34 王子たちの計画
ウィリアム目線
[アレク、マイク。今日は顔をみて話したいことがある。王妃をだしにするからつきあえ]
[いいぞ、すぐか?]
[ウィリアム。あそこに行くのか?]
[あぁ、悪いな]
「兄上、王妃殿下の所へ参ります」[殊勝な言葉遣いだ]
「そうか、わたしも一緒に行こう。母上に久しぶりにご挨拶を」
「兄上、わたくしもお連れください。その……」[上手だぞ]
「いいぞ、ウィリアム。母上には会いたいものだ」[しっかり王妃に甘えてくれ。見たい!]
「すみません、マイク兄様、甘えてしまいまして」[やめてくれ]
俺たちの王子様ごっこを見ている侍女に見送られて俺たちは王妃の所へやって来た。
王妃の宮は、相変わらず静かだった。
侍女が名を告げると、奥から王妃が現れた。
その瞬間、俺は声を上げた。
「母上」
自分でも驚くほど自然な声だった。
俺は駆け寄る。
王妃は一瞬目を見開き、それから深く、しっかりと俺を抱きしめた。[いいぞ]
「ウィリアム……よく来てくれたわ」
「お元気でいらっしゃいましたか」と俺が言うと
「ええ、ええ。あなたが来てくれたから、元気よ」[元気だとよ]
背後でアレクとマイクが礼をする。
「ご無沙汰しております、王妃殿下」とアレク。
「お久しぶりです」とマイク。
王妃はうなずいたが、視線は俺から離れない。
「今日は、どうしたの?」
「散歩に参りませんか。よい天気です」
「散歩?」
「ええ。顔を見て、ゆっくりお話ししたくて」
王妃の瞳が潤んだ。
「行くわ」
庭園は穏やかだった。
俺は王妃の歩幅に合わせる。
「足元、お気をつけください」
「まあ、ずいぶん優しくなったのね」と王妃が笑う。
「あたりまえです。母上ですから」
その言葉に、王妃は息をのむ。
アレクとマイクは少し後ろを歩く。
あずまやに着くと、茶が運ばれた。
俺が椅子を引く。
「どうぞ」
「ありがとう、ウィリアム」
「最近はあまり会えません。お変わりないですか?」
「ええ……いろいろとね。でも、あなたが来てくれれば、それで十分よ」
王妃は本当に何も知らない。考えてない。単純な女だ。
宮へ戻るころには、王妃は疲れていた。
「少し休みます」と王妃。
「つい、嬉しくてお話が長引きました。申し訳ございません」
王妃は寝室へと下がった。
「今日はこれでお暇します」と侍女に挨拶した。
「さて、場所を変えて本番だ」
「楽しみだな。なにを仕入れたんだ?」
「ウィリアムは本当に便利だな」
「ネルソンとサンダース侯爵が動いた。公爵が城に、父上に会いに来る。その日に襲撃を仕掛ける」
マイクが息を吐く。
「父上も巻き込まれるな」
「も目標だ」と言うと二人はうなずいた。
「清く正しいアレク、どうする?」
とマイクが笑う。
アレクも笑う。
「面倒だから、二人とも死んで貰いましょう」
「それでいいな。犯人はネルソンか、サンダース。どっちでもいい」
「そうだな、単なる順番の違いだ。どっちも獲物だ」
「正義感を利用する、か。次はその手を使うかな」
「国王になるのは面倒ではないか?」
「宰相がやるだろう。問題ない」
「そうだな。手紙が出て来た時、勢いで殺さなくてよかった」
「確かに!」
「サンダースはどう動く」
「どうやってネルソンを潰すかってことですね」
「二人に任せて見物しましょう」
「当日の動きを確認しておこう」
「俺は王妃の所でサンダースと過ごす。サンダースのアリバイでもあるが、偶然襲撃現場に居合わせるつもりだ。ちゃんと死んだかどうか、確認しないとな」
と俺が言うと
「俺は銀灰宮で知らせを聞いて国王の所へ駆けつける」
とアレクが笑う。
「とすると、ガルシアとネルソンの相手は俺か」
とマイクが嫌そうに言う。
「問題はどうやって抜け出すかって事だな」
とアレクが考え込みながら言った。
「ここはガルシアに口をすべらせて貰いましょう」
とウィリアムが言うと
「そうだな、ガルシアだからな」
「そうだ。ガルシアだから」
三人は声を出して笑った。
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