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少女が求めるもの、そして転生

不定期亀更新小説です。

前の作品の息抜きに書いているものなので、誤字脱字や数字は漢数字だったりアラビアだったり、あとは、放置とかあるかもしれません。

それでも良い方だけごらんくださいね!

悪夢だ。

暗い路地裏で血に塗れた服を着て、手には拳銃を持ち、私はそう思った。

あと、何人…人を殺せば良いのだろう。

いつになれば神は救いを与えてくれるのだろう。

死は人に平等に与えられる救いだと言うけれど、私にはもう、その救いを受ける資格さえ無いのだろうか。

死にたい。

終わりなんてあるのだろうか。

何度も何度もそう思った。

でも、何故かどうしようと生きながらえてしまう自分に嫌気がさした。


こんな言葉がある。


ーー「はじめに言葉があった。言葉は神と共にあった。 万物は言葉によってなった。なったもので、言葉によらずしてなったものは何一つ無かった。言葉は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。闇は光を理解しなかった」…と。


言葉は、光だ。

光は善人に。

闇は罪人に。

天使は光に。

悪魔は闇に。

なら、罪人に光は来ないのだろうか。

罪人に物語のように天使が手を差し伸べてくれることは無いのだろうか。

否、無いのだろう。

無いから悪が生まれる。

悪が生まれるから善がある。


これは、人の業で。

唯一神の絶対的な失態でもある。



さて、こんな言葉もある。

ーー「求めなさい、そうすれば与えられる。探しなさい、そうすれば見つかる。門を叩きなさい、そうすれば開かれる。誰でも、求めるものは受け、探すものは見つかり、門を叩く者には開かれる」…と。


私は求めた。

主よ、あなたはどうした?

ーー「見捨てた」

私は探した。

主よ、あなたはどうした?

ーー「隠した」

私は門を叩いた。

主よあなたはどうした?

ーー「門を閉じた」

神は私を捨てたのだと、その時悟った。

私は世界に見捨てられた忌子なのだと。


全ての人が良い事をしたとする。

そうしたらどうなる?

世界は平和になるか?


断じてそれは否である。

全ての人が良い事をしたのなら、その良い事の中に優劣がつき、エゴが生まれ、悪が生まれる。

人はエゴの塊だ。

強いものが偉く、弱いものが悪い。

ただの簡単なルールだ。

まぁ、人からエゴを取ればそれはただの家畜の変わらないのかもしれないが。


ふと、私は思う。

何故、神は人を生み出したのだろうと。

何故、人は生きる事にすがりつくのだろうと。


答えなんて人には分からない。

それを一言言われれば、あとはどうすることもできない。

出来るとすれば、ただ朽ちていくのを待つのみ。


銃声がなる。

私を探しているのだろうか。

唯一、試して居ない死に方があった気がする。

確か…自分ではなく人に殺される事だったっけ。


なら、と。

私は自ら敵陣へと赴く。

少しの希望にすがりつき、神の救済が私に届く事を願いながら。

あと…もしもしも、輪廻転生というものが存在して、生まれ変われるのであれば、私が強者である事を願って。


私の脳天に……銃弾がのめり込んだ。




ーーーーーーーーーーー




ふと、眼が覚めると、見慣れないカーテンが真っ先に目に入った。

真っ白な純白のレースカーテン。

滅多にお目にかかれない代物だ。

体を起こしてからゆっくりと辺りを見回した。

考えられないほど軽い体を使って立ち上がると、私は鏡に向かって直進した。


姿鏡に己を映し出す。

私は…神の御使なり。

お前は神に認められた子。

精霊に愛されし寵愛を受けし子。

祝福と恩恵を受け、天に召された子。


頭の中に記憶が浮かび上がっては、経験として消えていく。


私は誰なの?

あなたは、神の御子。

名前をマリアネット・クリアフェルネ。


私はいくつ?

あなたは、性を受け五年経った。

年は数えて6歳。


私はどんな子?

あなたは、クリア家の侯爵令嬢。

とてもとても賢い子。


私の家族は?

あなたの父は、将軍。

名はアスラン。

母の名は、マリアクラネット。

兄の名は、アリアドラル。


思い浮かんだ疑問全てに声が届く。

不思議とその答えは心におさまり、私の記憶が蘇る。

この国は《ネプチューン》。

美しい海と、煌めく鉱物…宝石にかこまれた幻想のような国。

そして、私はプラジェリカという街に住む侯爵令嬢。

父は、国の四大貴族とまで言われ、領民からも慕われる…いわばスーパーエリート。

母は、聖女と呼ばれる回復魔法のエキスパートだ。

そして兄。

兄は、百年に一度の攻撃魔法の天才と言われ、若くして聖騎士となった。

父と同じくエリートだ。


この世界の主…神は私に優しいらしい。

ファンタジー…魔法や不思議に溢れ、魔物が生息する世界。

こんな忌子の魂を拾ったのは、ゲームのような世界の神様だったようだ。


私は、シルクとレースのネグリジェを身にまとい、右手の薬指には可愛らしい銀の指輪をはめていた。

腰まである髪は、銀…白銀色だと思う。

鏡に映る己の顔は、この世のものとは思えぬほどに美しく、また、儚くあった。


私は、弱い?

いや…初めから強いものなどいない。

強くなればいい。

全てを捨ててでも私は強者であることを選ぶ。


たとえそれが、血の繋がった家族でも。



「マリー様、起きておられますか」


私を呼ぶのは…?

マリアネットの経験が、記憶が、教えてくれる。

ふわふわと、私の中に入って来るみたい。

彼は、私の護衛騎士、ルクス。

ラテン語で、光という意味を司るもの。


「起きてる」


短く返事をして、彼がドアを開けるのを待つ。

ルクスは、その名に見合った美貌と、実力を兼ね備え、髪はその中でも最も美しい、透けるような金空色。

触れれば溶けてしまいそうなくらい、綺麗。


「左様ですか。朝食はどちらでお召し上がりになられますか?」


「ここで、食べる」


「分かりしました。お召し物は…」


「いつもの、白のワンピース出して」


「はい、ここに」


ルクスが持ってきたのは、シンプルな白いワンピース。

汚れたら、すぐに目立つであろうその白は、シンプルながらも上等さが目立つ。


メイドが着替えさせてくれた後、シルクのリボンで髪を結ってくれた。

サイドテールに。

私の髪は、腰のあたりにまで伸ばされていて、そして、その一本一本が、丁寧に手入れされている。

そのため、ポニーテールにはしにくいのだろう…というか、成人するまでは、貴族の子供が自分で髪型を決めるということはしない。


「お食事をお持ちいたしました」


ルクスの声が聞こえた方に目を向けると、トレーに乗せられて運ばれてきたのは、色とりどりのフルーツとパンケーキだった。


「どうぞ、お召し上がりください」


「…いただきます」


いちごと一つフォークで口に運び、咀嚼してみる。

甘かった。

そして、自分で驚いた。

私ともあろうものが、毒味もなしに、果実を口に運んだことに。

それほどに、私の中のマリアネットが、この人物たちを信頼していることに。

そして、もう一つ、今度は桃を口に運んで嚥下した。

また、甘かった。

おいし、かった。


「ご馳走様でした」


「お粗末様です、マリー様」


結局全て完食した。

もちもちのパンケーキは、ほっぺが落ちるかと思った。

それほどに、美味しかった。

…あとで料理人に褒美でもあげようかな。


「今日の予定は?」


「本日は、午前中は、魔術の家庭教師、午後からは、伯爵子息であるテオ様がご訪問されます」


私は、両親の影響からか、はたまた遺伝か、魔力の絶対量が凄まじいほどに多いらしい。

それこそ、エリートコース真っ最中の兄よりも。

そのため、4歳の時から魔術教師をつけられ日々訓練させられている。

その、魔術教師というのがルクスなのだが…まぁ、そこは。

将来は魔術師か研究者か。

そんなことを考えるような歳でもない、か。


あと、テオと言うのは、私の幼馴染で、婚約者でもあるテオルナ・ナイトライドの愛称。

テオは、なんと言うか、美しい、人?

そりゃぁ、私の家族も、ルクスも綺麗だけど、それとは次元が違うような美しさで…。

黒い髪に映える銀の瞳は、まるで、夜の王であるオオカミのよう。

私よりも2歳年上のテオは、魔術も勉学もトップクラスで、時期王室魔術隊長の座は間違いないと言われている。


「さ、ご用意が終わりましたら、勉強室へ移動しましょう」


「…うん」


私は、子供らしくない子供だと思う。

6歳にしては、大人びているし、言動が可愛くない。

見た目は可愛いと思うから、黙っている方が良いタイプなのだろう。



「さぁ、本日はーー」


そうして、長くとも短い、マリーとして転生したーーのはじめての一日が始まった。


引用ー新約聖書

引用ー旧約聖書


編集ー3行目『俺』を『私』に直しました。

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