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分話版 第三話 3-1

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第三話 ビーター・ゲーム!










「要するに、あたし、思うのよね? 例えば自分の、この世界に私が生まれた日からの想いびとがある日理想のお嫁さんを見つけてしまって、出会ってしまって、その女神さまの国に連れ去られてしまったらどうしよう、とか、」





緑茶党である悠里はそれだけを発してぐびり、とグラスを傾け、





「…ま、まあ安心しなさいっ! 例えそうなった段の後のておくれのおしまいの段取りであったとしても、この志津菜流格闘生存暗殺術八段の有資格者たるこのあたしこそが、例え火の中水の中、灰になってようがドザエモンになってようが、かならずあんたの指の一つは絶対に手に入れて培養再生器にかけて…ー!「ますたぁマスターますたあ!」




「なんだ」




「呼んでみただけでしたぁーっ!(あんこ)」




「………」「………」




ぺちっ




「ひゃうっ!?」




全く、こいつは…


デコにピンを軽~くゆる~く威力無くその額に与えてやりつつも、浩介のその顔はデレデレのにやにやだったとさ?





急速に言語能力を獲得しつつあるフェリは、ものの数時間でここまで会話できるようになった。





生まれたての子鹿でもこうはいかないぞ…とも思いつつ、しかし、感動である。





「あっ、そうだ!」




コウスケは瞳に電球を点らせた体で手をハンマープライスさせると、




「今日はお祝いに、昨日ためしてみたレトルトの模造フェイクハンバーグはどうだ? 一流の三つ星有名ホテルのレストランの専属シェフの持ち妖精が監修の、あの! 煮込みハンバーグの! なぁフェリ!」



「!」




果たして浩介からの提案を受けたフェリ嬢はというと、ぱぁ…! と顔を輝かせて、その表情をころころと喜びの物に美鈴を転がすかのように浮かべさせてから、




「たべたい!」



「だろぉ? 後で、準備するからさ。いや、今のこれがとっとと終わり次第、直ちに直ぐにでも…ー「ちょっと、」






「……………」「……………」「………?」






悠里はジャパニーズ・ゴメンネ・チョップを浩介の顔と卓上のフェリとの間に差し込むと、それからこほん、と咳を切ってから、





「だからさぁ、思うのよ、って。もしそうなったらば、首でもくくっているだろうあたしは果たしてこの世から未練なく成仏できるのかって、つくりもののロボットの妖精なんかに初恋からのずっとの相手をとられたあたしは、果たして狂わないでいられるのか、って、」




この時ばかりは、笑っていない。




「だからあの日、その前に、そうなる前に実力行使にでたの。ヤンデレ? そりゃあ上等よね、冷凍イカの目でも空鍋でも包丁女にでも、GOAL! なんてのも、ナイスボートなんてのもその段になったらなってやるわよ。ええ! えぇ…うふ、ふふふふふ…ー


そ、そっそりゃあ、悪かった、とは思ってるわよ…ーでもあたしにはなんにも買ってくれなくなったのに、妖精なんかにはあんな大金、…ー


そんなんだったからさぁ! 昨日は! 大喜び! しましたとも! ええ! そりゃあ大喜びしますともさ! 好きな相手から三年四ヶ月十六日ぶりにプレゼント、だなんて! しかも! コージーコーナー! いちごのしょーとけーき! あたしの大好きな! さぁ! でもさぁ! あやしいなぁ…、だなんてつい疑っちゃったあたしなんかの、厭な女だっていうような気持ちを! そんでもってガサ入れしてみたら実際その通りだった! ていう! その惨めな気持ちをぉ! あんたはどーやってオトシマエをッ「ますたー!」「ふぇ~り?」







「「あーん!」」




「…」




だん!




「ひゃぁ!?」「なにすんだよ、フェリがおびえただろ!」



「しゃがらっしゃぁ!」




卓上のフェリは小さじスプーンで今日のメインディッシュの肉じゃがを、対面するコウスケはイチゴみるく味のヂェリカンを差し出して、二人はあーん、の格好で…ー悠里がそれを阻止した。




壁ドン、ならぬテーブルの叩きつけられたその瞬間である。




「ああったく、悠里はなんでこんなに妖精をぉ…、」


「パードゥン? アーハン?? んなことはどうでもいいわ。ロボットなんかと人間サマとの恋愛ごっこだなんて、茶番もいいところなのよ!」




コウスケはロマンのわからない奴め…と苦い顔のしきりであったが、

もう片方は、というと…しばらく意味が分からずきょとん、として、けれど、あまり自分にとっていい意味ではないのだろうと想像して、フェリはひどく傷ついた表情になって、顔を伏せた。




「一番重大なのはねぇ??」




悠里はかぶりを振って、




「な・ん・で、フェアリーメイデンをあんたが持ってんのか、って事よッ!」




だぁん! と…再びテーブルに雷鳴が落とされた。




「ふーん、」



しかし、一方の浩介はどこ吹く風で、




「なんで、って、おれのオトウチャンとオカアチャンからの三年越しのクリスマスプレゼントなんすけぉ(不満)」



「見たわよ! 行って勝たなくても、あんなんなんかのトラップに決まってるでしょぉ!!!!!!!!!? きっと、何かの新手の詐欺商法かなんかなんだわ! そうなのよ! とっととクーリングオフしなさい! 妖精を! クー!リング!オフ!クー!リング!オフ!(海王拳みたいな節のつけかたで) さっさとへーんーぴん、 Go Do it!」



「“おぉおおぉおおぉ怖いでちゅねーフェリー? リアルの女はこわいでちゅーーーーー”相変わらずなにいってんだかワカンネーし、生身の女なんざはこれだから、」「こわいですねぇ、」



「エェーイ、あんたの! そこが! ダメなのよ! ゴラァ!! こんのピーピング・トムのフェアリー・ファッカーが! 罰当たりなのよ! 人間なら人間のことわりに従いなさい! ここに!カワイイカワイイなまみのおんなが!いる! あんたのおもう通りになるのに! なんだってできるのに!やれるのに! チクショウ! 私ごとゴッドのサンダーにバーストされて燃やし尽くされればいっそあの世で幸せなケッコンセイカツを…“「やめてよね、」”…ーえっ、」




この瞬間、瞬時にイケポされてしまうチョロインになる程にいつになく浩介がイケメン・フェイス(SIDE:悠里)で己への応対をしてくれていようとも、




「フェリの教育に悪い」「それじゃねえけぇ!?」「ますたぁー」




やはり、その手元からこの忌々しい妖精が離れることはないのである。





「うぅーっ!」




悠里は、それが悲しくて、悔しくて、女々しくて(金爆)




「…ーハッ、まあいいわよ、あーあー、いわんこっちゃないなーぁ? 妖精を手に入れたばっかりにガッゴーも休んで、あの下級生つーか女とイチャイチャうふふ、なんかしちゃったりして、中学校じゃないんだから、今に留年しちゃうんだから!」



「むしゅめの入り用に手間を惜しまないのが親なのであることはお前が一番よくしっているはずだッ!(スタンド発動) つーか、保育園から一緒なんだから分かるだろ? 不味くなってもおまえが教えてくれてるからこその、俺に足りてないのは出席日数だけだ、って」



「それが致命的なのよ!? キーー! これだから! こっちの苦労を! わかれ!

えぇい、クソッタレのふぁっきゅーのプッシーキャット・イアイアイア! だわよ! なによ、初体験も済ませてないのにこんなに所帯持ちずかれてたまるか! っての!「…………、」なによ!」




「………」「………」「?? ?」






「あのな、悠里」「なにかしら」





一拍の沈黙の後、浩介ははぁ、とため息を吐いてから、





「なんで、そんなに妖精がダメなんだ」




ようやくそれだけを、問うた。



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