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とある書き手のエッセイ集

夢はいつでも追いかけられるらしい〜82歳にして詩人になったおじいちゃんを見て〜

作者: 空野 奏多

 こんにちはまたは初めまして!

 私しがない超フツーの人です!


 でも私の周りには、とにかく変わった人が多い。

 なんでそんな話のネタあるのって言われる……!

 だけど、ポジティブな人は少ないです。


 基本的に私自体がそんなにポジティブでもないので、類友的な感じだと思う。ただ、その中で一際ポジティブすぎる人がいるんですよ。



 それが、うちのおじいちゃん。

 今日はそんなおじいちゃんの夢の話をします。



 母方の祖父はとにかくポジティブが歩いているような人で、私の母は祖父が弱っているのを一度しか見たことがないといっていました。


 口を開けば、「俺はすごいだろ!」

 とにかく自信家で、自己肯定感が高い。

 ずっと笑っていて、そして意識も高い。


 (本当に私の祖父なのかとよく思う。私結構マイナス思考なんですよねー)


 彼は本をこよなく愛し、絵を描くのも好きだし本当に上手い。私が文学部に入るのを一番喜んだのは、祖父だった。


 何かの会長も立候補してやっていたし、今も名誉職みたいなのをやっている。そういう関連で、コラムを書いたり大学に呼ばれたりもしている。


 書いたコラムは絶対持ってくる。

 他人に書いた批評も持ってくる。


 ついでに、それについて貰った手紙や総評も持ってくる。


 そしてそれを私たちに見せながら。

 「どうだすごいだろ!」と言って。

 いつも楽しそうに笑う。



 大変、元気な人である。

 そしてすごく目立ちたがり屋です。

 (私と真逆である……)



 ついでにポジティブだけど客観性のある、珍しい人でもある。人のこともよく褒める人。なので終始、人のことか自分の事を褒めている。(人生楽しそう)


 まぁ、私が芸術方面で褒められると「俺の血だな!」って言うけど。他の人でも、「まぁ俺の方がすごいけどな!」って言うけど。


 でも堂々と清々しく、そして楽しそうに言うので、私も笑ってしまう。そういう、明るい人です。


 しかしそんな彼が一番好きなのは、詩を書くことでーー祖母に自作の詩集を送る程度には、好きだったらしい。



 つまり本当は、詩人になりたかったのだ。



 でも、祖父は詩から離れていた。

 30年は書いてなかったと言っていた。

 仕事が忙しくて、と。


 大学すらも、一度働いてお金を貯めてから進学した祖父。現実主義なので、詩は趣味に留めるしかなかったらしい。


 しかし自分の楽しいことに没頭するタイプなので、大変仕事人間だった。でも自由な人なので、社長タイプの人間だったけれど。



 そんな祖父はーー突然、思い出したかのように詩に没頭し始めた。



 「そういえば、時間があるからできるんだ」、そう思ったのだと言う。そして有名な同人誌に応募したそうだ。



 そんな彼は、今82歳な訳だけれど。



 しかしなんと。

 寄稿した詩は、選ばれた。

 プロも載るレベルの同人誌に。


 私は詳しく知らないのだけれど、それに載れば詩人を名乗れるレベルらしい。それを持ってきた時の、祖父のテンションと言ったらない。




「ほらみろ! 俺は今日から詩人だ!」

「しかも最高齢新人だぞ! すごいだろ‼︎」




 いつも楽しそうに笑って自慢話をする、その何倍も満足そうな顔をして、彼は言った。見るからに幸せそうに。


 そんな彼は新人賞も目指したらしいが、年齢でやんわり止められたらしい。そりゃそうだよおじいちゃん。その心意気はすごいけどね?


 ぶーぶー言っていたけれど。


 その雑誌の選者になったらしく、それはそれで張り切っていた。



 祖父は生き生きしていて。

 いつでも『今』が楽しそうな人だ。




 それはやはり、前向きでーー不可能だなんて、考えないからかもしれない。




 器用なんだと思う。

 でもそれだけじゃなくて。

 諦めない不屈の人でもある。


 私の理解の範疇を超える人なので、実の祖父なのに全然気は合わない。会話も迷う。だってテンションも違うし、話すこと政治か仕事か赤穂浪士かコラムの話なんだもん!


 多分祖父じゃなかったら、話もしないんだろう。タイプが違いすぎる。私は知識もポジティブさも自尊心も特にないので、常に圧倒される。


 だけど同時に、深く尊敬している。

 理解はできないけれど。

 面白い人だし、努力家なのだ。


 祖父ほど人生を謳歌している人に、今後会う事は多分ないと思う。どう育てばああなるのか、皆目検討もつかないけれど、珍しいのは分かる。



 私が何かに言い訳しそうになった時、きっとおじいちゃんを思い出すと思う。



 自慢話ばっかりで。

 でも相応に努力して。

 ちゃっかり夢も叶えた祖父を。


 あれほどポジティブには、絶対なれないけれどーー少しだけ、彼を見習いたい。


 夢を追いかけるのは。

 研鑽を重ねて精進する心があれば。

 いつからでも、遅いことなどないのかもしれない。

夢を持つ人はたくさんいると思います。

ここなら、プロになりたい書き手さんもたくさんいると思います。


でも大抵、諦めちゃうものなんです。


だからそういう方にこそ、おじいちゃんの話が響くといいなぁと思いました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  空野様のおじい様カッケェ……。  『今』を楽しむ。笑顔を心がけて明るく生きる。  私もそう心がけていますが、沈む日もあります。  大先輩の底抜けにポジティブなエピソードに元気をいただき…
[良い点] 「何時までも夢を忘れず、挑戦し続ける」「夢を持つのに年齢は関係ない」などとはよく言いますが、それって言葉にするほど容易なことじゃないと思います。 どうしても年齢と共に気力がすり減っていって…
2021/09/25 00:15 退会済み
管理
[気になる点] いいわ〜 羨ましいわ〜 嫌味にならない、自信に裏付けされた人生を送るパワフルおじいちゃん。 大事にされてください。 [一言] 82歳にして詩人か、素晴らしい! 自分が82歳になった時…
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