04 宰相視線
我が王は大変優秀な人間だが、ただ一つエミリー様のこととなると周りが見えなかった。
結婚するならエミリー様と、頑なだった。エミリー様は王妃として理想の人だが、子供を生むことが出来ないとわかっている。子供の頃かかった病気で子供が出来ない。これはもう確定している。だから結婚は別の人とするようにまわり全員が進めた。
王が父親とも慕う叔父のガルシーナ公爵も言葉を尽くして説得したが、王は頑なだった。
終いにはとうのエミリー様も『結婚は無理です』そう言って修道院に逃げ込んだが、王はエミリー様を取り戻した。そして結婚後三年たったら第二妃を娶ると約束して、お二人は結婚した。
素晴らしい結婚式だった。事情を知らない国民はお二人を祝福した。
パレードのときの熱狂は忘れられない。
だが、貴族はすぐに自分の娘を第二妃として送り込もうと画策しはじめた。
それがエミリー様を大変悲しませ、また陛下を怒らせた。貴族の気持ちもわかる。世継ぎは大事だ。
そして、うんざりした陛下は第二妃の条件を突きつけてきた。それは王妃殿下のエミリー様と同じ目の色を持った娘というものだった。紫の目は大変珍しいのだ。わたしはエミリー様以外にその目を持った方を知らない。
これは高位貴族の当主だけに知らされた条件だ。
「目の色が同じであれば、第二妃が生んだ子供でも最愛の生んだ子として愛せるだろう。なあ、そう思わぬか?」と言った陛下の目には私への恨みがこもっていた。わたしを恨むなど筋違いと思うが・・・
わたしたちは必死で紫の目の娘を探した。平民でもかまわない。どこかの貴族の養女にすればいいのだから・・・
そして諦めたころ、没落した貧乏男爵の娘が見つかった。
紫の瞳と白銀の髪を持った美しい娘だった。
陛下が紫の目を望んだことをこの男爵は知らなかった。わたしたちもわざと教えなかった。
貧乏でまともな貴族の社交をしていない男爵は、宮廷事情に詳しくなかったが、それでも陛下の王妃殿下への愛情は知っていたし、貧乏な男爵家出身の第二妃なんて苦労しかないぐらいは理解っていた。
だから、男爵は断り続けた。
一方、娘はあの結婚式のパレードで陛下を見て憧れていたらしく、第二妃になれると聞いて胸をときめかせていた。
華やかなお城での生活にも憧れを持ったようだった。若い娘だ。無理もない。
男爵夫妻はさすがにお城の生活が楽しいだけでないと知っているが、放蕩者の先祖からの借金の精算と弟様の学費の援助などの話をすれば、最後は賢く決断してくれた。
娘にはお城は近いから、家族になにかあったらすぐに帰れると言うと笑顔で承知した。
輿入れの準備は侍女長の采配ですぐに整った。
侍女長は、男爵のお嬢様でしたら心細いでしょう。わたくしが気の聞いた侍女を選定しますと協力を約束してくれた。
わたしはそれを聞いて安心した。第二妃様はご自分のお住まいでは安らかに過ごせると・・・
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