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タイムスリップ廉価版

 念願だった。幼いころからスプーン曲げに透視、予知と色々と試してみたが一向に超能力という才能は僕には無かった。最近闇サイトで見つけた超能力売買。実際に超能力を持っている人はそれが逆に負担になっていて最新の機器を使ってそれを売り出しているという。僕は興味津々でそのサイトにアクセスした。確かにたくさんの超能力が取引されているようだ。しかしどれも高額だ。僕みたいな一般人が買えるような額ではない。


 スプーン曲げ ¥10000000

 透視 ¥300000000

 予知 ¥7000000000


 夢のような能力が羅列されている一方で金額を見ると夢は夢かとも思ってしまう。

 ただそのなかで一つ目を引くものがあった。


 タイムスリップ ¥50000


 お手頃!お値打ち!いや実はこの能力が一番ありがたいものじゃないか。しかし安いのには理由があった。


 ※この能力は過去に5秒しかタイムスリップしかできません。一日一回しか使えません。


 果たして役に立つのだろうか。しかし今自分の手に届くのはこの能力だけだし、たとえ5秒だとしてもタイムスリップできるのはすごいことではないだろうか。長い人類の歴史の中でフィクション以外で時間を逆行した者などいないのだから。僕はその日のうちに契約した。

 

 入金を済ませるとさっそく連絡が入り、数日後担当の何者かと会うことになった。指定されたカフェに入る。相手はまだ来ていないようだった。そこそこ流行っているどこにでもあるようなカフェだった。気になったのは隣の隣の席で明らかに気弱そうな女性がマルチ商法に勧誘されている。お気の毒に。

 そうこうしているとサングラスの怪しい男が入店してきた。やっぱり『担当』だった。こちらの服装は伝えていたから相手もわかったのだろう、こちらにやってきた。

 長くなるのかと思ったらとてもあっけないものだった。風邪薬のようなどこにでもありそうなカプセルを一粒渡された。あと契約書にサインしただけ。そいつの話によるとそれを飲むと能力が身につくらしい。すごい世の中になったもんだ。そいつはすぐに店を後にした。僕はせっかくなのでテーブルのお冷でそのカプセルを流し込んだ。タイムスリップの方法は頭でそのことを強く思うだけでいいらしい。試しにやってみた。あまりわからなかった。5秒だと変化がなさすぎるのだ。

 そういえば一日一回だったっけ。明日はもっと実感できることに使おう。

 闇サイトを見つけて少し興奮して購入してしまったけどこの能力って何かの役に立つのだろうか。5秒だけ操れてもなあ、一日一回だし。早くも後悔し始めていた。


 次の日は時計の前で能力を使ってみた。秒針が12時ちょうどを指したときに念を込めると秒針が11のところに移動していた。やっぱり力は本物らしい。しかし感動は5秒間だけで5秒たつとそれまで通りに時間が流れるので何も変化がない。この能力やっぱり意味がないのかもしれない。

 数日間そんな感じで5秒間を最大に利用する試行錯誤をしてみたのだが、やはり5秒では変化がなさすぎる。

 その中で一つ使用方法を見つけた。たとえばビルの上から飛び降りる、飛び降りた瞬間に念じれば元のビルの上に戻っている。退屈な日常の悪趣味なスリルは少しの間やみつきになった。しかしそれも何度もやっていると飽きてきて、ついにはこの能力さえ使わなくなってきた。


 そもそも僕はあまりに平均的すぎて面白くない人間だった。何か特技があるわけでもない。子どもの頃超能力番組に熱中したのは幼いころから自分も何かできるんじゃないかという願望があったからに違いなかった。大人になった今でも変わっておらず、だからこんな能力を購入してしまったんだろう。

 でも意味がない。非日常も慣れてしまえば日常になって結局は何の意味もないものだった。


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