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~心を揺さぶる音楽と出会えるミュージカル~【RENT】

【半径三メートルの箱庭生活】一メートルの世界 <6>(から後方二メートル) の前書きにあったのですが、歌詞だったために変更になりました。

挿絵(By みてみん)


 ストーリーが素晴らしい、映像が見事で圧倒される、最高に泣ける、最高に笑える。こういった条件が一つでもあらば良い映画と言われます。しかしミュージカル映画はこれらの条件を満たしていても、もう一つミュージカル映画にだけあるある条件をクリアーしてないと、それは失敗作となってしまいます。


 それは心を揺さぶる曲があるか!?


 これがなければ、如何に感動的でドラマチックな物語の作品でも微妙なモノとされてしまいます。


 今観たミュージカルが素晴らしい作品だったかどうかを分かり安く判断する方法があります。劇場を出る際、そのミュージカルで流れたナンバーをつい口ずさんでしまう、頭の中でなおも鳴り響いて離れないという状況であれば、素晴らしいミュージカルで、全く残る曲がなく、音楽とは関係ない話題を出来たらミュージカルとしては大失敗です。


 つまりミュージカル映画は普通の映画における評価に加え、音楽という乗り越えなければならない評価基準が一つ多くて大変なジャンルなんです。


 そして映画制作会社が興行成績を上げる為に考えるのは、舞台で大ヒットして大成功した作品を映画化する。ヒット曲を利用してノリノリでゴキゲンなモノを作る。人気の出演陣で観客の興味をひく。という事をしてきてます。


 危険を犯さずリスク低めに制作したのにミュージカル映画として失敗例は多くあります。マンマ・ミーア!、オペラ座の怪人、ロック・オブ・エイジス等々。(私やミュージカル好きを期待させてガッカリさせた映画という意味です。ロック・オブ・エイジス以外は興行的には失敗はしていません)


 コレらの共通しているのは、マンマ・ミーア!はメリル・ストリープやピアース・ブロスナン等々、オペラ座の怪人はジェラルド・バトラー、ロック・オブ・エイジスはトム・クルーズ、キャサリン・セタ=ジョーンズと豪華な出演者、最高の音楽で何故、駄目だったのか?

 ロック・オブ・エイジスに関しては歌は悪くはなかったです。トムもセタも歌も上手いし、危ないイッちゃったキヤラクターを熱演して素敵でしたが、残念な事に脇役がそのように良いのに主人公達がボンクラ過ぎて脚本の甘さが引き立ちました。そしてマンマ・ミーア!と、オペラ座の怪人は、物語は最高に面白くて音楽も良いのに、何故駄目だったのか?

 それは歌が下手なキャストにしたから。オペラ座は下手とは言いませんが、この作品は高度なテクニックをもった人が聞かせるからこそ素晴らしい曲なのに、普通に歌えるレベルのキャスティングにしてしまったから音楽の素晴らしさを表現するに至りませんでした。。マンマ・ミーア!は演技は素晴らしい人達ですが、ハッキリいって下手レベルの人が出演してしまいました。もうガッカリ通り越して呆然状態。


 逆に、舞台のオリジナルキャストの出演でかつ、舞台とは違った映画だからこそ出来る独自の良さまで付加して伝説を作った作品があります。


 それは、ヘドウィッグ アンド アングリーインチと今回語らせて頂くRENT。ヘドウィッグは舞台も造り上げ出演も勤めたジョン・キャメロン・ミッチェルが監督出演を行った為作品その物が持つ魂を舞台から映画に変わったとしても表現出来るのは納得ですが、RENTはそうではありません。監督はハリー・ポッターシリーズを手掛けたクリス・コロンバス。しかし監督自身が作品のファンでもあった事と、その中に流れる主人公達の気持ちに自分が重なる所もあったのでしよう、戯曲作家のジョナサン・ラーソンの想いを受け継ぎ映画を制作してくれました。そして、キャストの殆どをオリジナルの舞台をやっていたメンバーでを選んだ事で、映画の世界に舞台のパワーを吹き込み事に成功しています。それでなく、映画ならではの表現方法に加え、 アレンジと編集を加え洗練された世界にしていました。例えば台詞は歌でなく普通の会話にして日常性をだし、舞台では創造して補完するしかなった、ロジャーの過去の恋愛と姿、一つの曲の中でゆるやかに流れる時間と言ったものをモンタージュ(断片的にシーンをイメージで繋げていく手法)で見せることでより登場人物に深みを与え存在感を増しています。 舞台では生でぶつかってくる歌のパワーも、クールな影像でそのメドレ で ーメインとなる人物をピンポイントでみせている事がさらに見やすく入りやすい世界に仕上げています。 ミュージカルに慣れてない方にもかなり観やすい作品に仕上がっているのではないでしょうか?


 そして、このRENT、舞台にしても映画にしても、心に響く音楽があることは共通しています。

 心に響く曲が一曲ではなく、どれも素晴らしく心に刻みつけれれるそんなモノばかりです。私は映画の最初に歌われる『SEASONS OF LOVE』を聞いた段階でガツンと殴られたような衝撃と感動を覚えました。(舞台ではニ幕の最初に同じようなキャストが横に一列並んでというシチェーションで登場します)

 内容は平たく語ると『一年を518400分を何の単位で測るのか? 日の出、日の入り、飲んだコーヒーの数、笑った回数、喧嘩した数で測るのか? ならば愛で測ったらどうか?』という感じ。これが初めて聞いた時から泣けてきました。この曲を聞くだけでもこの作品をみる価値があります。


 しかも、クリスマスの夜から始まりクリスマスの夜に終わる一年を描いた物語。その一年である518400分という時間をどのようにどう自分は過ごそうという事を考えるのにも最適な映画。クリスマスの夜に大きな意味での愛の物語に浸ってみませんか?


RENT

2005年 アメリカ

監督 クリス・コロンバス

キャスト ロザリオ・ドーソン

 テイ・デイヴィス

 ウィルソン・ジャメイン・ヘレディア

 ジェシー・L・マーティン

台詞 ジョナサン・ラーソン

作詞 ジョナサン・ラーソン

作曲 ジョナサン・ラーソン

脚本 スティーヴン・チョボスキー

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