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(仕入れ)





「ブロロロロロ~」

(高速道路を走る真っ赤なポルシェのオープンカー)


風が気持ちいいね〜

やっと私の季節が来たね。


(ヨーコはそう言って、ザ ビーチボーイズのCDをかけた)


車は、やっぱりドイツ車だね! スピードはともかく、この座り心地、今じゃハンドルを握らなくても走るって、人間も賢く成ったもんだよ。

ドイツと言えば、あの国に居たのはいつ頃だったかね。

まあ、アヤはまだ産まれて無かったけどね。

この曲も懐かしいね!

カルフォルニアに居た頃の曲だよ。ブライアン達は元気かね、

奴らにサーフィンを教えたのは私なんだけど、

ブライアンは結局サーフィン出来なかったんだよ……

なんだいアヤ!ビーチボーイズ知らないのかい?


(茶髪のカーリーにキャップをかぶり、ド派手のサングラス、5Lは有ろう花柄のアロハシャツに短パン姿のヨーコが、

アヤ《主人公》に言った。

夏も終わり、オープンカーでは肌寒いこの季節、二人は高速道路を降り世界遺産の有る東の山へと向かった。

木々が色着き始めた峠を登り、舗装の途切れた熊笹林を抜けると、錆びれた大きな鳥居が現れた)


さあ着いたよ、アヤさっさと支度しな。


(アヤは車からイタリア製の大きなバックを出し、その中から竹で出来た縦笛と和紙で包まれた大きな一枚の煎餅《お土産》を取り出した。ヨーコは鳥居の下に、お土産を置いた)


アヤ!決して鳥居をくぐっては駄目だよ。


(ヨーコはそう言って縦笛を吹いた。ヨーコの風貌には似合わぬ和風の音色だった。すると鳥居の前方に朝霧に包まれ一頭の

《白い鹿》が現れた。その鹿には、こめかみから生える角は無く、なんと眉間から太く大きな一本の槍の様な角が生えていた)


一角(イッカク)だよ。この鹿は10年に一度角が生え変わるんだ。今日は、この鹿煎餅と交換にイッカクの角を貰って帰るんだよ!

まあ見てな。


「ガキン!!」

(イッカクは首を大きく縦に振り角を地面に叩きつけた、角が外れイッカクは鹿煎餅を頬張り始めた)


アヤ!面白い事が起きるよ、よーく見てな!


(角を外した白い鹿の背中から白鳥の様な大きな翼が生え出した。まさに、ユニコーンが《ペガサス》に生まれ変わった様な不思議な光景で有った。イッカクは大きな翼を広げ何処かに飛んで行った)


後の仕入れは野草と茸と蛇だったね!


(ヨーコは、そう言ってアヤに、しょい籠を背負わせ東の山の奥に入って行った。二時間程山を歩き収穫を終え、帰りの車内。アヤはヨーコに何故、鹿に翼が生えたのか聞いた)


あの鹿煎餅には鳳凰の羽が入ってたのさ! 前回の仕入れの時に鳳凰を呼び出して、真っ赤な激辛ポップコーンをお土産にして

鳳凰の羽を少し貰ったんだよ。

激辛ポップコーンを旨そうに食べた鳳凰は真っ赤な顔をして火だるまに成って何処かに飛んで行ったよ。

まさに《フェニックス》だったね!

私ゃ暑いのが苦手なもんで、あれはもう二度とゴメンだよ!


(真っ赤な激辛ポップコーンに何が入って居たかを説明すると切りがないので省略する。ヨーコとアヤは高速道路を降り市街地に着いた。ここは東京から東に100キロ程離れたカクテルと餃子の有名な街、この不思議な家族は大胆にもこの街でレストランを営んでいた)




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