11 . バカ正直に生きた証 ④
路地に面したマンションの入り口の階段に、老男性を座らせた私は、「痛い所はありませんか?」と老男性の身体を労りました。 「行き付けの居酒屋に行きたかったんじゃが、さっきのあの男とスレ違いざまにぶつかっての…。地面に尻もちを着いた時に、腰を痛めたかもしれん…」と言う老男性は、痛いのか右手で腰を擦ってました。 「えッ!あの男とは、今しがた、ココで言葉を交わしてた、あの男ですか!?」と声をあげて驚く私に、「うむ。そういえばあの男とは、そなたとは知り合いだったのか?」と老男性から聞かれた私は、「恥ずかしながら…、同僚です…。同僚からの不躾な行為に、代わりにお詫び致します」と真葛の代わりに頭を下げようとする私に、「君が謝る事は必要はない」と老男性に言われて制止させられました。 私は羽織っていた上着を、小雨に濡れた老男性の背中に掛けると、「さぁ、一緒に帰りましょう」と言って老男性に帰路に着かせようと促しました。 小さな溜息を着いた老男性は、「うむ、仕方がない。君の言う通りにしようかな…」とポツリと呟きました。 肩に掛けていたショルダー鞄を首からぶら下げ直した私は、老男性の真正面で背中を向けて腰を下ろし、老男性を背中に背負いました。 老男性に私の代わりに傘を持ってもらい、老男性と一緒に小雨が降る中を帰路に着きました。




