第二話 リサーチ
微妙な現象の、『私の好きな物は流行る』は、中学生になっても相変わらず続いていた。本人比較だが……。
私は『私の好きな物リスト』を、手帳につけるようになった。何月何日頃から、何が好きなのか記録していったのだ。
だから、冷静に客観視しながら読み返してみると、かなり冷や汗ものだった。
『私の好きなアイドル』
そりゃ、アイドルだもの人気だって出るし歌も流行って当たり前だ。
『私の好きなお笑い芸人』
元から、人気のある人だったから論外。
『私の好きなお菓子』
子どもの好きなお菓子に大差はない。
『私の好きな教科』
好きな教科は、一生懸命勉強する。だから、好成績でも当然だ。地域の中学校中で、私の学年が教科別で一番の成績だったのは偶然の範囲だろう。
『私の好きな犬の種類』
親友の飼っていた犬種だ……。
『私の好きなファッション』
ブランドも雑誌で取り上げられた物だし、最初から流行ってる。
『私の好きな曲』
ヒット曲だから……。
書き出してみると、くだらない内容で恥ずかしくなってくる。
『私の好きなマンガ』
『私の好きなアニメ』
『私の好きな小説』
『私の好きな……』
『私の好きな映画』
公開前の宣伝番組で、気に入って見に行ったくらいだから、ランキング上位になって当たり前だ。
たとえ、私が観に行くまでランキング外だったとしても……。
これだけだと、偶然だと笑って済ませてしまえる。
私の親友は、中小企業の代表取締役社長のお嬢様だった。彼女は、私の『私の好きな物は流行る』を、妄想だと笑うことなく付き合ってくれる、懐の深い人物だった。
ある日、親友にマーケティング・リサーチのアルバイトに誘われた。商品化の前に、女子中高生向けの、ファンシー文具のキャラクターを評価して、意見を出し合うだけでいい、簡単なアルバイトだ。
他の中高生たちと、会社の一室に集められて、お菓子とジュースを飲み食いしながら雑談して、次々と見せられるキャラクターについて二時間くらい意見を出しあった。
その中で、私は他の人は不評だったキャラクターが、とても気になった。他に比べて可愛い訳でもなく、面白い訳でもない、ただひたすらに、その絵柄がすごく好みだった。
最後に、一番気に入ったキャラクターに、それを選ぶと、まわりは微妙な空気になった。
一週間後、親友に、私が選んだキャラクターが商品化されると聞いた。
同時期に知ってしまったのだが、実は親友の父親の会社は、このまま売り上げが良くならなければ、倒産してしまうかもしれない危機的状況だったのだ。
私は、親友の為にも強く願った!
流行りますように……! みんなも、私と同じように、好きになりますように……!
数ヶ月後、私が選んだキャラクターが大ヒットした。会社は、業績が上がり、持ち直したそうだ。そして、親友はもう一度、リサーチに参加しないかと誘ってきたが断わった。
さあ、次は何がくるのかな?
お読みいただき、ありがとうございます。




