内示 平成7年2月 牧田精機上田製作所 上田市 長野県
予定通り?牧田精機上田製作所管理部への内示が1月半ばにでた。
ここでちょっと問題になったのが、、恵の勤務先。
一応は小諸に事業所があるのでそこに転勤できるか?と転勤願いは出したのだけども、、
要検討みたいなことでまだ回答待ち、、
というのが2月の時点でのお話。
小諸には海外事業部はないそうなのでこのへんどうなのよ?となっているらしい、、
まあ、、場合によっちゃ単身でいくしかないかぁ~と言ったところ、、
「しんじくん?なにを言っているのかなぁ?
わたしはしんじくんについていくからねぇ~
事前に小諸事業所への転勤ができるか?ということを上長経由でだしてあります」
と。
そのあとなんだけども、恵も小諸事業所への転勤申請が認められ晴れて一家で上田に引っ越すこととなったわけだ、、、が、、
金子の佐藤の家に入る、、、というのがさ、、
元から強制条件じゃないんだけども、、
数年間上田勤務のあと北米に行くことはある程度決まっているので、北米勤務からの帰任後に佐藤の家に入ることとなった。
上田製作所については海外事業部にいるとあまり関わりがない、、、これから増えるらしいのだけども、、のでいまいち情報が入ってこない。
ということで事前に上田製作所管理部に出張という名目で1週間ほど滞在することとなった。
上野から『あさま』で行くのだけども、帰りは松本に出て『あずさ』で八王子まででてガミ線で帰ることにした。うん完璧だ、申請してモンク言われなかったし。
上田に到着して自力で牧田精機上田製作所をめざす。
信越本線で小諸の方に戻るように大屋駅をめざした。
まてや?小諸からの方がよかったんじゃねえか?
そんなことはないか、、、かなり距離あるか。。
大屋駅からはタクシーで上田製作所に行くのだけども、まずは総務に行き今回自分の担当である坂崎主任、、聞いた話では信州大学卒のエリート様だそうで、、直接というか電話でお話もまだなんですがね。
本社採用ではなくて上田製作所採用なのだけども、本社採用扱いとなっているそうで。
これがまた、、な話でして、
上田製作所を設立するにあたり、現地採用枠を一定数設けることが地元とのお約束が締結されたそうで。
本社採用扱いとなる条件というのが、、学歴フィルターなんですよ。
あと職種にもフィルターがあり、、、
これ本社の名誉大卒とおなじじゃんか。。
なんでウチの会社はそうなんだよ、、そんなに格式あるんか?
工作機械メーカーなんぞただの鉄工所だぜ?
戦前というか明治からある老舗でもないのにさ?
なにをかっこつけているんだか、、、
タクシーで5分ぐらい走ると牧田精機上田製作所があらわれた。
正面玄関から入りインターフォンで総務の坂崎主任を呼び出す。
数分してその坂崎主任が来たのだが、、、
「はじめまして、、あなたが有名な羽根田伸二さんですね?」
はい?有名ってどういう意味かしら?
というか、、めっちゃ美人やん、、
「はい、いろいろ悪目立ちしている厚木製作所海外事業本部欧米部北米課の羽根田伸二です。1週間よろしくお願いいたします」
本来ならば、、前泊で朝8時からなのですが、、、今回はこちらの社内行事の関係で午後からとなりましたが、、あの、、昼食はまだでしょうか?
あ~上田駅で小諸行きの待ち時間があったんでかるく蕎麦を食べてきましたよ。
そうでしたか、、ではさっそく、、ロッカー用意しましたのでお着替えをおねがいします。
と更衣室に案内され作業服に着替える、、
「おまたせしました、、」
「はい、、ではさっそく上田製作所の案内をいたします」
ここははじめてですよね、、、いずれ羽根田さんは北米に行かれるとかいう話ですが、、
ここもいいところですよぉ~ご家族で来られるんですよね?
そうですね、、厚木から比べたら自由というかアットホームな環境と聞いております。そういえば、、設計の平松部長が来期から正式にこちらに赴任とかで?
そうですね、、よくは知らないんですが製造ライン構築にもかかわっていたそうでして、、
と上田の組立ラインを歩く。
「では上田製造管理部事務所に行きましょうか」
ということで、製造管理部に。
「はじめまして、来期より上田に転属となります北米課の羽根田伸二です。今回は事前に1週間ほどお世話になります。よろしくお願いいたします」
「まあまあ、そう硬くならずに、、、上田は厚木と比べて自由な感じがあるので、、まあ世田谷本社はそういうのがお気に召さないみたいだけどさ。まあゆっくりしていってね」
と言ったのは平成になった年に厚木から移った佐藤上田製造管理部部長である。
何回か厚木で見かけたことはあるのよね。
引き続き工場内見学。
「昨年より稼働開始したFMSラインです。第3期工事で厚木にて生産されている大型部品がここに移管される予定にはなっていますが、、、物流を考えるとどうなんですかね?とは坂崎は疑問におもいますが、、」
というのは、例の圏央道が遅れまくっている事かと。
圏央道が完成すれば鶴ヶ島から圏央道に入り圏央道相模原インターから厚木製作所に部品が入るわけだ。
というか、、どうなんですかね?山梨県内なら中央道を使い八王子あたりのジャンクションで圏央道というのならわかるのよ、、長野ですよ?
あと、、牧田技研がある西伊豆とか。
この辺は経緯がわからんし、、
「ところで、、、千石陽子さんとは仲がよいのですか?」
「ここでその名前がでるとは、、、妹みたいな感じですかね?まあもっとも、、妹いませんのでどういっていいやらですが」
恭子ちゃん?うんアレは義妹いや偽妹だし。
「来年、、いえ、再来年度ですが彼女が牧田精機に入社します。たぶん、、わたしが彼女の教育係になるかとはおもうのですよ、、
いずれは彼女は牧田技研、、あいや、牧田精機の大株主としてそれなりのことを、、ですよ」
あのこにねえ?
あのこにはのびのびとさせてやりたいとは思うのですがねぇ、、、
そういうお家柄じゃあしゃあないか、、
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あっというまに最終日の金曜日。
翌日は松本にでてそこからあずさで八王子に出るのだけども、どういうわけか設計の人たちと上田市内で飲むことになった。
それが後に羽根田伸二の運命を決めるできごとであったことを、本人は知らないのである。