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(初めてのイブ)


「ブロロロロロ〜 」


(アヤとユウを乗せたポルシェは、レストラン窓頃を出て冬空に舞い上がった)


風が気持ちいいね〜 私の季節は終わったけど、

今度は、どんな魔獸が現れるのか楽しみだよ!

夜路死苦!!


「花粉採りに行くだけだよ、お姉ちゃん!」


花粉? じゃあ、あれだ! 巨大な花の化物だね!ゾクゾクするよ!


「お姉ちゃん! ゾクゾクじゃ無くて、寒いの!

このポルシェ、スイッチで屋根とか出て来ないの? 」


お母さん、このポルシェ買った時、屋根要らないって、鉄ノコで切っちゃったの!


「・・・」


(アヤ無言)


アヤ、ビートルズは、もう良いから、違うCDかけて!


「お母さんのCD、なんか昭和っぽいのばっかり」


アヤ、良いの有るじゃん、それだよ、それ!

ユウミンの○○がサンタクロース!!

サンタクロースって言えば、私が……


なんだいアヤ、サンタクロース知らないのかい?


「知ってるけど、その振り、もう要らない! 」


そうかい…… 連れないね〜

さあ、そろそろ北の大地だよ!地上に降りるよ!


「それでスタッドレスに履き替えたの? 」


(ユウは地上に降りたポルシェのドアを開け、

地面を触り、道路の状態を確かめた)


《凍ってるね! 》

これが、やりたかった!


(知る人ぞ知る名言で有った。ユウはアイスバーンに成った道をドリフトしながら走った)


祠は上空から見つけられ無いんだ、一面真っ白だからね、

んっ!? あれじゃ無いか?


「バム!」


(ユウとアヤはポルシェから降りると何も無い、真っ白な大地に、かまくらの様な物を発見する

かまくらの様な祠の中は明るかった)


「てか、ずーと気に成って居たんですけど、

お姉ちゃん、私達の、この格好…… 」


北の大地っちゃ、ドカジャンと黒の長靴って相場が決まってるだろ、私のコスプレ魂、舐めんじゃ無いよ、夜路死苦!


「・・・」


(アヤ無言。 因みにドカジャンとは極寒の作業員などが着る青いジャンバーの事で有る、そしてアヤはヨーコの言い付けを思い出し祠の前で縦笛を吹いた)


「ヒュ〜ルリ〜 ヒュ〜ルリ〜 らら …… 」


(何処かで聞いた音色だった、ヨーコの言い付けとは、絶対に祠の中を覗いては駄目だよ!お土産の中身も見ては駄目だとの事だった。少しして祠の中に人影が)


(しば)れるね〜、のりかさんから聞いてるよ!

さあ、上がってくんろ! 」


人間? しかも服装、被ってるし……


「まあ、温ったかいハーブティーでも飲んでくんろ、お土産、楽しみにしてたん だ! そう それだべ! 」


(祠の様な場所は只の、かまくらで。

ドカジャンに黒い長靴で頭から植物を生やしている変なおじさんが二人にハーブティーを振舞ってくれた。

変なおじさんは、ヨーコから渡されたお土産を受け取り、満面の笑みを浮かべた。

秘かに変なおじさんが、何に変わるか楽しみだった二人だが、袋の中身を見た二人は衝撃を受ける事と成る)


「これが欲しかったんだべ! プレミアム限定グラビア写真集、禁断の、のりか! 」


「・・・・・・」


(二人共無言)


「さあ案内するから、わしに付いてくるべ! 」


(変なおじさんは、かまくらの中のコタツの布団をめくって中に入って行った)


「何を警戒してるん だ、ここが異空間の入口だべ」


(仕方なく、二人はコタツの中に入ったのだが、

そこには、ポカポカ陽気の草原が広がって居た)


「これがマンドレイクだべ!絶対に引き抜いては駄目だべ、少し引っ張って《叫んだ》のがオリジナルだってば! 」


(変なおじさんがしゃがみ込み地面に生えた植物に指差して言った。足元には沢山のマンドレイクが花を咲かせて居た)


「キャーーー ! 」


あっ! マンドレイク!


「それは、わだしの髪の毛だべ、ビックリしたんだべ…… 」


ごめんなさい。ずっと気に成って居たんで、

つい……


(アヤは、変なおじさんの頭の植物を、おもいっきり引っ張った)


「死ぬかと思ったんだべ! わしは、かまくらで、のりかさんの写真集見てっから、終ったら笛を吹いとくれ、迎えに来ますんで、

あっ! 1つ言い忘れたべし、オリジナルはこの中で一本しか無いべし、アヤちゃんは春の魔女だから

問題無いんだべし?」


(変なおじさんは、そう言って消えて行った)


「アヤ!この馬鹿らしい展開で、ほぼほぼナレーションに任せちゃったけど、あんた大丈夫なの?

こんなに広いマンドラゴラ畑でマンドレイク見つけられるの? 」


解らない…… 放棄持って来てないし、どうしたら良いの? 時間も無いのに……!?


(アヤは、変なおじさんの変な言葉に気が付いた)


べしって言った、あの変なおじさん……

! そうだ、お姉ちゃん、全部引っ張っちゃえば良いんだよ!


「全部って、何日掛かると思ってるのよ」


まあ 見てて!

マンドレイクへの道、その一。頭の中をカラッポにするべし!

マンドレイクへの道、その二。手の平に気を溜めるべし!

マンドレイクへの道、その三。集めた気を一気に解放して、ちょっとだけマンドレイクを持ち上げるべし!


「キャーーー ! 」


お姉ちゃん! ほら あの辺!


「恐るべし、アヤ! てか春の魔女、関係有るの? 」


(何はともあれ、二人は花粉を手に入れ、笛を吹いて、異空間から脱出した)


「さすがだべ、アヤちゃん、こんなに早く見つけるなんてば、したっけ! のりかさんに宜しく言ってくれだべ」


(このイベントが、本当に必要だったのか疑いながらアヤとユウはレストラン窓頃に戻った)


「カラン〜カラン〜」


お婆ちゃん! 戻ったよ、マンドレイクの花粉採れたよ!


「お帰り、アヤ、ユウ、有りがたいのじゃが残念な知らせが有る! 」


えっ!


「大丈夫じゃ、二人は、まだ元気だよ!

実は花粉を精製して、安定させるには、もう二、三日掛かる事が解った。

どうにか、それまで二人の若返りを《止める》方法を探さないと、解毒剤が出来上がる前に、岡田くんが、もたない……

!? そうだよ直すんじゃ無くて、止めるんだよ!

玉の映像で、気に成って居たんだが、

二人の若返りに、ムラが有ってな、めぐみが泣き崩れた時と岡田くんが黒羽音を刺した時に、一気に若返りが進んだ。

多分、精神状態も関係して居る、

体を落ち着かせる物……

アップルパイが使えるかも、リンゴの毒を微調整して細胞が活動停止する位まで、仮死状態にして

その間にマンドレイクの解毒剤を作る、

「ヨーコ! アップルパイが使えるよ!一時的に

若返りを止める方法を見つけた…… 」


(お婆ちゃんとアヤとユウが厨房を出てヨーコの前に駆け付けると)


「一足遅かったよ、お婆ちゃん、めぐみだけでも助けておくれ」


(ヨーコの手の平の中には、もはや赤子とはよべぬ程、小さく成った胎児が。

心臓の鼓動だけがヨーコの手の平に伝わって居た)


「なんで? 急に、そんなにまで…… 」


「解らないんだよ、玉の様子が、おかしくなって

急に小さく成った…… 」


(ヨーコが、そう言った時、玉が慌ただしく光り始めた)


「なんだい? 何が起きてる? 」


(ヨーコが玉に近づくと手の平の胎児が玉の中に吸い込まれて行った)


「こんな事が有るのかい? 奇跡が起きた! 」


何が起きてるの?


(アヤがヨーコに聞く)


「岡田は玉に守られた」


本当だ!玉の中で胎児がメダカと一緒にプカプカしてる!


「パクッ! 」


キャー! お母さん! メダカが大きな口開けて岡田さん食べちゃた……


「ああ 大丈夫だよ! 食べたんじゃ無く、多分同化したんだよ、玉の中には死は無い、生のみの空間なんだよ、龍の子供は岡田を器として選んだんだよ! 」


(岡田を吸収したメダカはウーパールーパーの様な姿に変わった。しかし玉の中の異変は続いた)


お母さん! ウーパールーパー見たく成ったメダカが真っ赤な顔して何か食べてる?


(龍の子供は過去に写し出された映像を必死に食べて居た。真っ赤な顔をして膨らみ玉に亀裂が走った)


「まずいね!このままだと違う者に育ってしまう」


(玉の中の過去に写し出された映像は悲しみや憎しみしか無く、愛が無かった)


「めぐみちゃん、ここに来て、この玉に手を充ててご覧、そして、楽しかった事を思い出して! 」


「駄目、何も思い出せない…… 」


「私達も手伝うから」


(めぐみの手の上から窓頃家、全員の温かい手が玉を包む、玉の中に岡田の幸せが浮かび上がった。龍の子供は、それを少し眺め食べた、玉の亀裂は収まり安定した)


「良かったよ、私は厨房でアップルパイを焼いて来るから、ユウとアヤは皆に温かい飲み物を用意しておくれ」


(お婆ちゃんは、そう言って厨房に戻った)


「ゴーン ゴーン ゴーン」

(深夜12時、イブを伝える掛け時計の鐘が鳴る)


「さあ、焼き上がったよ!めぐみちゃん、今日は

クリスマスイブって言って! 皆でケーキを食べる日なんだよ! 本来、家ではクリスマスは遣らないんだけど今日は特別だよ、これを食べて今日はお休み」


(お婆ちゃんは厨房からアップルパイを1ホール焼き上げ、ろうそくを立て持って来た。窓頃家、

いや! 魔族として初のクリスマスイブと成った)

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