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脱出成功?

 上空で巨大な龍と氷の翅を持つ巨大な蠅が戦いを繰り広げている。


 僕の目の前にいる金属柱の男は強い。何もないところから金属の四角柱を出して飛ばしてくる。自由な操作と当たればまずい威力。


 考えているうちに背後から迫ってきていたそれをヒートシャフトで切り落とす。


 勝てない相手じゃない。ヒートシャフトと服の胸に仕込んだ拡散ビーム。足と手のビームネイルで充分相手は出来る。


 男の前に無数の柱が浮かび、絶え間なく飛んでくる。


「こんなものっ」


 シャフトを持った手を高速回転させてそれを盾にすれば攻撃は防げた。


「やめないか?」


 男が話しかけてくる。


「君をスクラップにした事を謝罪しよう。本当にすまなかった。あれから君の事を調べさせてもらったよ。始めはただ、君の素材が珍しいというだけだった。でも、君は生まれてからずっと奴隷だったんだろう。彼らに会うまでは。君にはもう帰るべき場所もある。友人もいる。ただ一人のためにそれを危険にさらすことは非合理的だ。君は彼女から性的に見られていたのだろう?」


 なっなにも反論できない……。トビエイの所は楽しいし、受け入れてくれる私の最初の居場所だ。でも、でも。


「僕は子供だ!逃げたい! でも、僕より年下で、見捨てられそうになったのにアミラビリスを助けようとしてる。そんな子を見てると、弟みたいに思えてくる。辰道真治は僕の弟になってくれるかもしれない男の子だ! そんな子を手助けして何が悪い!」


「なんだか気持ち悪い」


 確かにそうだっ。なんで会ってから何か月も経っていない相手を弟って言っているんだ僕は。それに、やり返さずに和解したくない。


「ともかくっ。和解するとしても僕がお前をスクラップにしてからだっ」


 男に急接近してわき腹にヒートシャフトを叩きつけた。だが、相手は溶けもしないし

痛がる様子もない。


「それならっ」


 胸の拡散ビームも打ち込む。だが、効果はない。


「無駄だと思わないか? 私も君も、有効打を持たない」


 確かにそれはそうだ。でも、やり返せないのはなんだかもやもやする。


 空の龍と蠅の戦いも互角みたいだ。それを見ていると後ろから端子の付いたコードが飛んでくる。今となってはぬるい動きのそれを僕は簡単にキャッチした。


「持って帰ってくれない? 迷惑だから」端子から声が出てくる。


「「いまさら!?」」つい男と一緒に叫んでしまった。いやだってあんなにしっかり奪いに来てて、それをなんで。


「賞金を出すって言った奴らと喧嘩してな。おもちゃにしようにも面倒。だからこの機会に返そうかな~って」


 こいつもぶん殴ってやりたいな。まあ怪我もなく済むならいいか。


 カラフルな地面に気泡が出てきたと思ったら、そこからアミラビリスが現れる。


「久しぶり!」


 龍がこっちに来ている。凄い速度で。その加速を保持したまま龍は真治に戻った。そして彼はその運動エネルギーを持った蹴りをアミラビリスに決めた。


「ぐほあーっ」アミラビリスが真治と一緒に飛んで行く。


 あんたはそれをやられるだけの事をしたよ。


「じゃあ、帰ってくれてかまわない。こちらも引っ越しの準備で忙しいんだ」


 引っ越しか。そういや世界守備連合から離反したんだっけこの人たち。


「私たちも忙しくなるぞ」アミラビリスが僕の肩を掴む。


「世界守備連合の建造中の宇宙消滅兵器をぶっ壊しに行こう」


 そうしなければ、僕の弟は帰る場所を失う。


「それで、レイブとの関係に進展は?」今度は真治の後ろに移動して声をかけている。


「なんというか、妹がいたらこんな感じかなって」


 そんなんだったかな。……ここ数か月の行動を思い返しても心当たりしかないな。


「……」アミラビリスがすごく笑ってる。めっちゃ笑ってる。声も出せてない。

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