■シーン8・対峙(ジョーカー、リンディア、ディラ、コーラ、ダナ、テトラ)男3女3
■シーン8・対峙(ジョーカー、リンディア、ディラ、コーラ、ダナ、テトラ)
真夜中。外壁から、リンディア女王の部屋に侵入するジョーカー。ディラ、コーラ、ダナ、テトラは外壁にしがみつき。ジョーカーを応援している。
ディラ「うっしょっ。うっしょっ。ジョーカー様っ! 頑張ってっ!」
コーラ「よっとっ! ジョーカー! ふぁいとおっ!」
ジョーカー「な、なあ。お前らは普通に入れるんじゃ、」
テトラ&ダナ「いいから行けっ!」
ジョーカー「クソッ。覚えてろよ」
こそりと入ったが、リンディアの視界に入り込んでしまう。
リンディア「誰?」
ジョーカー「っ!」
リンディア「その紋章……。ダーク?」
ジョーカーにそっと近付いてくるリンディア。
ジョーカー「っ……」
リンディア「あら。ふふふっ」
ジョーカー「?」
リンディア「こちらへどうぞ。座って下さい。お茶でもいかがですか」
ジョーカー「ち、ちょっと、急いでるんだ。クロム……、あ、いや、名無しのが来なかったか?」
リンディア「あははっ……。そうですね」
ジョーカー「……?」
リンディア「顔が一緒なのに。こうも似合わないものですね。どうして、そんな格好をなさっているんですか? ジョルド」
ジョーカー「っ!! よ……よくわかったな」
リンディア「ダークとは、長い付き合いですから。あなたとも」
ジョーカー「ふん……」
ジョーカー、羽織っていた軍服を脱ぎ捨て。黒いマントを羽織り。黒い狐面を着ける。
リンディア「火傷……。やはり痕になってしまったんですか?」
ジョーカー「気にするな。お前は――、相変わらず。絶世の美女、だな」
リンディア「ふふ。ありがとう。貴方に褒められるなんて。明日は槍でも降ってくるかしら」
ジョーカー「あんた以上のべっぴんは、見たことも聞いたこともねえな」
リンディア「名無しのは?」
ジョーカー「あいつは鼻が低いからな……。美人って顔じゃねえ」
リンディア「ふふふふふっ」
ジョーカー「何笑ってんだよ」
リンディア「自分の妻に言うような台詞だなあと思いまして」
ジョーカー「ちっ……。どいつもこいつも。……なあ、リン、」
リンディア「はい」
ジョーカー「お前、もしかして――死ぬつもりなのか?」
リンディア「……何故です?」
ジョーカー「テトラがな。バージョンアップしたんだ。元々、あいつには特別な千里眼が装備されてたが。今までよりも遥か遠くまで見渡せるようになったらしい」
リンディア「ジョルド、」
ジョーカー「趣味が悪い。毒のある花を寝床に敷き詰めて眠るだなんてよ」
リンディア「私にプライベートはないんでしょうか」
ジョーカー「悪かった。だが、お前に女王になって貰わなければ困るんだ」
リンディア「どうしてです?」
ジョーカー「クロム・ロワーツは俺のものだ。こんな死にかけの小惑星に置き去りにし、古びた水晶宮の王様なんかさせられるかよ。あいつは、広い世界で。自由気ままに俺と生きるのが定めだ。それを邪魔するな」
リンディア「そんなに愛しているんですね」
ジョーカー「愛……か」
リンディア「でも、ダークもあの子を愛してる」
ジョーカー「知るかよ」
リンディア「ダークにとって、名無しのはかけがえのない存在」
ジョーカー「お似合いなのは認めるけどな。なあ、クレラスのキーコマンドと声紋、いじったのはやはりお前か」
リンディア「さあ、なんのことでしょう?」
ジョーカー「お前の言うことを聞くインドランスなら腐るほど居るだろう」
リンディア「名無しのに必要なのは、親からの愛情と、ジョルドとダークからの愛情……。それさえあれば、あの子は自信がつくでしょう」
ジョーカー「クロム・ロワーツと設定したのはお前なんだな!?」
リンディア「話すつもりはありません。でもあの子は渡さない。私に恐怖しか与えない名無しの姫は、この手のひらの上で一生踊らせてみせる」
ジョーカー「させるかよ……! (去ろうとする)」
リンディア「ジョルド、名無しのに伝えるんですか? あのプログラムは悪戯だったと」
ジョーカー「言えるか。んな……それだけは、残酷過ぎる。あいつがどんだけ本当の名を必要としていたか……。それさえあれば、なんだって良かったんだよッ……!! ばかやろう」
去るジョーカー。その場に座り込むリンディア。
リンディア「(俯き、瞳にいっぱい涙をためて。笑って)……。ジョルド……。これでもう、私を嫌いに、なって」




