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黒と青、金と青、銀と紫  作者: 朝山 みどり


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27/42

27 サイモン

 侍女がお茶を注いでいるとき、マイクが

「侍女長はお母様に意地悪を、ずいぶんしたそうですね。教師を断ったのは、あいつですよ。それ以外でも、あちらをちくりこちらをこっそりと、やってますね。首にするのは簡単ですけど・・・どう使うか今、検討してます。あいつの後任をどう思いますか?」

[お母様。話を合わせて]とマイクから。

「そうね。考えているわ。大事なのは権力を嗅ぎ取る力だと思うわ」

「さすが、ですね」

「伊達に王宮に長くないわ」

「まぁどうでもいいですけどね」


 三人が帰った後でわたしは庭の家族の墓の前で、家族に話しかけた。


「わたしは、まだ気が治まらないのです。恐ろしいことをしていると思います。だけど、まだ足りないのです。子供たちは多分、どこの誰よりも能力があるようです。もうわたしの手助けもいりません。いえ、最初からわたしの助けなど必要としなかった。彼らはこの王宮を支配出来ます。止める気はありません。失望なさってないですか?」


 ある日、サイモンの手を引いた三人が、やって来た。

[こいつ、ダメなやつだよ]とマイクが言うと

[でも、煽ててるんだ。ジョシーなんかね。舞い上がってるよ」とウィリアムが言うと

「銀灰妃はおまえか?」とサイモンがいきなり言った。たしか、四歳だったか?ジョシーはなにやっているんだ。

「だめですよ。サイモン。礼儀知らずはいけません」とマイクが言うと

「いいんだ。お母様も言ってる。こいつはネズミだって」

 ジョシーったら、面倒なことを・・・三人が面白がってる。


「サイモン。王は礼儀正しくあるべきです」とアレクが言うと

「そうですよ。サイモン。それが王の威厳です」とマイクが補足して

「勘違いして、威張り腐る王は、間抜けを晒していますよ」とウィリアムが言った。そしてすぐに

「でも、マイク兄様は王妃の子ですよ。血筋から言うとマイクが王太子になるのが、順当ですよ」と首をかしげながら言った。

「それが、普通だな。だがサイモンの優秀さを活かしたい」とアレクが言うと


「そりゃ、兄様、四人で力を合わせれば王座のひとつくらい得ることが出来ます。ですが」とマイクが意味ありげに言葉を切った。


「軍資金ですね」とウィリアムが言った。


「ゴードンが出すかな?」とマイクがアレクに問いかければ

「金か?」とサイモンが得意げに言った。

 三人が黙ってサイモンを見た。

「金なんて、お祖父様が出すだろ?」


「ふっふっふ、サイモン、おもちゃや、馬を買って貰うのとは違いますよ」とアレクが宥めるように言うと、マイクも

「そうですよ、サイモン。まぁあの馬はいい馬ですがね。あの馬を百頭、千頭買って貰うってことですよ」と肩をすくめた。

「それくらい、お祖父様はすぐに出してくれる」とサイモンがむきになると、三人は馬鹿にしたように優しく

「「「そうだね。サイモン」」」と言った。


「お母様、この前のあの焼き菓子ありますか?お母様が作って下さった、あれ?」とアレクがわたしに言った。

「ありますよ。この前は少し焦がしてしまったから、もう一度焼きました。今度は、上手く焼けました」と答えると、侍女がお盆を持って入って来た。


「どうぞ」と言うとサイモンがすぐに一枚食べて

「ネズミにも取り柄があるんだな」と言った。



[お母様、ゴードンが鉱山の権利をウィリアムに譲った]とアレクから連絡があった。


[ジョシーが騒いでいるんだ]とウィリアムからも連絡があった。

[ジョシーのやつ、俺がサイモンの財産を掠め取ったみたいな言い方をするんだ。失礼だろ?サイモンなんて、俺たちが手助けしなければ、ただの子供だぞ。それも間抜けよりの・・・]

[そうだわね。でもあのサイモンが、あちこちを騒がしているのは面白いわ。それにジョシーにとっては生まれた時から手元に置いて育てた子供は違うんでしょうね。それを思えば王妃はとんでもないことをしてくれたわ。そこが面白いのだけど]






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