1. 百物語 第壱話
あれは小学校4年生の秋頃だったと思う。 秋祭りが終わった頃かな。 木曜日の昼休みに、誰かが言ったんだ。 「百物語しない?」かて。 以前からテレビ番組の影響で、『ノストラダムスの大予言』が流行ってたんだ。 当時は1学年で4クラスあって、1クラスでも28〜30人はいたと思う。 仲が良かった友達にも誘ってみたら、俺も含めて10人ピッタリだった。 皆と話し合った結果、当時は土曜日が午前中3時間目授業で、昼前に下校になるいわゆる『半ドン』だったんだ。 だから「土曜日の昼2時に、グラウンドの片隅にあるバックネットに集合する」と計画したんだ。 バックネットとは、野球のバッターボックスの後方に張られた防護(防球)ネットの事。 そして当日の土曜日の昼2時。 グラウンドの片隅にあるバックネットに、予定通りに集合した俺達は、そこから体育館へ移動した。 体育館の両端(東と西)には両開きする扉があって、下校前に東扉の鍵を、俺が事前に開けておいたんだ。 体育館の東側は渡り廊下から校舎があり、西側は体育館の裏になるから、体育館倉庫と屋外プールがあった。 東扉から体育館に侵入した俺達は、体育館倉庫へと向かった。 そして体育館倉庫へ入った俺達は、10人が円陣になって座り、各自が持って来た蝋燭1本を、自分の前に立てたんだ。 「さぁ、百物語を始めよう」