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無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)八月
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八月二十六日 喫茶店を探して

八月二十六日 水曜日 晴


 痛風発作で行けてなかった美容院へ久々に行く。髪もだいぶのびていて毎日が鬱陶しく感じていた。


 東西を走るJR神戸線の元町駅を降り、南北に通る鯉川筋を北へ向かう。今日もカンカン照りの暑さだ。今週からは暑さも和らぐと予報では言っていたのに未だ太陽の威力はまだまだ衰えていない。ほぼ日陰のない道だが飲食店が立ち並ぶ軒先テントが多い東側を通る。暑い。


 少し早めに移動していたので近くの喫茶店で軽く涼もうと思っていたが、途中にある喫茶店は十二時からの営業なので開いてすらいなかった。暑い。


 喫茶店を探しながら歩き続けるととうとう生田新道まで出てしまう。仕方なく角のコンビニで涼を取る。美容院まではまだ北に上るがこの十字路が分かれ道となる。暑い。


 生田新道ならすぐ喫茶店も見つかるだろうと安易に東へ向かったが、これが失敗だった。いや、たしかに喫茶店はみつけた。「焙煎珈琲」という看板も出ており純喫茶のように見えた。しかし、カウンターばかりの奥まった席で外を見ているマスターのような人が目に入った瞬間、変なストレスを感じそうな気がしたので無かったことにした。


 そうして探しているうちに周囲を一周してしまい、元の十字路まで戻ってきてしまった。既に十五分以上は猛暑の中あるき続けている。さすがに水分も取らずこれ以上は熱中症になりかねないと思い、交差点の西を見ると「珈琲」という文字が見えた。暑さでもう限界が近づいている中、救いの文字が見えたのだ。


 ドアが締め切っており中は見えない。看板のフォントや佇まいからすると本気の喫茶店だ。ついさっきの喫茶店と同じようならどうしよう。そんな不安に駆られながらも思い切ってドアを開けて入る。


 中には常連さんらしき客と年配のマスターとその奥さんのような人が話をしていた。これならさほどストレスも感じずくつろげると思い、涼を取るためのとりあえずの一杯を頼んだ。これだけ暑さを我慢して得たコーヒーはまさに格別だった。


 そうして一息ついた後、美容院にて七三分けの刈り上げという姿になって頭も身体も涼となって家路についた。

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