(最後の晩餐)
(最後の晩餐)
(10月の2回目の満月の夜、魔城では《即位の義》が開かれて居た)
これによって、新しい魔界の王をメフィスト フェイレスとする。
(長老がそう述べて、即位の義は終了した)
ちと、厄介な奴が王に選ばれたな。
フェイレスはデモンドが昔、封印したルシファード(デモンドの前の王)の側近だった男。
(長老が言う)
「あの忌々しい男、デモンドが自ら居なく成ったのは予想外だった、後は長老が居なく成れば、この世界は、あの方の物。
私の役目は《薬》を手に入れる事と、地上で活動するのに必要な《器》を探す事。
長老など何時でも殺せる、ましてデモンドなど、今は魔法も使えぬ悪魔、放って置いても良かろう。
(王室の玉座に座る新魔界の王フェイレスが言った。即位の義が終了してから一週間後、地上では、レストラン窓頃の前に三人の男達が。
二人の黒づくめの男(上級コウモリの影)を入口に残し、一人の老人が店内に入って行った)
「カラン〜カラン〜」
何か、美味しい物を食べさせては貰えぬか?
「いらっしゃいませ」
(ユウがメニューを出し、老人はメニューを開き言った)
ル フェイのポトフと言う料理は作れぬか、聞いておくれ。
(老人はメニューに無い料理を頼んだ。ユウは注文を受けると、直ぐ様、厨房へ)
「お婆ちゃん! 今、入って来た、お客さん、只者じゃ無いね! どこぞの総長クラスのオーラ出してるよ! でね、なんとかのポトフは無いかって? 」
「分かってるよ これだろ、ル フェイのポトフ。さあ 冷めないうちに持って行っておやり」
(お婆ちゃんは老人が何者か知って居た)
「お待たせしました」
おや 随分早いね、私が、この料理を注文する事を知って居たかの様だ。懐かしい香りだ、早速頂くとするか。
(老人は、ゆっくりと、ポトフとパンを、味わいながら完食した)
「久しぶりだね」
(お婆ちゃんは帽子を取って厨房から出て来た)
何百年ぶりかなバジアル モーガン ル フェイ。
昔、良く作ってくれたポトフ、とても、美味しかったぞ
(バジアル モーガン ル フェイとは、お婆ちゃんの正式な名前で、老人はバジアル ベルゼルブ ルキエ、お婆ちゃんの夫、魔界の最高権力者、長老で有る)
皆を、ここに呼びなさい。
(長老の前に窓頃家全員が集まった)
「久し振りです。長老、本当に降りて来られたのですね」
おお デモンド人間界はどうじゃ
「毎朝、新聞を読んで居るのですが、人間達が起こす事件やトラブルを見ていると退屈致しません、しかし、弱者を狙った、猟奇的な事件は許せませぬ。やはり悪魔、もしくは悪魔を崇拝する人間の仕業。下級悪魔は装っても、直ぐボロが出る、《器》が有れば、不自由無く人間界に紛れる事が出来る。最近多発して居る、事件の被害者は器に失敗した者達。私は、そう言った、未解決な猟奇的事件を解決しようと、新しい目標が出来ました」
そうか、思考が人間的成って来たな、デモンド!目標が有ると言う事は良い事だ。
「はい、家族を知り、子供達の幸せなどを考える様に成ってしまった次第で…… 」
それで良いのじゃデモンド!
「お久し振りです」
モリー レイ元気で居たか?
低級の人間達に魔界の料理を売って居るそうだな。
「はい、低級の人間達の欲望を利用して商売して居ます。でも私達家族は、ちゃんと働いて生きて行く手段を選びました。そしてレストランでは上級の、お客様に、美味しい料理を提供して居ます。《お父様》の食べた料理も、その一つです」
今なんと言った!? モリーレイ、初めて父と呼んでくれた、とても嬉しいぞ。こっちに来てハグしておくれ!
(ルキエは涙を流しヨーコとハグした)
さあ、ユウ、アヤ、お前達も! あ、いや影達は、こんでよい。
(急な展開だったがアヤは理解した。しかし、お母さんの、しおらしい姿には、理解に苦しんだ。
そして、仲間外れの影達は悲しんだ)
デモンド、悪い知らせが有る。次の王にフェイレスが選ばれた。
「何故そんな事に…… 申し訳有りません、私が情けない事をしたばかりに」
もうよい、終わった事だ。ここに来て分かった
お前の決断は間違っては居ない、家族とは良い物じゃ、何も残してやれなかったが、この家族ならば大丈夫だ、さて、そろそろ帰るとするか。
「待って下さい、今帰っては」
「そうよ、皆と一緒にここで暮らしましょう」
(デモンドとヨーコが引き留める)
何を言っている、これ以上、お前達を危険な目に、合わせる訳には行かぬ、
わしも、引き際位心得ておるよ、
先に行って居るぞ、ル フェイ。
「はい、私も次期に向かいます、ルキエ」
「カラン〜カラン〜カラン〜」
アヤ、お前も早くデモンドの事、お父さんって
呼んであげな。
私も、この日が無ければ一生後悔して居たよ。
(バジアル ウイック ド モリー レイが言った)