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やめないか

 時間短縮のためにエリアに突入したトビエイは、すぐに着水した。


「このエリア1946は、安全で広大だ。むしろ、他の放浪者に遭遇することを警戒しよう」アミラビリスが珍しくまともな言動を取り始めた。


「もう一つこのエリアで気を付けるべき所があるよ。ここでは上空から放射線が降り注いでいるから、下手に外に出れば寿命が縮むよ」茶髪の長髪の女性が、船内で警告を示した。


「誰!?」真治は彼女に向けて至極当然の反応をした。


 女性は元から細い目を細めて笑った。


「私はリック線の精霊みたいなもの。リック線があるところにはどこでも出没できる」女性は、そう言った。


「リック線は、慣性制御とか、エンジンとか、僕のビームネイルもだし、色々使ってるからねー」レイブは、都市伝説に出会っただけなので、そこまで驚いていなかった。


「あと三時間で、離脱予定の場所に着くよ」艦内放送でトビエイが言った。


「まあゆっくりしていきましょう」

 リック線の精霊は、カップに白湯を注いで飲み始めた。


 そのまま、乗員を一人増やしたトビエイは、エリアを離脱するポイントに達し、通常の宇宙空間に出た。


 そこには、恒星に近い大きさを持つ、宇宙守備連合の要塞の残骸が漂っていた。


「こちら、宇宙撃滅地球連合艦隊。そちらは、行方不明艦艇のトビエイか?」要塞を破壊したばかりの地球の艦隊から通信が入った。


「そうです!」トビエイは、嬉しさを隠さないまま、通信に返答した。


 

 しばらくして、レイブ、真治、アミラビリスの三人は旅を再開する羽目になった。彼らの友人は、誰も彼もが連れていかれる理由のある存在だった。





 三人は、猛吹雪に襲われている街のエリア1962に降り立った。


「昔こんな映画みたなあ」白く覆われた街を見た真治は、つまらないことを呟いた。


「別のエリアにはどう行くの? 僕寒いの苦手なんだけど」

「えっと? Xが描かれた扉を開けるとエリア2006に行けるみたいだ」

「このなかから探すのね……」


 三人は手分けをして目的の扉を探し始めた。


「あっゆきだるまがある!」

  

 真治は、めったに見ない可愛らしい重なった雪玉を見つけ、それが隙間を開けて大量に置かれていることに気が付いた。


「ほんとだ、かわい~」


 レイブがそれを見て、もう一つ小さな雪だるまを作り、元からある雪だるまの隣に置いた。


 元からあった雪だるまは、その重みに反応して、下にあった本体が飛び出した。その本体は、首のない雪でできた人型の怪物だった。


 二人は怪物の体から変色した生物の一部が飛び出ていることに気が付き、全力でその場から逃走した。


 人型の怪物は、雪上を滑って二人を追う。


「飛ぶ! 掴まって!」


 真治は、レイブの手を掴み、彼女は空へ飛び立った。



「こっちこっち!」


 アミラビリスが扉を開いて二人に向けて手を振った。三人は、押し寄せる雪だるまもどきから逃げようと、扉の中に飛び込んだ。


「閉じよう!」真治がそう叫び、振り向いた時には、扉は消えていた。


「ここはすでにエリア2006だよ。精神を酷く蝕む場所だ」


 アミラビリスがそう言い、それに反応して言葉を出そうとした二人の口をふさいだ。


「言葉を発するたびに、文句が付くようになる。抜け出す方法は二つ。とんでもなく文句を言われるような言動を取ってランダムなエリアに飛ばされるか、けた外れにやばいことをして、エリアBANに飛ばされるか。BANは安全な所だから、するべきことはわかるね?」

「入る前に言っとけよ」「ガキが二人居るからって教師面すんなあばずれ」


「ほらね……」

「得意げになるなカス」「死ねペド野郎」


 アミラビリスの笑顔が少しずつ崩れていく。


「だっ大丈夫?」

「性玩具が人間面すんな」


 レイブは、無言でエリアの地面を殴った。そして、ロングのスカートを全力でたくし上げ、その瞬間にBANに送られた。


 アミラビリスは、邪悪な閃きをして、すぐに実行に移す。真治を抱きしめ、口づけをしようとした所で、二人はBANに送られた。

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