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黒と青、金と青、銀と紫  作者: 朝山 みどり


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18/21

18  ジョシーのお披露目 王妃目線

 実家に引き取られている、パトリシアを、連れてこさせた。

「前にアレクを殺そうとしたわね。失敗したようだけど、マイクを殺して頂戴」

「殿下、めっそうもない。ご自分のお子様ですよ」

「お前がどうして実家で飼われていたか知らないわけじゃないでしょ?」

「お願いです」

「本当なら処刑されていたのを助けてあげたのよ」とは言って、微笑むと

「町で武器を短刀か短剣?好きなのを買いなさい。わたしの頼みで「カフェ・ルモンド」のパイを買いに行った時にね」

 そう言って合図を送ると、護衛が優しくパトリシアを連れて行った。


「お母様、お祖父様に注意されました。あまりお母様に甘えてはいけないって・・・わたしは深更妃(しんこうひ)の息子だから身の程と知れと・・・わたしはお母様ともう少し大きくなるまで一緒にいたいです」


 ウィリアムが、いつもより早く戻って来ると、わたしの膝にすがって訴えた。

 この子は公の場では、おとなのような口を聞くけど、わたしと二人だと甘えて来るのだ。


 それをお父様ったら、ウィリアムにひどいことを。お父様は権力を握る道具としてわたしを見ていた。子供を産めないと言われた時、わたしを修道院に送り込んだ。


 クリフが助けてくれたけど。世継ぎが大事なのはわかっている。でも養子を貰えばいいだけなのに・・・

 お父様と妹のイサドラから、能無し呼ばわりされたことは、絶対に忘れないし、許さない。


 ウィリアムを慰めながら、お茶を飲んだ。ウィリアムは、わたしのスコーンまで食べてしまった。

 あぁ可愛い、ウィリアム。



 深更妃(しんこうひ)なんて陰気な名前を貰ったジョシーの、お披露目とお祝いを兼ねて、内輪でお茶会をすることになった。


 内輪だが、久しぶりに着飾る。ウィリアムはわたしの色の紫を着せた。


 深更妃(しんこうひ)が着飾って現れた。ジョシーの義父のゴードン伯爵が得意満面でエスコートしている。


 銀灰妃がやって来た。侍女を連れて来ただけだ。ガルシーナ公爵も来た。こいつはアレクが王位を継げばいいと言って回っている。厄介な男だ。


 父のサンダース侯爵がやって来た。


 クリフが来ると連絡があったので、到着まで待つことにした。


「ジョシー、陛下が見えるのでそれまで待って下さいね」と話しかけると

「はい、もちろんでございます」としおらしく答えたジョシーだが、ウィリアムに話しかけた。

「大きくなりましたね。遠慮せず母の所へ遊びにいらっしゃい」

「はい、ジョシーお母様」とウィリアムが返事をするとゴードン伯爵が

「先ごろ、素晴らしい馬を、手に入れました。是非乗ってやって下さい」とウィリアムに顔を近づけて言っている。汚らわしい。


 そこにクリフがアレクとマイクを連れてやって来た。猫のトーマが、クリフの足元をうろうろしながらやって来た。


「あら、トーマ。クリフと一緒なのね」とわたしが言うとジョシーが

「陛下がいらっしゃると、トーマはいつも仲良しですのよ」と言うとトーマに向かって

「ね!」と得意げに言っている。


 猫にまで媚を売る卑しい女。わたしは絶対に許さない。



 銀灰妃目線

 ジョシーが猫にかこつけて、陛下のことを自慢している。

 王妃はそれを無視して侍女長に、合図を送った。侍女長はスプーンで、グラスを叩いて注目を集めた。

 そして

「今日は、ジョシーの為に」と言いかけた所で陛下が

「わたしが紹介しよう」と割り込んだ。

「ジョシー、こちらへ」と手を差し伸べてジョシーの手を取ると

「知っていると思うがこちらはジョシー。深更妃(しんこうひ)だ。少し待たせたがわたしの妃の一人で、ウィリアムの母だ。長らく銀灰妃のもとで暮らしていたが、隠居所として使われていた離宮を改修して住まいとした。みんなよろしく頼む。それからこれを機会に王子はそれぞれの母の元で、養育することにした。まぁ王子たちは、幸い仲が良い。親しく行き来して妃三人を、同じように母として大切にして欲しい」と言った。

 わたしはもちろん、王妃も初耳だったようで、途中で「え?」と思わず声が出ていた。わたしは、どうでもいいかな?子供たちは普段から遊びに、来ているしね。

 わたしは息子たちから

[おもしろいことになったね。お母様][アレクが喜んでる][僕もアレクの部屋にベッドを置く][僕も][お前は猫ベッドだ][引っ掻くぞ]などと話しかけられて、笑顔になるのを止められなかった。


 陛下が腰を下ろすとトーマが、膝に飛び乗った。

[一応、お父様だからね]とウィリアムが伝えて来た。


 入れ違いにゴードン伯爵が立ち上がった。


「みなさま、わたくしはジョシー様、深更妃(しんこうひ)の義父でございます。行儀の一つも覚えればと、お城に務めさせた娘が、思いがけない幸いを得て、ウィリアム殿下を授かりました。今回のこうしたお披露目を、させていただいて、ありがたいことです。お近づきの品を送らせていただきます」と言うとわたしと王妃の席に、お盆が届けられた。お盆の上には箱が二つ乗っていた。


 侍女長が威張ってお礼を言うとゴードン伯爵は、うやうやしくお辞儀をした。


 わたしは立ち上がるとゴードン伯爵にお礼を言って座った。

 しばらく、お茶を飲んでお菓子を食べていると、男が一人案内されてやって来た。


 

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