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歪み  作者: じゃじゃ馬ぴえろすたー
12/16

第9話【彼女】

大水くんがいなくなった。

「コーラを買ってきて欲しい」と頼まれた私は、彼を1人部屋に残し、コンビニへ走った。

外は雨が降っていたが。この雨でさえ気にならないほど、気分がよかった。なのに…。


部屋に戻ると彼の姿は無く、机の上に一枚置き手紙が残されていた。文面はシンプルだった。



ちょっと外出るね。愛してるよ。サオリ。



それだけだった。

もう少し周りを見ると、道具箱があった引き出しが少し空いているのに気づいた。まさかと思って私は引き出しを調べた。


「金槌がない…」


私は外に飛び出した。雨を気にすることなく傘も持たないで走った。電話をかけるが、彼は出ない。何回も何回もかけ直した。メールも返答がない。

思いつく場所を探し回った。近所の公園、古本屋、ファストフード店。全く見つからない。

そして噴水広場へと辿り着いた。彼らしき人は見当たらない。自殺…、自殺とかしてないよね……。大水くん…、大水くん……。

時刻は19時半を過ぎていた。

「どこに行っちゃったの……」

その時一つの場所が浮かぶ。

学校…。

すぐに彼の通っていた高校の場所を調べる。ここからなら、40分くらい…。

とにかく駅に向かった。電車が来るのは10分後。なんでこんな時に限って遅いんだ。勘弁して欲しい。


私の鼓動が早まる。早く。早く。

その間も電話をかけ続けた。出ない。出ない。どうして、どこにいるの…。私は電車が到着しドアが開いた瞬間飛び乗った。

座席に座り、頭を抱える。「私、ビショビショじゃん…」ふと外を見る。街はすっかり暗くなり、街頭の光が流れていく。大水くん、エリコちゃんの所に行ったのかな。頭の中で彼との思い出を回想する。ああ。お願い。無事でいて。

電車に揺られること30分。駅に着いた。20時07分。

雨の中校門前まで走る。息を切らしながら私は学校前に着いた。「大水くん!大水くん!!いないの!?」私の声だけが響き、返事はない。ここも違うの…?どうしよう。もうどこに行けばいいかなんて…。

決死の思いで電話をかける。お願い、出て。お願い。


「サオリ…」

大水くんだ!良かった…、生きてた……。

「もしもし!?大水くん!!今どこにいるの!?」

「サオリ。俺、今……」


それは今にも泣きそうな声だった。


待ってて。大水くん。


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