03 侍女目線
わたしはスミス伯爵家の三女だ。実家程度の伯爵家だと、三女なんて持て余すのが普通だ。
だからお城で侍女をしている。もしかしたら誰かの目に止まるかも知れないのだ。家でくすぶっているよりずっといい。そしたら銀灰宮の侍女に選ばれた。陛下のお目に止まる機会だ。
だけど、たかが男爵、それも没落した貧乏男爵の娘のくせに第二妃になった女に仕えるなんておもしろくない。
でもその娘は名前を変えるように言われてた。
それで、侍女仲間と相談して、この仲間がまた性悪なのよ。ブラウン伯爵の次女だとか?まぁその彼女と相談したのよ。
その彼女、ジョシー・ブラウンがね、こう言ったの。
「銀灰妃様、陛下はデイジーと言う名前をすすめてくれと仰ってました」
銀灰妃は
「え?デイジー!」と言うと泣き出したのよ。
デイジーなんて名前はいやよね。みんなが知ってる名前だもの。間抜けなデイジーって。
泣くのを慰めて優しい言葉を囁いたら、わたしたちを信じるようになった。
「お辛いでしょうが、陛下の思し召しに逆らう事はできません。おいたわしい・・・」と一緒に泣いた。するとわたしたちを頼るようになった。
陛下もどうしてこんな間抜けを第二妃にしようと考えたのかしら。
公になっていないけど、正妃様が子供を産めないことはみんな知っているから、第二妃になりたい令嬢は多かった。公爵家も侯爵家も貴族の娘は全員がその座を狙ったのに、よりによってあの女とは・・・だけど、銀灰宮で働いていればお手つきになる機会は他より多い。諦めるものですか。
そして、あの女の名前は正式にデイジーとなり、婚姻届けもその名前で作成された。
性悪のジョシーとわたしは、婚姻のお披露目の席でもあの女を笑いものにしてやった。
似合わないテカテカの赤い下品なドレスを選び、髪は思い切り引っ詰めて化粧で老け顔にしてやった。迎えに来た陛下はあの女を見るなり嫌な顔をした。
黙ってあの女を会場に連れて行ったのはいいけど、入口であの女の手を離すと王妃殿下の手を愛しそうにとった。それからあの女のほうを見て
「今日の主役は銀灰妃だ。お披露目だ。ここで祝いの言葉を受けろ。わたしたちは邪魔にならないように踊っているよ」と言うと王妃と踊り始めた。
銀灰妃が、泣きそうになっているので
「大丈夫、わたしがそばに一緒にいます」と言うとほっとしていた。
貴族たちが代わる代わる祝いを言いにやって来たが、あの女は彼らのことを知らない。一緒に祝いを受けるべき陛下は王妃殿下と踊っている。
馬鹿でも自分の立場がわかっているようで、半分泣きながら、ただ
「ありがとうございます」と繰り返していた。わざと履かせた小さめの靴で足も痛いようだし、夜会の三時間は長かったでしょうね。っていうか長かった。
わたしの足もパンパンになったわ。
そして、王妃殿下が言ったのよ。この女も相当ね。
「陛下、最後の踊りは銀灰妃と」
足の痛みを我慢してあの女は踊った。
あの女は
「ねぇ、わたしは陛下と王妃殿下の邪魔するつもりなんてないのに」と言うから
「もちろんですとも、銀灰妃様は控えめですわ。
そして陛下は優しい方です。もっとこちらに来て下さるようにお願いしたらいいのですよ。会いたいのは当たり前ですよ」と言うと
「そうよね。お願いしてみる。ありがとう、そう言って貰えて気が楽になった。お披露目でもなんとなく、みんな冷たかったし・・・宰相さんに是非第二妃になって下さいって言われたのに・・・」
だとか言って、バカだよね。貧乏人で学院中退とか・・・
今頃、勉強するふりして家庭教師を離宮に呼んでるけど侍女長が
「勉強したくないそうです」とか言ってすぐに教師を断っていた。
あの女がっかりして、すぐに図書館で本を借りて読み始めたけど・・・ほんとにわかって読んでるのかしら・・・
それに、たまにやって来るあの女の実家の連中と来たら、来るたびに
「よろしく」とか挨拶をして来るのが鬱陶しい。
適当にお茶入れて、あとはご自由にさせてたら、気を使ったと感謝されちゃったわ。
貧乏人は扱いやすいわね・・・
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