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第13話 イベント発生?

 霧の立ち込める神秘的な感じのする森の中で一人たたずむ。

 ここは、『古の幻林』と呼ばれる場所らしい。

 このマップに入る時、見張りをしていた人が「ここは古の幻林。危険なのでランクS以上でなければ入る事はできない。お前は……ランクS以上だな。通っていいぞ」とか言っていたので、マップ名は間違っていないだろう。


 何でこんな場所にいるのか?

 理由は簡単で、愛依無しだと何やっていいのかよくわからなかったからだ。


 なので、とりあえず、私が昇格するための試験は何なのかをギルドの受付で聞いてみたところ「古の幻林にいる最古の魔獣の討伐」と言われたので、その場所を探してやってきてみたわけである。


 適当にモンスターと戦ってみたのだけど、ここに出るモンスターは、物理攻撃しかダメージが通らない敵と魔法攻撃しかダメージが通らない敵の2種類が出現するようだった。

 魔法攻撃が通じる敵ならまぁいいのだけれど、物理攻撃しか通じないヤツは非常に厄介だった。

 私の物理攻撃力では、数発叩かないと倒せないのだ。

 改めて私が魔法職寄りなんだという事を実感させられた。


 あと、敵からの攻撃で数百のダメージを受けたので、やはりここが私のステータスでの適正マップなのだろう。

 ……ラスボスっぽいような名前のモンスターがいるマップが適正マップとか、私のステータスどんだけバグってたんだろう?


 まぁともかく……何で、そんなマップの一角で一人たたずんでいたのかと言うと……えっと……何と言うか……敵を倒しながら調子に乗って適当に進んでいたところ……道に迷いました。


 様子見に来ただけだからもう帰りたいんだけど……出口どっち!?


 とりあえず、ただ突っ立っていても仕方がないので、適当に進んでみる事にする。


「はいストップ!そこから先は幻林の2層になるから、何も知らずに行くのはあまり推奨できないよ」


 突然後ろから声をかけられる。

 確かに、私が進もうとしていた方向は、今までよりも霧が濃くなってる気がする。

 帰ろうとしているのに、危うく先に進んでしまうところだった。


 ……って違う!今、私に声かけてきた人、誰!?


 このマップを普通に進んで来れるプレイヤー!?いやいや、私と同じように最初からステータスがバグってないと、無理でしょ?

 って事はCPU?……ワンチャン、私と同じでステータスバグり系の人?


 私はゆっくりと後ろを振り返り、声をかけてきた人を確認する。


 そこに立っていたのは、私よりも少し年上っぽそうな女の人だった。

 といっても、ゲーム内の容姿だから、実年齢はわからないか……あくまでもゲーム内での見た目の印象である。

 ショートヘアのくせっ毛がかった金髪に近い茶髪?装備品は凄く豪華そう、というか強そうな武器・防具を身に着けているのだが、唯一みすぼらしいボロボロのマントが目を引く。


 ……たぶん、町とかでも会った事ないよね?というか、会っていれば忘れなさそうな格好をしている。


「えっと……あの、どちら様ですか?」


 声をかけられたのに黙っているのも失礼かと思い、とりあえずは口を開く。


「すごっ……半信半疑だったけど、本当に西野だよ……って事は、よくわからないけど、今のところアンちゃんの思惑通りに事が進んでるって事かぁ……」


 ん?ニシノ?誰かと勘違いしてる?それとも現実で会った事ある人とか?

 いや、待てよ……ここはゲーム世界なんだから、こういう意味深な意味不明セリフ言うのは、何かのイベントが発生しているのかもしれない。


 そうだよね!初期ステータスがバグってないと現状来れないようなダンジョンに、シレっといる時点でプレイヤーじゃなくてCPUの可能性がほぼ100%だろう。


「あの?私に何か用ですか?誰かと勘違いしてません?」


 何もリアクションしないとイベントが進まなさそうだったので、適当に何か言ってみる。


「あ、ごめんごめん。さっきのはひとり言だから気にしなくていいよ」


 随分と大きなひとり言だったなぁ……

 でも何だろう……この人の喋り方とか雰囲気とか、何となく愛依に似てる感じで憎めないな。


「まぁともかく、この先の2層は生きる屍(リビングデッド)のたまり場になってるんだけど、1匹だけヤバイのが混じってるのよ」


 ん?これって何かのイベントかと思ったけど、もしかして、ただの注意勧告のためだけにいる人なのかな?


「まぁ今の西野……じゃない、キミならちょっとくらいやられてもデスペナ程度で済むから問題ないかもしれないけどアンちゃんが絡んでるから何とも……」


 完全に私が負ける感じで話が進んでるなぁ……このバグったステータスがあれば、大抵のヤバイ奴は対処可能だと思うんだけど……

 まぁただ警告するだけのCPUはそこまでの判断はできないのかな?


「あの?そもそもで、一匹だけ混じってるヤバイのってどんなモンスターなんですか?」


 特徴さえ聞いておけば、最悪逃げる事はできるだろう。


「えっとね……私?いや、私の本体?それとも分離体っていうの?ともかくヤバイのよ!アンちゃんのおかげで現状は維持できてるけど、このマップのラスボスよりヤバイのがうろついてるのよ!」


 説明がまったく意味わからないけれど、とにかくヤバい奴がいるっていう事だけは伝わってくる。

 っていうか、さっきから『ツッコミ待ち』と思うほど気になる単語が……


「一つ聞いてもいいですか?さっきから出てきてる『アンちゃん』って何者です?」


「あ、そうか……今のキミじゃわからないか。そうだねぇ……『ルーナ・ルイス』って聞いた事ない?」


 ルーナ・ルイス?

 何か聞いた事があるような無いような……


 あっ!!ゲーム初めて最初に行ったギルドにあった手配書!


 褒賞金が手持ち上限額を軽く超えてるっていう女の子……

 待って?上限額以上って事は、つまり『倒せない設定』だからこその金額なんじゃない!?


 そういえば!手配書見た時、CPUに話しかけられて、愛依が「ヤバ目なイベントのフラグが立っちゃってたりして」とか言ってなかったっけ!?


 ……それだ!!

 コレってあそこでフラグ立てたせいで発生したイベントなんだ!


 倒せない設定の敵って事は、コレって負けイベ確定のやつなのかな?


 …………


「あの……警告に従って帰りますんで、帰り道教えてください」


 こういうヤバそうなイベントはスルーするに限る。

 というか、元々帰るつもりだったし。


 まぁフラグは立った状態なんだろうし、続きをやるかやらないかは愛依に相談してからにしておこう!


「あ、本当に帰るんだ……やけに素直だね」


 心なしか、どこか寂しそうな表情になったCPUに帰り路を教えてもらい、ダンジョンから逃げ帰る私。


 あ、もちろん、道教えてもらったから、相手がCPUでもキチンと御礼は言ったよ、私。


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