【シングルマン】 ~ゆらぎの映像で見せる心の移ろい~
登場
シリーズ「短距離恋愛」
【三十五センチ下の沸騰点】 第一部 接触点
【半径三メートルの箱庭生活】 第二部
一メートルの世界 <1>
(映画のタイトル表記なし)
第17部 二メートルの世界 <1> (の9ヶ月前)
(映画のタイトル表記なし)
【伸ばした手のチョット先にある、お月様】 第23部
うるさい女たち
(映画のタイトル表記なし)
大陽くんと月ちゃんが初めて映画を観にいったのがこちらの作品です。
主演は第83回のアカデミー賞主演男優賞をとったコリン・ファースで、昔は美形俳優で人気を博していた彼ですが、哀愁のある中年男性を演じています。英国王のスピーチの時もそうですが、コリン・ファースはイケメンで出来る男よりも、こういった生きる事に不器用だけど真っ直ぐな男を演じた方がはまるように感じるのは私だけなのでしょうか?
完全睡眠不足の大陽くんは、こちらの映画に耐え切れず爆睡してしまったという作品ですが、決して退屈な映画ではありません。ただ台詞も少なくゆったりとした静かでテンポで進む物語なので、映画に慣れてない方は寝てしまうかもしれません。私の主人は寝不足だったわけではありませんが、途中意識を飛ばしたようです。
簡単に物語の中でも紹介されていますが世界的なファッションデザイナーとして知られるトム・フォードの監督デビュー作にてクリストファー・イシャーウッドの同名小説を原作にした映画です。
長年連れ添ったパートナーを亡くしたゲイの大学教授が、最愛の恋人を失い絶えられない喪失感の中で自殺を決意し、その日を人生最後の日とした一日を静かに過ごすという物語。一見絶望を悲しみに満ちた暗い内容に見えるのですが、そうではなくある男が去る世界に愛しさをもち見つめていく世界を叙情感たっぷりに描いています。
悲しみに打ち拉がれ彩度をなくした風景が、死を前にした男の視界の中で、ジワっと時々色を取り戻す描き方が秀逸です。
この映画でみえる映像というのはカメラで撮影された風景というより、人の目で見える光景に近く、主人公の心の揺れ呼吸を映像の中で感じます。全てを諦めてしまった焦燥感と、ふとした瞬間に感じる生。そのゆらぎの心を映像で表現しています。
また死を意識しているからこそ感じる生命の息吹を感じ、心を再生していくそんな映画です。
ラストは、かなり意外な展開となるのですが、その終わり方も含めて、生と死というものを改めて自分の中で考えさせてくれる内容なのではないでしょうか?
A Single Man
2009年 アメリカ映画
監督・脚本・製作:トム・フォード
キャスト:コリン・ファース
ジュリアン・ムーア
ニコラス・ホルト
マシュー・グード
ジョン・コルタジャレナ




