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第17話 クラン機能

「やあ有名人。名実共にトッププレイヤーになった気分はどう?」


 休み明けの学校。朝登校すると、早速愛依に絡まれる。


「……やめて。フレンド申請送って来た人達に、一件一件断りのメッセージ送るので休日潰した私の心の傷をこれ以上広げないで……」


 そう……私の土日は、3桁を超えて送られてきたフレンド申請を丁重にお断りして終わってしまったのだ。


「え!?全部に返信してたの!?マジメだねぇ……寄生目的で見ず知らずのヤツに申請送ってくるような連中なんて無視してればいいのに」


 もう、これ言うの何回目だろう?

 ……そういう事は早く教えて!?


「そういえば、運営からのお知らせ見た?今日の夕方からクラン機能実装するらしいよ。んで、そのうちクラン戦とかも考えてるみたいな感じだったね」


 クラン実装!?

 ……って何?


「あ……意味わからなさそうな顔しちゃってるね」


 あれ?顔に出ちゃってた?気を付けないと……


「クランってのは……まぁ簡単に言うと、同じ目的持った人達で集まる小規模なグループって感じかな?『ウチはゲーム攻略に力入れるよ』とか『まったり進めていくよ』とか『とにかくランキング上位を目指すよ』とか、そんな感じで、プレイスタイルが同じような人達を募って一緒にやっていくような、そんな集まりの事かな?」


 なるほど、何となくわかったような気がする。

 現実世界でいうところの、女子の派閥みたいなグループを作るって事かな?……いや、ちょっと違うかな?


「基本的には、自分でクラン立ち上げるか、誰かのクランに入れてもらうか~なんだけど……とりあえず、私がクラン作るから、和はそこに入ってほしいかな」


 まぁ私達は、基本「2人でやっていこう」ってゲームやり始めたわけだしね。

 クランっていう枠組みができるだけで、やる事は変わらない感じかな?


「んで、どんどん人集めていこう!和も『この人なら!』って人見つけたら勧誘していってね!」


「って他の人誘うんかい!?てっきり、2人でゲーム進めていくのに、邪魔されないようの人避け用にクラン利用するのかと思ったのに!?」


 私がコミュ障なの知ってて、気を利かせて2人だけのグループ作ってくれるのかとばっかり思ってたのに……私の勘ぐりすぎだったのね。


「大丈夫だって和。クラン入会は承認制だから、クラン立ち上げリーダーの私か、副リーダーに任命する和が承認しないと、他の人入ってこれないから」


 ああ、いちおうは審査をかいくぐった人しか入れないようにはしてくれるのね。


「クラン戦もあるかもしれない、って事を視野に入れると、ある程度人数も欲しいからね。クラン人数上限が20人ってなってるから、最低でも10人くらいはほしいところだね」


 そうだった……愛依はガチ勢の類に入る人だった。

 ランキング戦も、最終的には13位にまで順位上げてたみたいだしね……まぁ当人曰く「TOP10には入りたかった」って事だから、若干納得はしてないんだろうけど。

 最下位の人の順位が6桁だったから、ランキング戦に参加してない人もいる事も考えて、それだけのアクティブユーザー数の中の13位は十分凄いと思うんだけど……1位の私が言うのも何だけど。


「和の知名度利用して、和にクラン作ってもらうってのも考えたんだけど、それだと寄生目的の連中が大挙して申請送ってきそうな気がしたんで、悪いんだけど、クランリーダーは私がやる事にするよ」


 いや、別にリーダーやりたかったわけでもないから、悪くも何ともないんだけど……

 むしろ、色々動いてくれそうな愛依がリーダーでいいと思ってるし。

 それに、リーダーとして、明確な指示出せるのは、私なんかよりも愛依の方が適してるしね。私じゃ、何かあった時、どうしていいかわからずにオロオロするだけだろうしね。


「そんなわけで、私は今日、クラン関連で色々と動くから、和はクランメンバーを探しつつも、適当に自分のやりたい事やっててね」


 さっそく放置ですか……いや、正直もうソレにも慣れてきたんだけどね。


 まぁ何だかんだで、愛依と一緒にプレイしてる方が楽しいけれど、一人でレベル上げとかしてるだけでも、このゲーム楽しいからいいんだけどね。


 それにしても『クランメンバーを探しつつも、適当に自分のやりたい事』かぁ……メンバー探しは、できたらやる程度でいいとして、やりたい事とかはレベル上げ以外はこれと言って無いんだよね。

 いや、正確には『レベル上げ以外、何やっていいかがいまいちわからない』って感じかもしれない。


「ちなみに……愛依含めて、他のプレイヤーとかって、普段はゲーム内でどんな事してるの?」


 本当なら、約1週間放置された時に聞くべき事だったのかもしれないけど、丁度いいタイミングなので聞いてみる。


「ん~……基本はレベル上げしつつ、ギルドでクエスト受注して、それをクリアしてポイントとお金を貯めたりしてる感じかな?」


 やっぱりソレが基本なのね。

 私の場合、昇格試験しないとポイントがカンスト状態になってるから、クエストに手を付けてない感じだから、レベル上げしてる事は別に間違ってはいなかったのね。


「あと、条件を満たすと発生するイベントってのがあって、イベントが発生したらそれを優先してやる、って感じだね」


 イベント?

 そういえば、私も途中で止めてるイベントっぽいものがあったような……


「イベントは無事クリアすると、他じゃ手に入らないような、イベント限定のスキルとかアイテムとかが手に入るからね……難易度が高かったりするけど、クリアの恩恵がかなりでかいから『イベント発生した!』ってのがわかった瞬間に、何が何でも優先して、真っ先に手を付けるのが、他のプレイヤーと差をつける一番の近道なのよ」


 『クリアの恩恵がかなりでかい』?『何が何でも優先して、真っ先に手を付ける』?


「イベントって……そんなに重要?」


「そりゃあね。何が発生のトリガーになってるのかがわからないから、普通にプレイしてたんじゃ発生すらしない事もあるし、気付かない事もある。だからこそ、他の人との差もつけやすくなるわけよ。なによりも……高難易度で、ギリギリの戦いになるから、どう攻略しようか考えたりするのが、すっっっごい楽しいのよ!」


 なるほどなるほど……

 うん、今日やる事が決まったかもしれない。


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