10 第二子
回復するとデイジーは身なりに気を配り、髪と肌の手入れに時間をかけるようになった。
「ネズミは陛下に抱いて欲しいみたい」
「恥を知らないっていいわね。わたしだったら恥ずかしくて出来ない」
「あのネズミに陛下はお元気ですか?」って聞かれた。
「わたしの子のお披露目はいつですか?」ですって
「そう言えば、あの女のお披露目は傑作だった」
「なにがあったの?それがね・・・・」
「えーーーそれでよく顔を上げて歩ける!!さすがネズミ」
「先生。どうでしょうか?わたくし、陛下のお相手が出来そうですか?」
「もう少しですね。散歩の距離を伸ばして食事をもう少し食べられるようになって下さい」
「はい・・・それとお墓参りに行きたいのですが・・・」とデイジーが言うと
「そうですね。外出の許可を貰いましょう」
「もう、雨が降りそうなのにこんなところへ来るなんて迷惑ね」
「ネズミだから雨も平気なんでしょ。それに泥んことか」
後ろから付いて来る侍女の言葉に、デイジーはちらっと後ろを振り返る。
声の主はわかるが、わざと振り返ったのだ。
「やだ、聞こえたの?ネズミって耳がいいのね」
「貧乏男爵の娘なのにね」
力を使ってみるか。とデイジーは後ろを向いた。
「そこの無礼な二人は追い出して」その言葉に医者は驚いた。
「わかりました。そもそもネズミに仕えるなんていやだったのよ。やめます」と二人は声を揃えた。
「すぐに叩き出して。やめるとは笑える。妃に無礼を働いた。追い出せ。それから親を呼びつけなさい」
「なによ。子供生んだくらいで・・・お披露目では無視されていたくせに」とパトリシアはデイジーの後ろ姿に言った。
「ほんとよ。ネズミは用済みなのよ」とジョシーが言うと二人は顔を合わせて頷きあった。
その時、護衛が二人の腕を捕らえて連れて行った。
医者は慰めようと思ったが、銀灰妃の顔を見て沈黙を選んだ。妃は薄く笑っていたのだ。
墓は粗末で荒れていた。医者は掃除しておくように手配したが無視されたようだ。
デイジーは気にした様子もなく、正面の草を少し抜くと用意していた花を備えた。
「しばらくひとりにして頂戴」その言葉で医者もそこから離れた。
妃は墓石を撫でながら
「ここにいらっしゃる?復讐するまでいらっしゃる?復讐しますからじっくり見学して下さい」と言うとハンカチを出して墓の土を少し包んだ。
「帰ります」小さな声だったが、みなが集まって来た。
馬車に揺られていると、知っている通りに出た。
この先を曲がって、もう一回曲がると生垣が見えると思ってはっとした。
「もう、あそこには戻れない。待ってる人はいない」デイジーは呟いた。
[ママ。今そこの近くにいる。来ないか?]散歩していると声が聞こえた。
[まぁ アイク。なにかあるの?]
[見せたい者がいる。待ってるよ。ママ]
デイジーはブラブラと小道を歩いた。知らせの通り国王と王妃と侍女が数人、乳母車を囲んでいた。
素早く全員を確認して「見せたい者」を見つけた。
礼を取ろうとするデイジーを王妃が止めた。
「堅苦しい関係じゃないわ。銀灰妃」
「ありがとうぞんじます。王妃殿下」とデイジーが返事をするとすかさず
「ネズミが出て来たわ」と侍女の一人が独り言のように言った。
「昼間にネズミが出るなんて」と別の一人も独り言を言った。
国王も王妃も聞こえていてもなにも言わなかった。王妃は薄笑いを浮かべ、国王はデイジーを目にした時から眉間に皺だった。
最初の侍女はパトリシア。二番目はジョシー。墓地で職を解かれていたが、王妃の侍女として働いていた。
見せたかったのはこれか!
「王子殿下を拝見しても」と王妃に話しかけたが、侍女の一人が
「王子殿下は臭いのがお嫌いです」と答えた。
「それは・・・失礼します」とデイジーは一行に背を向けた。
[すごい言われようだったな!ママ]
[いいことよ。復讐がもっと楽しみになった]
[さすがはママ]
いつもの時間に夕食を終えて、お茶を飲みながら、読書をしていると国王がやって来た。
デイジーは戸惑った。
「陛下、どう言ったご用向きですか?」と首をかしげながら言うと
「ご用向きだと?ご用は一つだろう」
国王はそう言うとデイジーを抱き上げベッドに向かった。
いつもより性急で乱暴な国王はデイジーの体を傷つけた。
痛みに耐えるデイジーを好きに抱いた国王は、終わると急いで身を離すようにベッドを降りた。
シャワーを浴びると濡れた髪のまま去って行った。
入れ替わりで現れた医者は
「これはひどい」と呟くと手当をした。
デイジーの体が回復して医者の許可がでると国王は前と同じように早めの夕食を一緒にとり二人で過ごし夜中に戻って行くようになった。
そうしているうちに、デイジーは懐妊した。
医者に言われた通り散歩をしていたが、ある日、何者かに突き飛ばされて階段を落ちてしまった。
部屋に運ばれたデイジーを見ながら侍女は
「やっぱりデイジーね。階段から落ちるなんて」と話していた。
どうにか出血を止めた医者は黙って付き添った。
犯人は見つからなかった。
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