CORE
「滝葉市へようこそ!アルヴィルはみなさまと共に安全・安心の街を築いていきます! 〜自然と人と アルヴィル〜 」
この街の中心部にそびえ立つアルヴィルツリーから流れるナレーションは、滝葉市に住む人間には聞き慣れているものだった。
洸太は今日も、配達のバイトのためアルヴィルツリーへと向かう。
「おっちゃん!今日の分受け取りにきたぞ!」
「あー、ご苦労さん。今日は箱4個だけだよ」
「りょーかい。またよろしく!」
箱の中身は「CORE」と呼ばれる機械だ。どんなケガでも瞬時に治してしまうという物で、滝葉の人間のほとんどが身につけている。洸太も持っているし、よく使ってもいる。
「よくこんなもん作れるよなぁ。どういう仕組みなんだか。」
仕事が終わった帰りの途中、通りがかった公園に人だかりができていた。見ると、少年二人が剣で斬り合っている。滝葉市で流行しているスポーツ・ジャックバトルだ。
「楽しそうに戦ってんなぁ。…やべ、明日に備えてゆっくりするつもりだったのにやりたくなってきちまった」
フィールドには血と汗が点々と落ちており、ジャックバトル好きの洸太には興奮が抑えられなかった。
「洸太!お前、なんでこんなとこいるんだよ!」
見ると、明日の大会の相手・水木優馬がそこにいた。
「優馬!お前こそどうしたんだよ、明日が楽しみでじっとしてられないのか?」
「そりゃ自分のことだろ洸太。俺は明日のために戦闘スーツのメンテしてきたんだよ」
流石は優馬だと思った。決勝まで残った要因には、こういう細かいところまで見る所もあるのだろう。
「明日はやっとお前との決着がつけられるんだ。気合入れとかねぇとな」
「優馬…」
優馬が自分との戦いを楽しみにしてくれていることに嬉しさを感じた。
「じゃあな洸太!明日遅れんじゃねーぞ!」
「おう!また明日な!」
やはり帰ることにした。優馬があれだけ楽しみにしてくれているのだし、ご飯を食べて寝ようと決め、家のドアを開けると
「明日、なにもしn@$で でないとtyfnなkとになrる」
ノイズ混じりの声が部屋に響いた。洸太は、突然の事態に固まってしまった。
「え、誰だ?誰かいるのか!?なんて言ったんだ!」
呼びかけても何も返ってこず、家中を見ても誰かがいた跡も残っていなかった