17 今更の国王
この日から、ウィリアムは泣き喚いて、銀灰妃を王妃の宮に呼んだ。
[お母様、ジョシーで遊びたいから連れてきて]
こう言われて銀灰妃は、ジョシーも一緒に王妃宮に行った。
上手に歩くようになったウィリアムは
ジョシーに向かって歩いて来た。
「お母様」と言うとだっこしてと手を伸ばした。
ジョシーはウィリアムを抱き上げると、しっかりと抱きしめた。
「可愛い、ウィリアム。わたしの子」ジョシーは涙を流して、こう言った。
「やっぱり、ジョシーに懐きますね。どうでしょう?母上。ジョシーも自由にこちらに来て貰うのは?」とマイクが王妃に向かって言うとアレクも
「本当の親がわかるのでしょうか?」と王妃に言った。
銀灰妃の腹から生まれた、金髪、青い目のアレク。
王妃の腹から生まれた、銀髪、紫の目のマイク、
愛妾の腹から生まれた、黒髪、青い目のウィリアム
三人はお互いに仲良く遊び、まわりは笑顔で見守るが彼らの目は笑ってなかった。
そして十年が過ぎた。
第一王子アレクは十五歳、母親は銀灰妃。第二王子マイクは十三歳、王妃が母だ。第三王子は十歳、母は元侍女のジョシー。
第一王子アレクを国王が、可愛がっているのは、誰もが知っている。アレクの後ろ盾は王室だ。現国王の叔父のガルシーナ公爵は、特にアレクを可愛がっている。
「クリフは子供に恵まれた。どの子も優秀だ。だったら後継はすっきりと年長者にすればいい。弟たちは立派な補佐になるぞ」と言った。
誰もが賛成する意見だ。正しい意見だ。だが、人間には欲がある。野心がある。
サンダース侯爵はエミリーが、子を生めぬと言われた時、エミリーを修道院に送り妹を婚約者にしようと思っていた。姉と妹、どちらが子を生んでも孫だ。だが、思いがけない現国王の行動で、それが出来なかった。
我が子が国王の寵愛を受けるも、子を持てぬ。それが悔しかった。欲しいのは寵愛ではなく、孫だ。孫を王位につけたかった。だが、断腸の思いで諦めた。
それが思いがけずエミリーが、懐妊して子を生んだ。エミリーの紫の目を継いだ男の子だ。
だが、エミリーはその子を疎んじた。馬鹿な娘だ。それだけならまだしも、侍女の生んだ子を可愛がっている。
馬鹿な母親が王妃の権力を使って、サンダースの孫の行く手を阻んでいる。サンダース侯爵は敵を、排除すべく動き出した。
ゴードン伯爵は義娘が生んだウィリアム王子と、話している。
「そうだね、わたしは自分が、王位についてもうまくやれると思う。同じように兄上もうまくやれる。どちらの兄上もだ。わたしたちをこのように育ててくれたのは、銀灰妃殿下だ。ただ、生んでくれたジョシーお母様が気の毒です。妃にしてあげて下さい。
銀灰妃様も気の毒ですね。家族を殺されてしまった」
「いいえ、殺されたのではありません。あれは事故です」
「そう、まぁそういうほうが都合いいよね。だからお母様を悲しませるのことはやらせない。兄上に武器を向けるものはわたしが排除する。嬉しいことに兄上たちもそう思ってくれている」とウィリアム王子が言うのをゴードン伯爵は複雑な思いで聞いている。
ただ、ウィリアムだけでなく、アレクもマイクもジョシーを妃にするべきだと言うのを無視出来ずに、ジョシーは妃になった。
「ジョシーと会うのはいつも夜更けだったからな」と言うことで深更妃と名乗るよう国王が決めた。
国王は今でも月に一度銀灰宮にやって来る。
最近は、泊まって行くこともある。
「銀灰妃よ。ここは落ち着く」と王が言うと
デイジーは
「人気がないからでしょう」と答えた。
「デイジーと呼ばないのですか?陛下が与えた名前ですよ」とデイジーが言うと
「なんと?! その名前を望んだのは銀灰妃ではないか・・・あっ・・・」と国王は思い出して言った。
「そうだったでしょうか?あまりのお言葉に記憶が定かではないので・・・まぁどうでもいいことですね。ねずみの名前なんて」
「いや、それは・・・」
「そろそろお支度して下さい。お帰りの時間ですよ」とデイジーはベッドから抜け出るとそう言った。
国王クリフは銀灰妃を銀灰宮に、案内した時を思い出した。
銀灰妃を大事にしたいと思っていたのだ。エミリーと、名前が同じだと不便だから、名前を与えたいと思ったのにエミリーは、あてつけのように、デイジーと言う名で呼ぶように望んだと、侍女が言ったのだった。
そうだ、侍女、二人のことを鮮明に思い出した。
あの二人、侍女長・・・宰相・・・そして銀灰妃の実家を殺したのは・・・いや、今更どうなるものでなし。
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