■シーン5・君はとくべつ(クロム、リンディア、ダーク)男1女2
■シーン5・君はとくべつ(クロム、リンディア、ダーク)
アイゼル場内廊下。ダークとクロムが、リンディアの部屋に向かって歩いている。
クロム「き、緊張してきました……」
ダーク「(クロムの肩を優しく叩き)大丈夫だよ」
クロム「変わらないですね。アイゼル。皆も元気そうで、何よりです」
ダーク「クロムの部屋、変わらずまだとっておいてあるんだよ。ちゃんと掃除もして貰ってて、」
クロム「えっ? ど、どうして?」
ダーク「ディラに、使わせて下さいってねだられたんだけど。でも……。ふっ。どうしてかな。君がいつか帰ってくるって、俺――わかっていたのかな」
クロム「ダーク……」
ダーク「ごめん。でもやっぱり……。君の代わりなんか、居ないから」
クロム「……っ、あ、ありがとう」
ダーク「クロム、さっきの本当だからね」
クロム「わ、私は」
ダーク「着いたよ」
クロム「あ……。……」
ダーク、扉を軽く数回ノックする。
クロム「……。……えっと」
ダーク「いつも返事はないんだ。入って大丈夫。さ、」
クロム「は、はい。失礼します」
扉を開けてくれたダークに会釈し。リンディアの部屋の中へと足を進める。白い部屋――。ベッドに腰掛け大窓の外を見ている淡い金髪の女性が、クロムの視界に入り込む。さざ波の音が聞こえる。
クロム「お姉様……」
ダーク「リン、クロムを連れてきたよ」
リンディアの身体がピクリと動く。ゆっくりとこちらを向き。
リンディア「……名無しの……。やはり、生きていたんですね。……お帰りなさい」
その女神のような優しさと、人形のような美しさが、少し怖い。
クロム「……はい」
リンディア「(立ち上がり。クロムに近付いて)早速ですが……。名無しの、私の代わりに女王になって下さい」
クロム「えっ……。で、でも、私には王の証がないんですよ? 私なんかより、お姉様のほうが。ずっと、」
リンディア「あなたが女王になるべきです」
クロム「待ってください! 私は、そんな話をしに来た訳じゃないんです!」
突如背中に激痛が走る、クロムとリンディア。
クロム&リンディア「っ!!? あっ……!!?」
クロム「熱……っ! うっ……ぁあっ!?」
ダーク「クロム!?」
リンディア「熱いっ……!! ああっぁぁぁぁぁぁあっ!!」
ダーク「リン!?」
クロム&リンディア「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!」
同時に泣き叫ぶクロムとリンディア。二人の背中が燃え出し――。
ダーク「クロム! リン!!」
クロム&リンディア「あぁぁぁぁぁぁあっ!! ……っ」
うつ伏せで倒れる二人。
ダーク「しっかりっ! っ――!? こ、これはっ……! お、王家の証!?」
シンラとライラの刺青と同じ――いや、これは本物の、王家の証。それが突然、二人の背中に現れた。
ダーク「一体どういうことなんだ……。どうして……」
クロム&リンディア「ぅ、ぅうっ……!」
ダーク「っ!! いけない。――誰か! 誰か来てくれっ!!」
クロム「だ、ダー、ク……っ」
ダーク「っ!! クロム!? 大丈夫!?」
クロム「も、もう、痛みはありません。すみません、騒いでしまって」
ダーク「……その、背中は」
クロム「えっ?」
リンディア「やっぱり、あなたこそ相応しいんだわ……」
クロム「お姉様?」
ダーク「リンの背中にも、王家の証が」
リンディア「えっ……?」
クロム「ど、どうして」
リンディア「……ふっ、ふふふっ、あははははははっ……!」
ダーク「リン?」
リンディア「こんなのは、嘘よ。――嘘に、決まってるわ!!」




