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14. バカ正直に生きた証 ⑦

「妻の琴音と申します。主人を助けて頂きまして、ありがとうございます」と、バトラーの浅野さんに指示を出す着物の老女性は、慎太郎さんの奥様との事。 『お爺様!」「会長!」と、慎太郎さんを呼ぶ声が重なり合った。 琴音さんから視線を外した私の視界に、椅子に腰を下ろす慎太郎さんに駆け寄る2人の女性と、2人の後を追うように浅野さんの姿。 琴音さんにお話しした同じ内容を、2人の女性にも話すと、「失礼します」と告げた女性が、慎太郎さんの右隣りで両膝を床に着け、素早く慎太郎さんの身体を触診した。 1言告げた女性が女医であると推測した私は、直ぐ様立ち上がり、1歩後退して、診察の邪魔にならぬように配慮した。 私の所作を見ていた浅野さんが静かに近付き、「こちらは当家の常駐医で、石田佐京いしださきょう先生です。旦那様と奥様の主治医でもあり、旦那様の秘書と絵里沙お嬢様の家庭教師を、兼務して頂いています」と、浅野さんから紹介された才色兼備な女性には、少なからず心当たりがある。 「石田佐京?佐京…?もしかして…、石田秀宗いしだしゅうそう先生の…?」の小さな呟きに、慎太郎さんを診察されている佐京先生、佐京先生に診察されている慎太郎さん、慎太郎さんを心配そうに見守る琴音さんと絵里沙さん、そして浅野さん達が、一斉に私を凝視した。

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