01 国王と王妃の結婚
「ウィル、凄いわ。お花が降ってきた」
「ほんとだ、姉様」
わたしは、弟のウィルと両親と一緒に国王陛下と王妃殿下の結婚祝賀パレードを見ていた。
凛々しい陛下と美しい王妃様が馬車で手を振って通りすぎる。周りを歩くこれまた美しい人たちが、花を撒いて行く。ウィルは運良く花を手にとった。陛下の瞳と同じ青い花だ。
ウィルはそれをわたしにくれた。わたしはそれを栞にした。
可愛い弟がくれた青い花。あこがれの陛下の瞳の花。青空と歓声と陛下の笑顔。陛下の笑顔は王妃様に向いていたけど・・・あの笑顔を向けて貰えたら幸せだろうと夢見た。
それからしばらくして、わたしは学院を中退した。学費を払えなくなったのだ。
先代の借金に加えて、放蕩者の叔父が酔って暴れて壊した飲み屋の修理代。これ以上の出費は無理だ。だからわたしは学院をやめた。
名ばかり貴族の貧乏男爵の娘のわたしは貴族の家には、下働きですら行けなかった。
それで内職でドレスの裾上げや刺繍の仕事をした。母もやっている仕事だ。
幸い針仕事は好きだし、丁寧にやっていたら名指しの仕事を貰えるようになった。
がんばってお金を貯めてウィルは学院を卒業させなくては・・・家族が力を合わせれば未来は明るいと信じて暮らした。
そんなある日、我が家にお城の偉い人が二人来た。貴族ってこうなんだ思った。我が家も一応貴族だけど貧乏すぎて貴族をよく知らない。
話を聞いて驚いた。わたしに側妃になって欲しいと言うのだ。側妃って国王陛下の?あの素敵な陛下の?とわたしはどきどきした。
だが、父は断っていた。当たり前よね。こんな学院もでていないなんの力もない貧乏男爵の娘とか・・・
母の目配せでわたしはすぐに席を外した。
するとそのわたしを別の偉い人が追って来た。
「びっくりしたでしょう。側妃とか言われて・・・」
「えぇ、結婚式の時馬車のお二人を見ました。どちらも素敵だった」
「あの、素敵な人の隣りに立って欲しいのです」
「無理ですよ。わたしなんて教養もないし、学院も出てないですよ」
「存じてます。調べさせて頂きました。側妃になる方のことですから。
大事なことです。学院の成績は抜群ですね。ほんとわかっていたら、学費の援助なんか、わたし個人でやってますよ。
学院の教師を。いえ、それ以上の教師を派遣して貰ってお城で学べますよ。図書館も充実してます」
「そうですか?」
「そうですよ」
「でもおかしいですよ。わたしが側妃とか。貴族のお嬢様がいるでしょうに」
「あなたも貴族ですよ」
「名ばかりの貧乏貴族。わたし社交デビューもしてません。できませんでした」
「国王の希望に合うのがあなたなんです」とその人は意味深に言うと黙って微笑んだ。
「わたしは無理です」とわたしはその人の真似をして微笑んだ。
貴族っぽい笑いになってたかしら?
わたしがその人と話している間、父も偉い人と話していた。
「また、来ます」と彼らは帰って行った。
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