9 . バカ正直に生きた証 ②
帰り支度を急かすような日は、大抵は碌な事が無い。 おそらくだが、上司からのクレームで溜まったストレスの捌け口扱いをされるのだろう。 私的には仕事終わりと言えば居酒屋なのだが…。 私の意見など必要無いと言わんばかりに、「彼氏なら気を利かせろ」と、遥か上からの圧がハンパない。 だからこんな私なりに気を利かせたつもりで、小洒落たJazzBarへ招待しようとしていました。 大通りから左折して路地へ入ると直ぐに、目当てのJazzBarの入り口を視界に捉えました。 しかしJazzBarよりも手前の路上で、座り込んでいる男性が視界に入りました。 「どうかされましたか?」と男性に気付いた私は、ついつい声を掛けてしまった。 「ちょっと、ウサギ!汚いジジイなんかに構わないでよ!ホント、気の利かない男なんだから!」と、矢那から容赦無く浴びせられる罵詈雑言を、私の背中を盾にして男性を介抱しました。 私の視界の片隅に、JazzBarの入り口からコチラに向かって来る傘をさした男性から、「まともなエスコートも出来ない優しすぎるウサギよりも、デキる俺の方が、魅力的な女性には相応しいのでは?」と、鳥肌が立つようなキザな台詞を口にしたのは、同期入社でMENSフロアの同僚の『 阿久 真葛(あく まくず)』。