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「うぅ……あれ、ここは……?」


 目が覚めると、俺は原っぱで寝ていた。

 今いる場所がちょっとした丘になっており、そこに一本生えた木の根元で寝転がっていたのだ。


「えぇ、すごいな」


 輝く太陽、優しいそよ風、緑の草原。


 確かに絶好の昼寝日和ではあるが、こんなところで呑気に寝れるほど俺もまだ精神的に成長していない。

 というかここがどこだか分からない。


「こういう時は最後に何をしていたか思い出すんだ。えーっと、昨日は、何をしていたかな」


 頑張って思い出そうとする。

 えーっと……


 しかし昨日の夜ご飯に何を食べたのかすら浮かんでこない。

 思い出すことは諦めた。


「あれ?」


 と、そこで寝転がっていた俺の横に一枚の便箋があることに気がついた。

 こんなもの俺宛に置いてあるようなものだ。

 遠慮なく開封し、中身を見てみる。

 ニ枚の紙が入っていたので、何やら文字が書かれている手紙の方をまずは読んでみる。




 儂じゃ、神じゃ。

 無事転生できたかの?


 神域でも説明したかと思うが、お主が今おるところは紛れもない異世界じゃ。地球とは大分勝手が違うとは思うが、お主の力を持ってすればすぐに適応できるじゃろう。なんせ神の力じゃからな、儂のお墨付きじゃ。


 で、覚えておるとは思うが、お主には魔王討伐を頼んどったじゃろう? その魔王の居場所を教えておらんかったと思うてな。

 別途入れておる紙に記載しておるから、それを頼りに向かってくれ。

 勿論いきなり戦えというわけではないが、あまりのんびりはするでないぞ? まさか遊び呆けるなどということはないとは思うが、魔王殺しは早いに越したことはないからの。


 それではお別れというわけじゃが、これがお主と最後の会話になるじゃろう。

 お主の活躍空から見守っておるからの、何か困ったことがあれば儂の顔でも思い出すんじゃな。



 神より。





 という文面が綴られていた。


「……やばい、転生したんだった俺」


 今更ながら実感が湧いてくる。

 そうだ、俺はなぜか魔王を殺せなどという盛大なミッションを携え、異世界へと転生することになったのだ。


「ああ……マジかよ、魔王倒さないといけないのか……なんかいやだなぁ」


 引き受けといてなんだが、明らかに面倒くさい匂いがプンプンする。

 一応便箋に入っていたもう一枚の紙も見てみる。

 そこにはざっとした世界地図のようなものが書かれており、とある地点にバツマークが入っていた。ここに魔王がいるということだろう。それとは別に現在位置も書かれており、どうやら魔王がいる場所とはかなり離れているらしかった。というか海を隔ててまるきり別の大陸だ。この世界がどれだけの広いかとかは知らないが、徒歩で移動するとなると相当掛かるんじゃないか? シンプルになぜこんな離れた場所に転生させるんだという疑問が浮かぶが、そこは神がやったことだ、何か理由があるのだろう。


「はぁ、まぁやるしかないか。魔王さえ倒してしまえばあとは何しても文句言われないだろ」


 俺は約束は守る人間だ。

 ただ魔王を倒せ以外に特に何を言われているわけでもない、逆に言えばそれが終わればその後は何をしてもいいということだ。


「よし! 活動方針はこうだ。まずは魔王を倒す! その後で何をするのか考える! 魔王を倒す仮定で異世界については大体わかるだろうから、そのときで考えたほうが今より考察は深まるだろうしな!」


 そうとう決まれば早速行動だ。

 だが一つ懸念点があり、俺が果たして本当に魔王を倒せるだけの力があるのかということだ。


「何も感じないんだけどな……もしかして何の力も得られてませんってことはないよな」


 その場合は魔王を倒すどころかこの世界でまともに生きられるかどうかすら怪しい。


「というかここから移動できないことには何も始まらない……その辺神の力でどうにかならないのかな」


 なにせ神の力だ。神といえば全知全能、失敗がなく全てが思うがまま、これ以上ない完璧かつ至高なる存在。それを前提にするなら本当になんでもできたって不思議ではない。


「まずは移動でもしてみるか?」


 俺は何気なく念じてみた。

 すると次の瞬間、俺は誰かに肩をぶつけられていた。


「いたっ!」


「%#!?」


 俺の悲鳴と、ぶつかってきた者の悲鳴が重なる。

 何事かと周囲を見てみると、俺は街中にいた。

 レンガ造りの家屋が立ち並び、なんとも古風な趣ある感じの景観だ。

 俺が今いる場所は広場のようで、近くでは綺麗な噴水が大きく飛沫をあげている。


 そして目の前では驚いた様子の男の姿。

 外国人っぽい見た目の三十代いったところで、これも古風な衣装に身を包んでいる。

 目つきが凄く悪くて、怖かった。


 え……なに? なんでいきなりこんな状況に?


「g○H%Nb%!!」


 男は意味の分からない言語で何やら言葉を発している。

 俺が今まで一度も聞いたことのないような不思議な響きで、到底聞き取れそうもない。

 なんだ、異世界語? いや、今はそんなことよりも考えるべきところがある。

 あれかな、もしかしてだけど、想像するとして……


 もしかして俺……瞬間移動したのか?

 

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