36 ネルソンとガルシアの会話
王宮の庭、噴水のそば、偶然を装って俺たちは話をした。
「俺はアレクを排除する」
なるほど、この間のサンダースとメリーベルの会話はこういう事か。
前置きも愛想もない。俺は目を細める。
「大胆ですな。でもどうやって?」
「大胆でなければ意味がない」
ネルソンの目は、燃えているというより、焦げている。
焦燥だ。
「アレクがいなくなれば、父も国王も俺を王太子にするだろう」
その声音には、長年の鬱屈が滲んでいた。
「あんなネズミなんか娶らずに、最初から俺を跡継ぎにしておけば良かったのだ」
……ネズミ。
銀灰妃のことか。俺は実の叔父なのだが……
俺は軽く笑った。
「血筋は大事ですが」
「血筋は負けてない」
即答だった。
「国王の所へ呼び出す」
「ほう」
「その場で? ですか」
「そうなるかも」
つまり――暗殺か。
ネルソンは続けた。
「マイクが一緒に行かないように、しっかりと止めておいてくれ」
わたしはゆっくりと視線を上げる。
「マイクを?」
「銀灰宮から出さない」
「マイクは生きていていいのか?」
「いきなり、二人を消すのはなぁ。不自然すぎる。仕方ない、国を出て貰うつもりだ」
「だからお前に頼む。俺は引き留めるのに失敗しそうだ。だから頼む」
その言葉が心地よい。利用されているのは承知だ。
利用できるほど、王子たちに信頼されているのだ。
「わかった。簡単だ」
「まぁ、事が終わったら」
とネルソンは笑った。あまり上手い笑いではない。
「アレク贔屓の国王と、俺の父親は嘆くだろうが、俺がいるからな」
王の座を語るには、早すぎるだろう。
だが野心は十分だ。
「俺の世になったら、期待してくれ、大叔父様」
大叔父様。俺はその名前と立場を裏切る選択をした。
王が誰であれ、俺が生き残ればよい。
「サンダースは知ってるのか?」
試しに問う。
ネルソンは肩をすくめた。
「さぁな」
知っているとは俺も言わない。お互い様だ。
「マイクの命を助けるのだから、感謝して欲しいな。あいつは知らないままだろうが」
「要は、銀灰宮に行ってマイクの話し相手をするってことだな」
「そうだ。簡単だ」
俺たちは、にこやかに別れを告げた。
いつも読んでいただきありがとうございます!
誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。
とても助かっております。
楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。
それからもう一つ、ページの下部にあります、「ポイントを入れて作者を応援しよう」より、ポイントを入れていただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。




