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歪み  作者: じゃじゃ馬ぴえろすたー
15/16

第11話【思い出】

あれから2ヶ月が経った。

8月。夏休みが終わる頃、僕はサオリに別れを告げられた。

唐突だった。

僕はあの時、サオリのうちでバラエティ番組を見ながらひとり笑っていた。サオリは後ろで携帯を触っている。

「別れたい」

僕は聞き間違いかと思って、「え?」と顔に笑みを残しながら訊いた。

「別れたいの」

聞き間違いじゃない。ホントに言ってる。

「あ、あぁ…、これからは、友達ってこと?」

飲み込めない。なんだ、急に。

「うん。そう…」サオリは僕を見ていなかった。

僕はまたテレビに顔を向けた。ダーツの旅、面白いなぁ。

「そっか…」

テレビの声だけがこの部屋に流れ、僕達は黙ったままだった。

何がサオリをそうさせたのか。見当もつかない。あまりにも突然の出来事だった。さっきまで普通に話してたし、ベッドで一緒に寝てたのに。

「でも、何で?どうしたの急に?」

サオリは困った顔をするばかりで応えなかった。

「言いたくなかったら、別にいいけど…」


どうすればいいのだろう。

ここに置いてある荷物はどうしよう。1回で持ち帰れないな…。

とりあえずこの部屋を出た方がいいのだろうか。

「私シャワー浴びてくるね」

「あ、うん。」

その間に部屋を出てくれ。という合図なのか。

サオリが浴室に入り、シャワーの音がした。

僕はリュックにとりあえず入る分の荷物を詰め、このワンルームを後にした。


23時。外は暗く、虫の音が響き、夏の終わりを感じさせるそんな空気だった。

今日は、友達の家に泊めてもらおう。

僕は近くに住む友人に連絡をし、一泊させてもらった。

「また荷物取りに行く。よろしくね」

そうメールをして、眠りについた。


次の日、学校でサオリを見かけた。1人で歩いている。声をかけようか迷ったが、やめた。

女って、よく分からないな。

その後何日かかけて、サオリの家から荷物をすべて回収し終わった。


最後に荷物を取りにいった別れ際「また、ご飯でも行こう」と何ともぎこちない笑顔で、僕は言った。

「うん、学校とかでも話そうね」

僕は笑って頷いて、サオリも笑みをこぼした。


最後までサオリが別れた理由を言うことは無かった。僕もそんなことは別に聞かなくてよかった。

ただ僕はサオリに振られた。それだけのことだ。

理由を聞いてどうという話でもない。


でも。惜しい人をなくしてしまったな。


その日帰る途中、噴水広場に立ち寄った。

ベンチに座りタバコに火をつける。

前に紙袋を捨てたゴミ箱を、ホームレスが漁っていた。あの盗聴器もあの人が拾ったのだろうか。もしかしたらクッキーも食べたかな。


しかし何だったんだろうか。あの出来事は。

エリコは何も知らない風だった。新しく彼氏も作って、僕のことなんて忘れていたのに。

僕だけが1人で慌ててあんな馬鹿みたいな行為に走ってたんだと思うと、恥ずかしくて笑いがこみ上げてきた。だっさ…。ださすぎる…。

まあこれも後になって、こんなこともあったな。なんて笑って話せる日が来るはず。

若気の至り。


いい思い出をありがとう。サオリ。


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