)


「おお!なんて深い味わいだ! 」


(デモンドは満足気に言った。アスタロスは無言で食す。サングラスを掛けて居て視線が解らないがユウを見ている)


「聞く所によると、お前ら、ここで怪しげな料理を販売し始めたそうだな」


「私達ゃ、人間界に居候させて貰ってんだよ

、お世話に成ってんだから、多少は感謝しないとだろ」


「何を言っている! 昔魔女狩りで何人の仲間達が犠牲に成ったと思っている! 終いにゃ自分達の仲間の区別も着かなくなる有り様、大体、今お前が食っている人間の食べ物、匂いがこっちにも来て具合が悪くなる! 」


(影達は下を向き首を横に振った)


「ああ これかい、近所に最近出来た

餃子の館から買ってきた焼き餃子だよ。毎日ヤバイ匂いがプンプンしてて、営業妨害だって殴り込みに行ったんだけど、つい生ビール飲んじゃってね気が付いたら、つまみに餃子食べてたよ!ラー油をいっぱい掛けると案外旨くてね、今じゃチョリソーと餃子が有れば生ビール10杯は行けるね。どうだい、あんたも食べてみるかい? 」


「ふざけるな! 人間の食べ物など食えるか! 」


「まあまあ、喧嘩ばかりしとらんで、窓頃特製スープだよ」


(お婆ちゃんがスープをよそって二人に出すと、

コウモリの影達が一斉に立ち上がりその場に緊張感が走った)


「悪魔殺しのポタージュじゃ無いよな! 」


「アンソニアの件、忘れちゃ居ないだろ。私ゃ執念深いんだよ、食べて見りゃ分かるよ! 」


お母さんが言うと、デモンドは影達に毒見をさせた。


「あんた図体はデカイが気は小さいね、安心しな、普通のポタージュだよ」


(影達はほっとした。)


「獸王のステーキ超ウエルダン、生き血ソース掛け」


お婆ちゃんが差し出す。


「なんて肉々し歯ごたえ、力がみなぎる。これぞ悪魔の料理! 」


(デモンドは豪快に料理を食す、時間が経つにつれ、ヨーコは生ビールを飲みながらグチグチと、デモンドはワインを飲みながら楽しそうに)


何?この空間誰か教えて!


(アヤが思った時)


「そろそろだな! 」


(デモンドが、壁の振り子時計を見ながら言った。調理場から、お婆ちゃんが出て来て、ユウを連れて地下室に降りて行った)


「絶対に女の子だよ」(ヨーコが言う)


「いいや今度こそ男の子だ」(デモンドが言う)


(地下室では六芒星が書かれた床にユウが横たわり、お婆ちゃんがユウのおなかに手をかざす、と、お婆ちゃんの背中の六芒星が赤く発光する。

それと共鳴するかの様にユウの首筋の六芒星が緑色に、やがて、お婆ちゃんの手に、吸い出されるかの様に、赤ちゃんが産まれた)


「ゴーン ゴーン」


(二十四時の時刻とほぼ同時に赤ちゃんが産声を上げた )


「産まれたね! 」


(ヨーコがそう言うと。男達が全員立ち上がった。地下室から黒いローブで、くるんだ赤ちゃんを抱いたユウと、お婆ちゃんが出て来た)


「男の子だよ…… 」


(お婆ちゃんが言うと)


「良くやった。ユウ!!! 」


(デモンドは赤ちゃんを奪い取るか様に、ユウから取り上げた。ユウは、その場で泣き崩れた)


「今回の、誕生の義は、めでたく男の子で有った。

次回はアヤに期待する。いい男を探して置くからな!それでは宴は終了だ」


(デモンドは、そう言って、赤ちゃんを抱きながら店の外に出ようとすると)


「私の、赤ちゃん返して!! 」


(ユウがデモンドに飛び掛かる! 急かさずアスタロスが間に入った。ユウはアスタロスの喉元に噛みついた。首から血が滲み出るもアスタロスは微動だにしない。デモンドは、その様子を後ろ目で見ながら店を後にした。アスタロスは首を手で押さえながら店を出た。影達は申し訳無さそうな顔をして消えて行った。お婆ちゃんとアヤはユウを部屋に運びダージリンティーを飲ませ、ユウを落ち着かせた後、部屋を出た)


あの人達何者なの?


(アヤが聞くと、お婆ちゃんが口を開く)


「年配の男が魔界の王で、若い男が王の側近だよ。魔界と魔女界には掟が有ってな、この二つの世界でしか契りを結べない。やがて誕生する子供が男ならば魔界に、女ならば魔女界に、悪魔と魔女は子孫反映だけで結ばれ、人間の様に共に暮らす事は無いのじゃ。今日は誕生の義。この忌々しい仕来たりを、どうにか出来れば…… 」



























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ