(仕入れ2)
アヤこれから付き合っておくれ。
力の弱まった、窓頃家に必要な物が有る。
北の谷の龍玉挟に仕入れに行くよ!
(ヨーコが言う)
「えっ! こんな時間に? 」
そうだよ、奴は夜にしか現れない。
お婆ちゃんとユウは男達に夕食を作ってやってくれ。私は奴の、お土産を作るから
さあ皆、調理場に行くよ!
「お土産、何を作るの? 」
(アヤが聞く)
私の最高傑作、《死ぬほど旨いスープ》だよ!
(お婆ちゃんとユウは窓頃特製大盛炒飯を作り始めた)
よし出来た……
(ヨーコはスープを少しの間、眺めて居た)
「出来たのスープ? 」
ああ! 温かいのを飲まして遣りたいから、この魔法瓶に入れてくよ、あと、家の最高の器も用意しな。
(アヤは金のスープ皿を用意した)
ほぅ、センスが良いねアヤ!じゃあ出掛けるよ!
「ブロロロロロー」
(ヨーコのポルシェはガレージを出るなり夜空に舞い上がった)
よし! 浮遊術は、まだ健在だね、急ぐよ!
(カーリーヘアーにキャップを被り、ド派手なアロハシャツだったが、音楽は無く、いつもの饒舌も無かった)
さぁ着いたよ!
(ヨーコは龍玉挟の長い吊り橋の手前に車を止めた)
絶対に吊り橋の下を覗き込んでは駄目だよ!
私達と、こいつら(幻影獸)の間には一線って物が有ってね、それを破ると、この間の様な事に成る。これから先、お婆ちゃんや私が居なく成っても、ちゃんと仕入れ出来る様に、
よーく見て居るんだよ、アヤ!
(ヨーコは、そう言って、魔女の正装に着替え縦笛を出した)
「ヒュロロロロ〜ヒュロロロロ〜」
「お母さんは縦笛を吹いた。
その音色は美しく風に乗って谷へと降りて行った。少しして、深い谷底の暗闇の中から二つの眼光が、吊り橋まで上がったて来た、
黒く錆びれて居て、暗闇と同化して近くに来るまで判らなかったけど、大きな《龍》だった」
ほら、持って来て、やったぞ! 私の最高傑作、死ぬほど旨いスープだよ。
「お母さんはそう言って、魔法瓶の中のスープを金色の器に注いだ。龍は右手に持って居る、白く丸い石を吊り橋の上の、お母さんの足元に落とした」
「ごくごく、ごくごく、ごくごく」
(龍は温かいスープを一気に飲み干し、微笑みを浮かべた。少しして、龍の黒く錆びれた身体から亀裂が無数に走り、その隙間から黄金の光りが溢れ出した。黒く角質した皮膚が崩れ落ち、閃光が一気に放たれる。
「パンッ! 」
(と弾ける音と、共に金色の砂が風にのって舞い上がった)
「ねー、お母さん! 何に変わるの? 」
(ヨーコは涙を流しながら言った)
死んだんだよ、
世界で最後の龍が、今死んだんだよ!
(ヨーコは、少し沈黙して、口を開いた)
前にも、ここに来た事が有るんだが
何を持って来ても、玉は、やらない、と言われた。
玉が欲しければ、仲間達に会える、最高に美味しい料理を持ってこいと。
言ってる事は、直ぐに分かったよ、
奴も私達と一緒なんだってね。
さあ、アヤ! その玉を持って家に帰るよ。
「お母さんは、そう言って、吊り橋の上で深く頭を下げた」
(家に向かう車内でヨーコは、ザ ビーチボーイズの曲を大音量でかけて居た。星空を見上げるとまだ少しの金色の砂がキラキラと風に運ばれて居た)
「キキキィー バタン」
(ヨーコとアヤが家に着くと)
お母さん!? 家出来てる!
「やるね! 男達」
中に入ると男達が誇らしげに最高のワインを飲んで居た。
「影達! お前らは、まだ早い!!! 」
お母さんの、怒涛の叫びマイナス?度に、
驚いた影達はワイングラスを置き、下を向いた。
「まぁ、今日は許してやるよ! お前達も今日から家族だ、これからは遠慮は無しだよ! 」
ホッとした影達は初めて、笑顔らしい物を見せた。お母さんも生ビールを注ぎ言った。
「今日は改築祝いと、その他色々、朝まで飲むよー」
「ヨーコ、アヤが持ってるのは、もしかして玉なのか? 」
「そうだよ、お婆ちゃん、やっと手に入れたよ…… 」
「ヨーコ分かって居るだろうが、これからが大変なんだよ」
「はい、幻影獸の長の形見、大事します」
お母さんは、疲れて居たのか、数杯の生ビールで酔い潰れてしまった。
元魔界の王が、お母さんの肩に毛布を掛けようとしたので、
部屋まで運んであげて!
と、私が言うと、元サタンの王は、お母さんを抱いて地下室に降りて行った。
「ガチャ バタン」・・・
「何ーしーてーるー!!! 」
お母さんの怒涛の響きが家中に響いた。
(次の日の朝)
目が覚めると、植木鉢が目に入った。
花は元気で、くねくねしてた、ポテトチップをあげてみたけど口を開かなかったから水をあげた。レストランに行くと、お母さん意外、皆居て、お婆ちゃんが忙しそうに皆の朝食を作って居た。
元悪魔の王は一人で新聞を読んでいたけど、お婆ちゃんが全員の朝食を、元魔界の王の席に置いたので、皆、自分の飲み物を持って移動した。
「デモンド! 食事中に、新聞は駄目だよ! 」
お婆ちゃんが言うと、元サタンの王は新聞を畳んだ、目の回りには青短と、ほっぺたに切り傷が有った。
「なんだい!朝っぱらから、男臭いねー」
お母さんが起きてきた。
「アヤ、レッドアイ! 」
私がレッドアイを作って、持って行くと、お母さんは
元・・・の隣に座ってた。
私の座る席は……デモンドさんの隣しか無く、
仕方なく座った。
あっ! もう、こんな時間! 学校行かなきゃ!
「カラン〜カラン〜」
私はトーストをくわえて家を飛び出した。
「行ってらっしゃい! 」
背中に家族の声がした。
デモンドの名前が安定しないのは、アヤの心情ですので、気にしないで下さい。