2. 百物語 第弐話
本来の百物語のルールは、『立てた100本の蝋燭に火を灯し、1話毎に1本の蝋燭の火を消す』というモノ。 だがしかし、小学生10人が100本の蝋燭を用意するなんて、まず不可能である。 なので俺達の百物語のルールは、①『各自が蝋燭1本を必ず持参する』。 体育館倉庫の中で、②『円陣に座った俺達の前に立てた蝋燭に、俺が100円ライターで火を灯す』。 そして、③『1人が1話毎に蝋燭の火を吹き消す』。④『10人が10話終われば、再び俺が火を灯す』。⑤『これを10回繰り返して、百物語にする』。 当時の俺達小学生には、これで精一杯だった。 でも1人が怪談を10話も話すのは、至難の業というモノだ。 話せて精々2〜3話が精一杯であろう。 残りの話しは似たり寄ったりが関の山だった。 そして100話目。 誰かが自分の蝋燭の火を吹き消した。 10秒…20秒…30秒…。 俺達は息を殺して、静かに時間が過ぎるのを待った。 「そろそろ1分経つぞ」「あれ?何かあった?」「もうすぐ陽が沈むぐらいかな…」。 各々が口を開いた。 結局、何も無かった。 「もしかして俺達、騙されてる?」「なんだよ、バッカみたい」「夕方だし、帰ろうぜ」。 結論として、百物語の後には何も無かった。 真上にあったはずの太陽が気が付けば、もうすぐ沈もうとしていた夕方4時30分過ぎ。 帰り支度をする俺達は、体育館倉庫から1人1人と出る。 そして最後に体育館倉庫を出た俺と、俺が出るのを待っていた友達と一緒に体育館倉庫の扉を閉めた。