鏡と過ち
テキトウに書きました
鏡とは、自分を映すものである。
それは、どういう意味か?
そんなことを考え始めたのは、いつからだろう。
人間は、自分の真の姿というのを基本的には理解していない。
というのも、私がそうだからだ。
自分が想像している自分というのは、真の自分よりも美しい。
それは、なぜか?
それは今自分がなりたい姿だからだ。
私には、それが理解できない。
いや、頭ではわかっていても心が理解していないのだろう。
だから、私は、同じ過ちのループを繰り返す。
と、ネットに書いてあった。
そんなブログを読みながら今日も時間を潰している。
なぜか?
それは、仕事が来ないからだ。
彼の仕事は、高価過ぎる。
彼にも幼い頃から考えることがある。
生理現象である「おしっこ」をする時だ。
彼は、こう考える。
「もし、この世界が現実世界で寝たきりの俺が作り出した夢ならば、家族は、「〇〇君は夢の中で今、おしっこをしているんだね」と言っているのかもしれないな…」
なんて、バカバカしいことなのだろう。
彼は、変わっているのだ。
他にも、「死後の世界はどんな感じなんだろう?」と考えたり、
「明日、隕石が落ちてきたら自分はどのような行動を取るのだろう」考えたりする。
もちろん、それにもきっかけはある。
彼が小学生の時、毎朝見ていたアニメの影響だ。
そのアニメは、俗にいう短編(一話ごとに内容が変わる)ものだった。
ある話で、月の住人が地球にやってきて、母親を連れて行こうとしたという内容だった。
月の世界では、不老不死であり、矛盾しているが天国のようなところだと言っていたことをよく覚えている。
彼は、その内容で涙を流した。
そして、その日の夜から、彼は、死ぬことがすごく怖くなった。
お風呂に入っている時、ベッドに入った時にその恐怖に襲われる。
彼は、そんな自分が嫌いだった。
そんなことを考える恥ずかしい自分が嫌いだった。
彼は、誰も信用できなくなった。
そして、今に至る。
しかし、そんな彼にも誇れるものがひとつあった。
それは、「考える力」である。
正しくは、「想像する力」である。
だから、彼は、そんな能力を活かせる仕事についた。
事務所の電話が鳴る。
今時、珍しい黒電話だ。
たぶん、仕事の依頼だろう。
彼は、受話器を取り依頼の内容を聞いた。
その後、彼は、現場へ向かった。
そこには、一人の老人が横たわっていた。
老人が彼に話しかける。
「人生は、楽しいか?」、「チャレンジしているか?」、「今のままでいいのか?」
彼が一番聞きたくない言葉だった。
なぜか?
それは、今まで自分が目を背けていたことだからだ。
彼は、何も言葉を発することができない。
すると、老人は、「ゆっくりでいい、自分の時間を夢を大切にしなさい、そうしなければ最後、必ず後悔するから…」
と彼に伝えた。
老人は、ゆっくりと目を閉じた。
安らかな寝顔だ。
「言いたいことは言ってやったぞ」と言わんばかりの顔だ。
老人の胸ポケットから若い頃の写真と鏡が出てきた。
それは、彼の顔にそっくりだった。
ブログに書いてあることが「本当なんだな」と思った。
鏡が映したのは、「自分の心に秘めていた、なりたい自分だった」
しかし、彼は、過ちを繰り返さなかった。